そっか。お客様がお店を創ってくれるんだ。 紙カフェレター その7
紙と紙カフェ、ペーパーフリマのこと。④ by妹ともぞう
そんなわけでペーパーフリマと並行して、紙の魅力を伝えるための紙cafeをOPEN。古い商店街に新しいお店ができたということで商店街の皆さんもご近所の方もとても喜んでくださいました。
コーヒーは南海線堺駅前にあるコーヒー専門店『Dear cup』の深煎りコーヒーを。チャイには南海線七道駅にあるはちみつ専門店『雅蜂園』の国産はちみつを。ぜんざいは堺の老舗和菓子屋『宝泉』のあんことお餅を。あんこは抹茶パフェにも使ったりして。そんな感じで、堺のあらゆる場所をご紹介したくて、手描きのメニューにはお店紹介も載せていました。
一番人気 紙パフェ 堺の「三喜屋珈琲」の珈琲ゼリー使用
名物 「ジュエットコーヒー」堺珈琲と「宝泉」餡子を使った抹茶紙パフェ
最初「なんで?そこのお店にお客取られるやん?」という質問があったのですが「うち印刷屋なんで、そこじゃないんです。とにかく堺のことを知ってもらいたくて」
『つーる・ど・堺』っていうサイトもあってね、それ見てください。とか、印刷で困ったことあったらお聞きしますよ、とか。まあそれでも「??」って方がほとんどでしたね。
なぜか少々お怒り気味で「なにがしたいのかわからない!!」と。
いや、えーと。曲がりなりにも飲食店だし、目の前には紙雑貨が並んでいるので、まあコーヒー飲んで雑貨見てくださいよ。私、ずっと飲食店で働いてたから、お店やりたかったんですよね。会社としては役に立たなかったから、少しでも印刷のこととか紙のこととか、堺のことを発信していけたらいいなって。
「ふーん」とコーヒー飲んでくださって…
「でも堺てなんもないやん」
…ピキッ
「…そんなことないですよ~」
「なーんもないし、行くとこもないし」
「うーん、メニューにはお店紹介も載せてますし、よかったらサイトもご覧になって下さい」
「そんなん私ら興味ないわ。関係ないし」
…ピキピキピキッ
こういったやり取り、実は特別じゃなくてですね。
つーる・ど・堺のライターをしていた時も、そんな声があちこちから聞こえてきて。
堺ってこんなに魅力的なお店も場所あるのになんで「なんもない」って言い切れるねん?悔しいな。まずは堺のもんで腹満たしたらどうなるのかな。
という気持ちもあったんです。口にしてるそれ、堺のものだし、うち、堺ですよ?って。
堺の困ったところは年配の方ほど地元に興味がないってこと。
ほいで、おじさまはやたら常連になってくださるし、おばさまは例の会話ののち「高い!」といって二度と来られないし、いつの間にか占い師さんばかりに占拠されるし、
はっはっは。すげぇ混沌としてる、と半笑いの日々( ̄∇ ̄)
ある日、元気でお洒落なママさんが「堺に転勤で引っ越してきて、散歩してたらこちらを見つけて。素敵なお店ですね!」と声をかけてくださいました。「ありがとうございます!よかったらカフェもありますよ」「えっ!コーヒー飲めるんですか?」「うちのコーヒー、駅前にある専門店で仕入れてるんです。そこのサンドイッチも美味しくて」「そうなんですか!もっと教えてください」「じゃあ、サイトも見てください『つーる・ど・堺』っていうんです」「わあ!助かります!」
それから、ご友人を連れてきてくださったり旦那様も連れてきてくださったり。
その方のおかげで空気が一気に変わりました。
呼び水?というのでしょうか…その後もお洒落な素敵ママさんがどんどん入ってきてくださり。「紙が好き!」「文房具が好き!」な方々もどんどん増えていって、なんと色々な冊子に掲載してもらえるまでになったんです。
憧れのデザイナーさんが所属する団体が運営してるサイトとかにも。そうそうたるグラフィックデザイナーさんやパッケージデザイナーさんが読むようなページで掲載されてからは、お客様の質が変わり、さらに入ってくる情報が変わってきました。
グラフィカルな意匠の紙雑貨がここで誕生してる、とか、活版屋さんがデザイナーさんとコラボで紙雑貨を開発してる、とか、大阪にこだわった紙雑貨屋さんがある、とか。特にうちは『倉敷意匠』というかなりこだわったメーカーの紙雑貨をたくさん扱っていたので、これを置いているお店なら話がわかるだろう、ということもあったかもしれません。並べる雑貨のブランドがバロメーターになったりするんですね。
『倉敷意匠』は仕入れ条件が非常にハードル高かったんですが、本社のお隣がなんと堺で唯一の『倉敷意匠専門店 ORCA』というお店だったんです。例のごとく『堺の地域情報サイト つーる・ど・堺』での取材先でもありました。
ここの店主さんの商品に対する愛情は並々ならぬものがあり、お客様もとても質が良くて。こんな商品を並べられたら、こんなお客様がうちに来てもらえたら、という強い願望がありました。店主さんとのもともとの信頼関係もあり、めでたく「『ORCA』さん経由なら扱ってもいい」とお許しを頂いて並べることが出来ているわけです。
目が肥えた方々の情報は本当に助かるのと同時に、場の雰囲気をとても良くしてくださいました。こんなお洒落な皆さんの仲間に入れたのかなとかちょっと嬉しくなったり。
うーむ。こうなったら大好きな雑誌「SAVVY」に掲載されるのを目標にしよう。と図々しいことがアタマによぎった直後「関西ウォーカー」から取材のオファーが。
「うええええぇ??」とおそれおののきながらその掲載されたページを見ていたら、その後あっさり「SAVVY」からご連絡がきて。
そう。目指していた店にどんどん向かっていく予感がしました。店は人が創り、人で造られるんだなと深く感銘を受けながら、感謝の気持ちで堺と紙のことを発信していったのです。
紙カフェレター その8に続く
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