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1987年ブラックマンデーと2024年ブラックマンデーの考察

米欧発の様々なショックで日本の株式相場が急落する風景は、すっかり見慣れたものになった。世界同時株安が起きるたびに、市場関係者はある日のことを思い出す。25年前の「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」だ。

ブラックマンデー(1987年) 財テク元年の試練危機共振 変わらぬ構図 日経電子版記事より

上は今から12年前の2012年10月の日経新聞の記事です。
この記事では25年前となっていますが、いまは2024年ですのでブラックマンデーは37年前。
上の日経記事が書かれてから既に12年が経ちますが、時の流れは早いものです。

37年前の私は小学生で株や市況には全く興味なし。
ファミコンや週間少年ジャンプ、ミニ四駆に熱中していました。

それから25年が経過した2012年10月はアベノミクス相場が始まる直前。
私はどっぷり投資・トレードにハマっていましたが、当時の日本の株式市場にはどんより閉塞感が漂っていました。

10年後って全く予想出来ないものですが、それでも2024年に日経平均株価が1989年に付けた高値を更新するなど全く予想出来ませんでした。

で、改めて1987年10月20日のブラックマンデーですが、この日の日経平均株価は前日比14.9%下落し、3836円安。

震源地となったのは同年10月19日のNY市場。
この日のダウ平均は前日比22.6%下落、508ドル安。

ダウ平均は日経平均の倍近く下落しています。

今回、2024年8月5日の日経平均株価は前日比12.40%下落し、4451円安。

同日のダウ平均は前日比2.6%下落、1033ドル安・・・米国はありがちな急落で殆ど下げていません。

ということで、今回の暴落はやはり震源地日本、日本発のブラックマンデーといえるでしょう。

いまと37年前では全く市場環境が異なります。
まず当時はインターネットがなく、株の発注は電話でした。

日本で米国株を売買していた個人投資家など殆どいませんでしたし、安直に当時と比較して云々は語れませんが、似ている部分もあります。

しかしブラックマンデーの年の日本は、2月のNTT上場に伴い160万人余りの個人株主が誕生していた。大衆投資家が見よう見まねで株式運用を始めた財テク元年。株価に目覚め始めた日本社会が初めて本格的に経験する世界株安が、ブラックマンデーだった。

ブラックマンデー(1987年) 財テク元年の試練危機共振 変わらぬ構図 日経電子版記事より
日経平均株価 月足 1984年~1990年

まず、記事にあるように当時流行のワードが“財テク”。
上述のように1987年2月にNTT上場で160万人余りの個人株主が誕生しており、ここは何となく新NISA制度と被ります。

あと、上の月足チャートを見ても分かるように当時の日経平均株価は今回と同じく、暴落直前に史上最高値をつけていました。

1983年辺りから多少調整を挟んでいますが、ほぼ一本調子で上昇していました。

私は映画「男はつらいよ」シリーズが大好きで年に何回か鑑賞するのですが、1985年お正月映画で大原麗子さんがマドンナだった「男はつらいよ 寅次郎真実一路」で、大原麗子さんの旦那さん役をやっていた名優、米倉斉加年さんが演じていたのが証券マンでした。

その証券会社で部長役を演じていた津嘉山正種さんが、会議のシーンで「これからは半導体業界が・・・」みたいなことを語っていた記憶があります。

この映画が制作されたのは40年前ですが、テクノロジーは進化してもいまと本質はあまり変わっていないのかも知れませんね。

1987年のブラックマンデーの原因は諸説ありますが、今も明確な原因は明らかになっていません。

今回の日本発ブラックマンデーは、暴落のタイミングから日銀の利上げ、植田日銀総裁の会見が引き金になったのは間違いありません。

ただ、他にも複合的な要因があると思いますし、円キャリートレードもその一因でしょう。

1987年10月のブラックマンデー後、日経平均株価は翌月に二番底をつけて1988年1月から反転。

ブラックマンデー前に付けた高値を更新した後、1989年に上昇が加速し天井をつけます。

1989年12月31日と2024年2月15日時点での世界時価総額ランキング みずほ証券作成

当時と大きく違うのは今の時価総額ランキングをみても明らか。

1989年はいまのマイクロソフトの座に日本のNTTが君臨していました。
・・・隔世の感あり。

私は自分の相場観よりも株価のトレンドを重視しています。

日経平均の株価トレンドだけ見るなら1987年も2024年も大きな違いはないのですが、上の時価総額ランキングを見ても日本株上昇の背景は大きく異なります。

1987年、私は子供でしたが“これからは日本の時代”というような活気があったような気がします。

いまは1980年代ほどGDPは伸びていません。

今後も日本株の上昇が見込める要因として良く言われるのが、

“NISAで個人の家計金融資産のうち数%でも株式市場に流入すれば株価は大きく上昇する”
とか
“インフレ時代到来で株は無条件に買われる”
とか
“中国の衰退でこれまで中国に流れていた投資マネーが日本になだれ込む”
とか

需給まかせ、他力本願なところが少し気になっています。

日本の成長神話が背景にあった1980年代の株高と2010年代以降の株高はそこが最も大きな違いでしょう。

まぁ、1980年代はその期待がバブルになってしまいましたので、それも善し悪しですが💦

今回ブラックマンデーに見舞われた東京市場ですが、2000年代以降の暴落後も自律反発した後は暫くもみ合いが続いています。

ですので、今回もやはり全治3ヶ月程度は要するのではないかと予想。
1987年のブラックマンデーから1989年のような急騰シナリオも難しいのではないかと見ています。

何せ今回、コロナショックのようにFRBが無制限緩和を発表した訳ではありませんし、財政政策が打たれる訳でもありません。

内田副総裁が火消しのコメントを出しましたが、日銀が利上げしたのは事実ですし、それは変わっていません。

更につけ加えると、米国経済も低迷の兆候が鮮明に出始めていますので、コロナショック時のようなV字回復のイメージが持てません。

暫くはビクビクしながら慎重に立ち回りたいと思います。

最後までご覧頂きありがとうございました。


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