見出し画像

実は知られていない【マニアック層よりにわか層】

いつも読んでいただき感謝でございます。
バイクで旅する写真家 立澤重良です。

私は一人の日本人として天皇陛下の大御宝(おおみたから)として、日本をより良い国にしたいと思っております。

といっても今日何ができるという訳ではないのですが、自分にできることは小さな事でも行動していきたいです。

ちなみに大御宝とは聞きなれないかもしれませんが、天皇治下の民、主に農民ですがこれは昔の話なので現代的に解釈すれば【日本国民】で良いと思います。

さて今回は私の経験をふまえて少々のお役立ち情報を書いてみたいと思います。題して【実は知られていないマニアック層よりにわか層】でございます。

こんな経験はありませんか?

バイクや車好きの方であれば最新のモデルを見て「なんで新しいバイクはこうも魅力がないのか」「昔の車の方が良かった」といった具合にニューモデルに対して思わず嘆いてしまうこと。

私なんかしょっちゅうです。

いま新車で手に入るものに欲しいと思えるものがない。前のモデルの方がうんと良かった。

みなさんもありますよね?

これって何ででしょうね。
メーカーだって売れるものを作りたいでしょうから、わざわざ魅力のないものを作っているとは考えられません。

私が最初に就職した会社は旧財閥系の大手のメーカーでそこで13年くらい、その後はバイク用品のメーカーで6年くらい製品の企画開発などに携わってきました。

その時の経験をベースにこの謎についてお話ししてみようと思います。

バイクや車、どんなに夢やロマンのあるものでも、製品であるからにはメーカーにとってはあくまでビジネスです。

もちろん消費者に夢を与えて企業のイメージを良くする…というのもあります。しかし軍事産業や宇宙開発ではないのですから製品を売って利益を出すのが原則です。

メーカーはいつも利益至上主義なのです。

ビジネスであるからには市場があり、そこにニーズやユーザー層がある訳です。マーケティングなんてよく聞く単語ですよね。

どんな層に利益を出せるボリュームがあるのか?これがメーカーにとって重要なポイントなのです。

ここで結論を先に言ってしまうとお金を一番落としてくれるユーザー層とは【にわか層】なのです。

【にわか層とマニアック層】

にわか層はバイクで例えると免許を取得したばかり、または新しいバイクを買ったばかりのフレッシュな層です。その中にずっとその趣味を継続する人も一定数は存在しますが、多くの割合で数年してやめてしまうライトな層です。

一方でマニアック層とは簡単にいってしまうとベテラン層です。その世界のことを深く知り尽くし、経験や技術も豊富、本質をよく理解している見識者の層です。

メーカーからみてビジネスをする上で圧倒的に魅力的なのはマニアック層ではなく【にわか層】なんです。

にわか層は新しい趣味のことで頭がいっぱい、楽しくてお財布の紐もゆるみ用品もパーツも沢山のお金をおとしてくれます。
250㏄でデビューして1年後には大型バイク、その後は輸入車へ・・・といった具合に車両の買い替えも短いスパンでやってくれる。

週末にツーリングに出かけると道の駅や高速のSAでニューモデルってやたら見かけますよね?あれって買ったばかりの人、にわか層の人たちが毎週末のようにツーリングしているからなのです。

市場に出回っている台数で言えば過去に販売を続けてきた他車種の方が多いので、単純に台数ではないのですね。嬉しくて乗り回している人の数なのですね。

にわか層は活動的で経済効果が高いのです。

例えば雑誌は分かりやすいです。

最近は出版不況という言葉すら聞かなくなってしまい、すっかり雑誌文化が衰退してしまいました。
かつては書店にいくとバイク、車関係の雑誌だけでも相当な種類があったと記憶します。
バイク好き、車好きといえば部屋の中で雑誌が積まれているのが普通だったのです。

メーカーにいたころは雑誌関係の方ともよくお仕事をしたのですが、その時に伺った話によると雑誌の収益の柱は広告なのだそうです。特に最初の数ページにある見開き広告や背表紙などは車両メーカーの新型の広告が入り、それがとても金額的に大きいのだそうです。

雑誌を頻繁に購入するのは免許を取得したばかり、あるいは新しいバイクを購入したばかりのフレッシュな層。この中に多くの割合で【にわか層】が含まれるので、広告主としてはこの層に見てもらうのが狙いなのです。

よって雑誌の内容もにわか層に合わせた内容、例えばツーリングに行くなら伊豆半島のこの道が絶景!とか、お勧めの道の駅とか、倒れたバイクの起こし方とか、ツーリングをはじめた人に向けたお役立ち情報をつくるのです。

一方でマニアック層は用品やパーツを買いあさったり、ニューモデルが出たからといって飛びつくように買い替える人は少数です。
オイル交換やタイヤ交換などの整備はおろか、ちょっとした修理なら自分でやってしまう人も多いためバイク屋さんにもお金が落ちません。

扱いがうまいので壊したり事故を起こしたりもないので、それもまたお金が動きません。

その世界のことは知り尽くしているので賢くやりくりしているのです。

加えて趣味にお金を使いすぎると続かないと知っているので、細く長く楽しむペース配分がうまいようにも思います。

このブーツは私が愛用しているガエルネのNo145ですが17年も愛用しています。もはや自分の足のカタチになって思い出の詰まった愛しきアイテムです。

すり減ったソールなんかはDIYでこんな風に修復して使い続けています。これであと10年は使うつもりです。こんな風に滅多に新しい用品やパーツなんかは買わないのです。

もちろんヘルメットとかオイルとか消耗品は別ですが、嬉しくて赤いブーツ買ったり黒いブーツを買ったりはしないのです。

ベテランになるほどお金を落とさないマニアック層。企業としては大切ではあるが魅力のないユーザー層と言えるのです。

ただしこれは【大手企業】の話であって例外的にマニアック層に主軸を置いた本格派ブランドというのも存在しています。車両メーカーで言えばMOTOGUZZIとかMVアグスタなどがそうです。ただ業界全体の割合としては数パーセントの少数派です。

マニアックな雰囲気だけをまとい、にわか層にアプローチしているブランドも最近は見かけるようになりました。エンフィールドやIndianがそうです。にわか層の中には「人と同じものは嫌」というニーズが一定数あり、そこをピンポイントに狙ったマーケティングです。これについては大手はまず手を出さないので正に隙間産業的です。

HONDAやBMWといった大手は4輪も手掛ける国を代表するような大企業です。大企業のビジネスがマニアックではあってはならないのです。NSXやM1000RRなどはブランドのイメージを牽引させる旗艦であり、それ自体が利益を出す目的ではないのです。

となれば主力商品はにわか層から見て魅力的に感じるよう仕立てるのが通常です。
スマホ画面のようなデジタルメーターを見てマニアック層が嘆いても関係ありません。なぜならにわか層がデジタルメーターを気に入ってくれるからです。

気が付くとV型エンジンのバイクは減りました。
V型エンジンや水平対向エンジンは私のようなメカ大好き人間がこだわるポイントです。しかしメーカーの本音は12気筒などのトラックなら長さの問題で仕方ないが、たった2気筒のために、わざわざシリンダーヘッドを2つ作るのは効率が悪くて嫌なのです。

現在の2気筒モデルには心地よい振動を出すためのバランサーを搭載した並列エンジンが増え、複数のモデルで共通エンジンとしセッティングだけ変える。それを見てマニアック層が閉口していても、にわか層はそのようなメカのことなど気にしないのです。

それよりにわか層にとって大切なのは足が届くか、故障しないか、燃費がいいか?そしてステータスがあるか?なのです。

ただ、にわか層は自身では分からないことが多すぎるので、マニアック層達が認めたものを参照する傾向もあります。

誰かの承認を得たものが安心して買える、というのが消費者の心理ですので一概にマニアック層を無視はできないのが企業にとっては難しいところだと推察できます。

マニアック層が認めた噂を聞きつけてにわか層が買ってくれる。これが理想的なのかもしれませんが、そういった製品は開発費や原価が割高になり、なかなかハードルが高いと思います。
この構図が成功してる例はスズキのジムニーではないでしょうか。

マニアック層よりにわか層。
これはバイクに限らず多くの製品に言えることです。カメラなんかもそうですね。

もはやカメラはその市場をスマホに奪われて久しいですが、残った僅かな市場をミラーレスカメラでしのぎを削りあっているドス黒いレッドオーシャンです。
数年前、各メーカーからミラーレスの時代が到来!というイメージ戦略を打ってきて従来の一眼レフカメラからの買い替えニーズを促しました。

しかし、私たちユーザーが「本当に撮りたい写真」を求めるのにミラーレスが本当に必要でしょうか?利点が多いのは理解できますが、それが不要な使い方の人もかなりいると感じます。

これも企業がビジネスをする上でにわか層にアプローチしているだけかもしれませんね。

ちょっと冷静になって自分のアタマで考えると・・・分かりますよね。

今回はこの辺で。
読んでいただき感謝です。

いいなと思ったら応援しよう!