見出し画像

昆虫菓子屋の自己紹介

カマキリ印の蟲菓子屋、灯螂舎(とうろうしゃ)店主の にび(@nibi_16)と申します。
※お店のXアカウント → @tourousha

取材やら何やらで店主個人のパーソナルなことを聞かれる機会がままあるのですが、口下手な自分としては毎回同じような内容を説明するなら台本みたいなもんがあった方が助かるじゃんね~!ということで、情報整理がてらnoteを始めてみました。

自分用のカンペとしてはもちろん、「とにかくこれ読んでもらえれば自分のこと大体わかるんで!」と言うための丸投げツールとして活用したいと思います。
(匿名ブログなら古のインターネッツに何十個と生産しては放置してきましたが、リアルな事業とつながる形の文章置き場を作るのはこれが初めてかもしれません。のでちょっと緊張しています)

今後も気が向いた時に記事を更新していく予定なので、店主の人となりを知りたい、という奇特な方はフォローしておいていただければちょっとだけ店主に詳しくなれます。

なお、こちらの記事は定期的に現実に即した内容に加筆修正していきます。
(最終更新日:2024年12月1日)


基本のき

そもそも何してる人?

2021年6月から、群馬県前橋市で「昆蟲菓舗 灯螂舎(こんちゅうかほ とうろうしゃ)」というお店を営んでいる人です。

灯螂舎(とうろうしゃ)の店構え

お店を一言で表すと「昆虫」をコンセプトとした菓子店&雑貨店

主に粉末やペースト状の食用昆虫を“スパイス”として使用した見た目に虫を感じない昆虫菓子蟲菓(むしか)シリーズ】と、反対に昆虫をモチーフとしていながら原料には昆虫を一切使用しない目で楽しむ昆虫菓子【象(かたどり)シリーズ】の2ラインを展開しています。

▼言葉で説明してもわかりにくいと思うので、なにそれ!?と思った方は一度オンラインショップをご覧ください。

焼菓子の他には作家作品も取り扱っていて、全国各地から昆虫モチーフの作品のみを厳選した【蟲作品専門ギャラリー】として「insect art gallery TŌRŌSHA」を運営しています。

※前橋市の実店舗では焼菓子も作品も同じ空間で展示・販売しています。

店主個人について

性別と年齢

情報を故意に隠しているわけでもないのに(むしろ露出している方だと思う)、取材に来られるライターさんや直接会ったことのないフォロワーさんからは未だに男性だと思われることの方が圧倒的に多いのはなぜでしょうか…?

それも「40代前後の細身の男性(髭あり+丸眼鏡)」という特定の属性まで付与されており、私を男性と思い込んでいた人はみな共通して似たような特徴を口にするので、いつも(誰と間違えているんだろう…?)と不思議に思っています。

失礼だとか迷惑だとかは全く思っていないのですが、特に前情報なく来店される方には高確率で(この人はどの立場の人なんだ…?奥さん?スタッフさん?)という不要な逡巡をさせてしまっていると思うので、改めて主張しておきます。

・灯螂舎の中の人は28歳女性です!
・お店に関するあれこれはぜんぶ私ひとりで行っています!
・SNS の中の人もひとりです!

 ※週に一度の製菓作業日のみ私とパートナーとの二馬力で稼働していますが、それ以外で外部のお手伝いさんを雇ったりはしていません。

生まれた場所

ほぼ埼玉こと東京都練馬区で生まれました。
残念ながら生家のアパートはもう跡形もなくなっていますが、今でも氷川台~桜台エリアに降り立つと実家のような安心感があります。

育った場所

そのまま14歳までは練馬区民として暮らしていましたが、中3の春に母方の実家がある青森県青森市へ引っ越し、それから約4年間(高3まで)を青森で過ごしました。
とはいえ引っ越し前も夏休みと冬休みは期間いっぱいギリギリまで青森に滞在することが定番だったので、常に東京↔︎青森を反復横跳びしながら育ってきたようなものです(ゆえに津軽弁も地元ネタもそこそこ解像度高く理解できます…!)。

思い入れの強い場所

高校を卒業して初めて一人暮らしを始めた場所が高円寺でした。
就職先が高円寺駅至近だったというだけの理由で特に何も考えず杉並区に転入したものの、当時齢18の自分は見事にその誘惑まみれの環境の虜になってしまい、休日や仕事終わりに時間を見つけては古着屋&古道具屋&喫茶店巡りに明け暮れていました。
当然お給料は入ったそばから古着と骨董品と雑貨とコーヒーに吸い込まれていき、貯金なんてできたもんじゃなかったです。恐ろしい街ですほんと。

ただ、この時期にありとあらゆる個人店を巡り倒した経験が今のお店づくりの礎とし生きているのもまた事実なので、後悔はしていません。

今現在の拠点

お店のある群馬県前橋市を拠点としています。
2017年に移り住んでから約8年強、群馬県民としての暮らしも間もなく9年目に差し掛かろうとしていますが、赤城の風(いわゆる“赤城おろし”)の強さには未だに慣れません…。肌は乾くわ塵や砂でコンタクトは傷つくわ、ドアバンの恐怖と常に隣り合わせの日々はとってもエキサイティング

ちなみに、「お店を始めるために群馬に引っ越した」わけではなく「群馬に移住→コロナ禍突入→なんやかんやあって灯螂舎開業」の流れです。
(▲この内容だけで2~3本記事が書けそうなのでいずれ情報整理してまとめます)

お店を始める前はライターとして元職場からお仕事をもらったり、フリーのWebデザイナーをしたり、コワーキングスペースやアンティークショップのスタッフとして働くなど、常に二足以上の草鞋で生計を立てていました。
何なら今でもお店一本では食べていけてません…!

虫との関わりについて

昆虫を好きになったきっかけは?

物心ついた頃、というよりはつく前から、私にとって昆虫は“ごく身近にあって当たり前の存在”でした。
理由は単純で、(元)父親がいわゆる「虫屋」だったから。
父の趣味コーナーにはたくさんのドイツ箱や捕虫網、三角紙や吸虫管といった道具が所狭しと並んでおり、仕事の出張ついでに県外や海外へ採集に出かけることもしょっちゅうでした。

そんな元父の背中を間近で見て育っていながら、正直自分としては父の影響を受けたという自覚がほとんどない(母曰く、父の昆虫標本コレクションに興味をもつよりも前、それこそ地べたを這いずり回っていた頃から庭先の虫やカエルをしきりに触りたがっていたらしい)のです。
とはいえ傍から見れば「この親にしてこの子ありね~」と思われても仕方のない環境にあったのは事実なので、虫愛づる遺伝子が濃度高めに引き継がれたのだろうという認識に落ち着いています。

捕まえたツマグロヒョウモンと戯れる10歳頃のわたし

このように家族の影響を少なからず受けてはいるものの、両親の離婚により当の父とは15年以上前に訣別していて現在の消息すら知り得ないので、深掘りされてもエピソードをそれ以上膨らませることができず。
よく聞かれる「虫好きになったきっかけ」を説明する際は、その辺りの背景を事細かに話すのが面倒なので「生まれた時から虫が好きだった」と言うことにしています。(嘘ではないので許してほしい)

昔から虫を食べていた?

今でこそ商売にしてしまうほど昆虫食沼にどっぷりハマっている私ですが、幼少期の経験としては父が買ってきた長野土産のイナゴの佃煮を食べたことがあるくらいで、昆虫そのものを「食材」として積極的に認識できるようになったのは割と最近(2020年頃)のこと。

ペットの爬虫類たちがおいしそうに貪っているイエコ(ヨーロッパイエコオロギ)の味がふと気になり、自宅でキープしていた個体を素揚げにして食べてみたのがきっかけでした。

〆たてホヤホヤだったからか特筆すべきクセはなく、シンプルに「味の薄い小エビじゃん」という感想を抱いたことを覚えています(もっと言うと、加熱されたキチン質特有の味わいに餌の穀物感がプラスされた感じ)。

それから自然と野生昆虫の味にも興味が湧き、夏のキャンプのついでにトノサマバッタやツチイナゴ、セミの幼虫と成虫なんかを食べ比べたりしていました。※もちろん加熱して

ほどなくして昆虫食専門店・BugsFarmさんのホームページに辿り着き、当時キャンペーンで配布されていたタイ産の食用コオロギパウダーのサンプルを入手。そのパウダーを用いて、もはや虫食に一切の抵抗がなくなったパートナーと一緒にさまざまなコオロギ料理を研究しているうちに「世界の郷土菓子をアレンジした『こおろぎ焼菓子』を販売する」という構想が浮かび、それが今の蟲菓の原型となっています。

▼現在はコオロギに限らず、カイコやクロスズメバチ・カメムシなどさまざまな種類の昆虫を使用しています。


なぜわざわざ虫を食べるの?

個人的には「そこに虫がいるから」、ということに尽きます。

どんな味がするのか知りたいから食べる、昆虫の味が好きだから食べる、苦手だけど克服したいから食べる……などなど、食べる理由なんて何でもよいのです。

逆に食べない理由も何だってよくて、味が苦手、アレルギー体質だから、という具体的で明確な理由があってもいいし、食べたことないけど絶対イヤ!生理的に無理!という嫌悪感も立派な理由になります。むしろ「昆虫食べたくない派」の過半数が食わず嫌いであろうことは調べずとも分かりきっているので、周囲に対して声高に虫食のデメリット(デマ含む)を吹聴して回る必要なんてこれっぽっちもないのですよね。
なぜかって?言われなくてもみんな食べないから。(「自分が食べたくない」だけのはずなのに、なぜか「食べるな危険」の論調で他人を巻き込もうとするタイプの人があまりに多いので……)

そういえば、お店を始めて間もない頃に虫好きを自称しているくせに「愛でる対象」である昆虫を食べるなんて!という意見をいただいたことがありました。インコを飼っている人が「鳥飼ってるのに鶏肉食べるんだ?」と言われる構図に似ていますね。

それは確かにその通りで、私自身“愛玩昆虫=ペット”と認識している昆虫(具体的にはカマキリ全般、マダガスカルゴキブリ、スズメガ類の幼虫・成虫全般、甲虫類など)は今でも食べることに抵抗があるものの、エキゾチックアニマルの餌として流通している養殖昆虫(コオロギ)は動物でいう「家畜」のポジションにあたるからか、食材としてすんなり認識できてしまいました。

これはもう心情的な問題なのでどうしようもありません…!
エゴ全開で誠に恐縮ですが、昆虫を食べることはもちろん義務ではないので、とにかく個々人がそれぞれ楽しく食べられる分だけ、好きなように食べればよいと思っています(野生昆虫の場合は採集圧をかけない範囲で)。

“体に良い”から食べるのではないの?

私自身は「昆虫食のメリット」としてしばしば喧伝されている健康効果を期待して昆虫を食べようと思ったことは一度もないです。

もし「体に良さそう!」というイメージで手を伸ばしてくださった方がいたら大変申し訳ないのですが、うちの店で扱っている食用昆虫たちの使用目的も「食味を良くする(魅力を引き出す)」という一点のみで、健康効果に関しては全くのノータッチです。

特に、焼菓子における昆虫使用量の限度=おいしく食べられるラインは全体重量の3~8%程度が相場。シナモンや八角といったクセ強めの香辛料と同じで、入れすぎるとむしろ食味のバランスを悪化させてしまいます。
※あくまで粉末やペーストなど“濃縮された形”に加工した昆虫原料を用いる場合の話です

そんな数%の使用量で食味に影響を与える以外の効果を期待する方が酷なのかもしれません。

もしかしたら“普通のお菓子を食べるよりは”ほんのちょっとだけ体に良いのかもしれませんが、どちらにせよ、灯螂舎は「『おいしいから』また食べたい」と思ってもらえる焼菓子をめざして日々研究しています。

さいごに

この記事で初めて私や灯螂舎をお知りいただいた方にとっては一体何のこっちゃ??な内容だったことと思います。ごめんなさい。

が、これを機に興味を持ってくださった方はぜひ群馬県の実店舗オンラインショップのご利用、はたまたnoteや各種SNSのフォローをしていただけると大変励みになります…!

noteでは今後も私自身やお店にまつわる記事を随時執筆していく予定ですので、引き続き応援いただけたら嬉しいです。

それではまた。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集