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2021年ウィンブルドン男子シングルス展望(前半戦)

~全英(ウィンブルドン)男子シングルス 大会概要~
大会期間(本戦):2021/6/28(月)~7/11(日)
開催地:ロンドン(イギリス)
サーフェス:屋外グラスコート
ドロー数:128
賞金総額:€35,016,000(約54億円)
大会公式サイト:https://www.wimbledon.com/

シード選手過去成績

<過去5年間のデータ>

◎過去5年間のベスト8(2020年は不開催)

過去5年

・前回のnoteで「全仏は波乱が少ない」と書きましたが、ウィンブルドンは対照的に波乱傾向にあるでしょうか。少し古いですが、大手ブックメーカー「Pinnacle」の記事に以下のようなデータが掲載されていました。

芝は番狂わせが多い

(引用元:芝コートでのテニスマッチのベッティング市場分析https://www.pinnacle.com/ja/betting-articles/Tennis/grass-court-betting-analysis/9V32KZJ8ZPKLKR3F
番狂わせ率やオッズ5~10倍の番狂わせは平均的な数字ですが、オッズ10倍以上の番狂わせ=大波乱が多いようです。これにはクレー→芝へのサーフェス替わりや芝での戦い方の難しさなど複数の要因が考えられそうです。今年に関しては、昨年新型コロナの影響で不開催だったことにより、特に若手選手のグラスコートにおける経験不足を指摘する声も上がっています。
https://twitter.com/seiadoumogera/status/1409673947352756225?s=20

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・ベスト32(3回戦)までさかのぼると、Q(予選通過者)及びノーシード選手の勝ち残りが見られます。ベスト32におけるノーシード選手数の平均は13.25名と全仏よりもやや多いです。コート適正の高い選手(絶対的なサーブを保持、スライスの技術が高いなど)には注意が必要でしょう。またDay1を見る限り、今年の芝は滑りやすくなっているような気がしますので、回転数の少ないフラット系のショットを放つ選手は脅威になりそうです。

マイアミスピンレート
ハレ スピンレート

(引用元:https://twitter.com/Vestige_du_jour/status/1406289218805116928?s=20)

◎ウィンブルドンまでのスケジュールについて

・例年のスケジュール
 5月 Gland Slam 全仏OP
     ↓ グラスコートシーズン
 6月 ATP250 シュトゥットガルト
     ATP250    ストルトヘンボス
     ATP500 ハレ
     ATP250    ロンドン
     ATP500 アンタルヤ
     ATP500 イーストボーン
 7月 Gland Slam ウィンブルドン

・今年の変更点
 ★ストルトヘンボス中止
 ★マジョルカ(スペイン)の新設

◎直近の成績の考え方について
 ・前述したように特に芝は適性が問われるサーフェスですので、前哨戦で好成績を収めた選手には注意が必要です。一方で、前哨戦で早々と敗退してしまった選手はランキングにかからわらず不安が残るデータになっています。

<各山の展望>

それでは、前回同様各シード選手の山ごとにコメントしていきます。

◎ジョコビッチ・モンフィス山

ジョコ・ルブレフ山

ディフェンディング・チャンピオンが大会初日のセンタコートに登場する決まりになっています。全仏ではムゼッティがジョコビッチから2セット先取するという”まさかの”展開でしたが、この山で脅かす存在になる選手は見当たらなさそうです。アンダーソンが戻ってきました。順当に勝ち進むでしょう。腰のケガの影響かフォキナは初戦敗退。対戦相手だったクドラは芝実績のある選手ですので、セッピとは良い試合になりそうです。モンフィス山の方はクレーコーターが多く、ガリンは今シーズン初のグラスコートです。誰が勝ち上がってもおかしくなさそうです。万全状態なら強力なサービスを持つオコンネルに期待したい。
【予想】ジョコビッチ、モンフィス/オコンネル

◎チチパス・ディミノー山

チチパス・ディミノ山

今年最初の大波乱はチチパスの1回戦敗退でしょうか。とはいえ2019年、2017年も同様に1回戦敗退ですので、先に触れたデータを踏まえれば予測できたことかもしれません。ティアフォーは6月に芝で行われたチャレンジャーでも優勝しました。荒削りではありますが、サーブを武器にどこまで勝ち星を伸ばせるか注目したいです。下の山はエバンス、コルダorディミノーの勝者が相まみえそうです。
【予想】ティアフォ―/ハチャノフ、エバンス/コルダ/ディミノー

◎シャポバロフ・アグー山

シャポバロフ・アグー山

シャポバロフは芝実績が乏しいですが、前哨戦のロンドンである程度の力を示しました。ただ、ショットの大半を占めるジャックナイフ等のジャンピングショットは滑るコートでは息を潜めますし、守備面においてはやはり脆さがありますので、スムーズには行かないでしょう。下の山はアグー1本釣りと行きたいところですが、前哨戦を見ると押される展開になったときに対応できていないのが気になりました。コプファー、ケツマノビッチ、クオンも着実に力をつけてきており、予想が難しい山です。
【予想】シャポバロフ/マレー、コプファー/ケツマノビッチ/アグー

◎ベレテッィーニ・ルード山

ベレ・ルード山

ベレティーニは前哨戦のロンドンで圧巻の優勝、サーブが入れば手が付けられない選手にまで成長しました。西岡選手はイズナー戦を想定し、同じアメリカ出身のビッグサーバーであるオペルカと練習していたそうです。錦織は初戦をどうにか勝てば、3回戦まで進めそう。悪くはないドローですが右手首のケガはやや不安です。とはいえ、我々は勝利を期待するしかありません!全力で応援しましょう!さて、今季一気に名を馳せたカラツェフは芝実績は皆無に近いです。シャルディ―のサーブを全くブレイクできずに終わる可能性は十分にあるでしょう。また、クレーで安定した成績を見せたルードも、展開の速い芝との相性は悪く、地力勝負になりそうです。
【予想】ベレッティーニ、シャルディ―/錦織/ルード

◎FAA・ズべレフ山

FAA・ズべレフ山

キリオスがコートに帰ってきました。前哨戦でルブレフを下して優勝したアンベールに分はありそうです。FAAも優勝こそ逃していますが、直近2試合では準優勝、ベスト4とプレッシャーの少ない序盤では安定したパフォーマンスを発揮します。1ブレイクで試合が決まってしまうのがグラスコートの怖いところですが、5セットマッチですので試合中の修正力も考慮するとズべレフで大方間違いなさそうです。
【予想】FAA/アンベール、ズべレフ

◎フェデラー・PCB山

フェデ・PCB山

フェデラーは体力次第でしょう。日本の杉田は不調が続いていますが、得意のサーフェスですしスピン系のガスケが初戦ならチャンスはあるでしょう。ノーリーは今季37勝で、勝利数のランキングはTop10以下ではシナーに続く2位。攻撃的なプレースタイルがフィットしてはじめ、安定感が光ります。地元の後押しもあるでしょう。ソネゴは前哨戦で準優勝、サーブに関しては敗れたディミノーに勝っていましたし、このドローなら3回戦までは勝ち上がり必至でしょうか。PCBは初戦の好調クエリー相手にワンチャンスをものにできるかが鍵になりそうです。
【予想】ノーリー、PCB/クエリー/ソネゴ

◎メドべデフ・フルカチュ山

フルカチュ・メドべ山

前哨戦のマジョルカを制したメドベージェフは、ウィンブルドンとの相性次第でしょう。今年は滑りやすいそうですので、本質的には相性が悪いはずです。内山さんはLLで本戦イン。アルカラスは地力ありますが、経験の差でなんとか・・・!シュトゥットガルトを優勝したチリッチもGSでは全く侮れません。一方で上の山は混戦模様でしょうか。フルカチュは腰のケガが心配です。マイアミで優勝して以降、目立った活躍が出来ていません。総合力ではフルカチュとディミトロフに軍配が上がりそうですが、ノーシード選手も大いにチャンスがあるドローでしょう。
【予想】フルカチュ/ディミトロフ、メドべデフ/シュトルフ/チリッチ


以上です。

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