バイク歴35年がスーパーカブに1年乗った感想
いつも見ていただき感謝です。
バイクで旅する写真家 立澤重良です。
氣が付くと16才でVFR400Rに乗り始めた時から35年も経ってしまいました。私はブランクから返り咲いたリターンライダーではなく、降りることなく乗り続けてきたタイプです。
どうやら本当にバイクが好きなのだな…とそろそろ認めようと最近思うようになりました。
乗り継いだバイクはセロー、シェルパ、ジェベル、F650GSダカール、R1200GS‐adventureそして今のMOTOGUZZI V7specialなどなど。
バイク業界に身を置いていたころは製品開発やテストで色々な車種を扱った経験もあります。
こう書くとフレッシュな世代の方からみて【真正のバイク乗り】に見えるかもしれませんが、まだまだ知らないことだらけで未熟者でございます。
さて今回はそんな私が去年から乗り始めたスーパーカブのことについて書き綴ってみたいと思います。
ずっとBMWのような大型バイクばかり乗ってきた私が、累計販売1億1千万台と世界で最も販売された日本を代表するこのバイクをどう感じたか。
スーパーカブはビジネスや日常ユース以外にも趣味の世界として大変ディープなのは皆さまも既にご存知だと思います。
私のバイクライフはそもそも主軸が【バイク旅】であり、10代の頃は筑波サーキットなどに通ってはいましたが、以降はツーリングや林道走行ばかりでした。
今回は旅の道具としての視点で書いてみたいと思います。通勤通学やレジャーで使われる方にはあまり参考にならないかもしれません。
【みえる景色がぜんぜん違う】
まずこの一言につきます。
110ccなら100キロちかく出せるパワーがありますが、スーパーカブはゆっくり走るのが気持ちいい。ゆっくり走るといつもの道の景色が違ってみえる。
太い低回転トルクが軽い車体をまったり加速させている感じがライダーを急がせない妙。
いちど安定速度域になるとクルーザー的な雰囲気を纏うのは案外と語られないポイントだと思います。
あぁ、気持ちいい。
これでいいんだよ。これで。
まるで孤独のグルメに出てきた名言のようですが
自分という人間から「立派なバイクに乗って見栄をはりたい」という心の垢がすっかり剥がれ、丸裸の一人のバイク乗りになれた清々しさを味わいます。
ほそい小径。集落の生活道路。漁村や旧道をたずねたり、日本の文化や地理的な歴史を感じ取ったり、スーパーカブに乗るたびに驚きと発見の連続です。
大きいバイクで「ビューン」と走っていると見落としていた景色がかなりあったのだ・・・という氣付きが最大の発見だったかもしれません。
走りなれた地元、房総半島でそれを強く感じます。
こんなところあったなんて!
という発見がとにかく嬉しくて
またそんな発見を求めて小さな冒険にでる。
それがスーパーカブに乗る悦びです。
【軽バンに積載して車中泊旅】
もう一つは軽バンに積載して車中泊の旅ができること。
道の駅などでスーパーカブを下ろして車内で寝てしまう。今どき車中泊はちょっとしたブームなので、バッテリーや暖房機などの用品もたくさん売られています。
このスタイルは予約の必要なキャンプ場や宿と違い、予定に縛られない自由な旅ができるのです。
以前はキャンプ旅ばかりでしたが急な悪天候や連泊していると体力的にも少しキツいというのも最近の悩みでした。またキャンプブームの影響で以前のように自由にキャンプ場が利用できないのも悩ましい問題です。
長旅をしていると中間で悪天候の日というのがありますが、そんな日はバンで移動して美術館や温泉めぐりをするのが良いです。
バイクだけの旅だと雨で停滞を強いられるのですが、ここは楽しみの幅が増えました。
【旅がかわる】
旅先での地元の人達とのコミュニケーションも変わりました。
大型バイクだとどうしても威圧感があり、よそ者がやってきた感があったのですが、郵便屋さんと同じバイクだと全く警戒されず、地元の人と自然に会話が展開されます。
とことこ散歩するように移動することで「そぞろ歩く」ような旅ができるのです。
またSNS上などでカブ仲間も増えて交流の幅が一氣に広がりました。
2月の個展開催のときはカブ繋がりで知り合った方々が遠方より来ていただいて、本当にカブに乗るようになって良かったと感じたものです。
【スーパーカブのここが○】
細いタイヤサイズによる軽快なハンドリング。
クラッチの無い気楽さ。それでいてギアチェンジを繰り返す「操作の楽しみ」はしっかりある。
多少ラフに扱っても壊れない頑丈さ。
オフロード走行も砂利ダートなら問題ありません。
途中で獣道に変わってしまうような謎の林道も躊躇せず入って行けます。
燃費はツーリングで70km/lも走るので燃料代を気にすることはありません。離島に船で渡るときも125㏄以下のバイクなら安いです。
お財布にやさしいバイクです。
パーツも豊富でタイヤなども銘柄が多く選び放題。
アクセサリーも中古パーツもたくさん出回っています。
旅先でトラブっても日本中のどこのバイク屋さんでも見てくれるでしょう。
情報も豊富でカブ主総会やカブミーティングなどのコミュニティーもさかんです。そこらへんに停めておいてもBMWやハーレーのようにイタズラや盗難の心配が少ないです。
【スーパーカブの×なところ】
褒めてばかりいないでここでデメリットも挙げてみましょう。
・長時間走ると腰などに負担がかかり体力的にキツい。
・長い上り坂はどうしても失速する。
・私のような大型バイクが基準のユーザーだとサスペンションやブレーキなどが貧相に感じる。
・航続距離が短く200キロ程度で給油タイミングがきてしまう。
・ロータリーミッションは頻繁に乗って慣れないといけない
といった感じ。
以下はカブに限った話ではなく原付二種というくくりで感じたこと。
・125㏄以下通行不可のバイパスなどがツーリング先で急に出てくると戸惑ってしまう。
・交通量の多い国道などに行くと、心無いドライバーからの嫌がらせを受ける。
・普段使いで便利すぎて近所の買い物などもカブを使うようになり、徒歩や自転車を使わなくなって運動不足だ。
【この1年を振り返って】
もともと旅好きですが、まあこの一年はよく走り回りました。
1年間で福島の磐梯山や南会津、宮城の松島、静岡の朝霧高原や大井川、埼玉の秩父、栃木の那須高原、山梨の南アルプス、神奈川の鎌倉、山形蔵王、群馬の榛名湖や赤城山、長野の志賀高原、そして北海道の稚内や礼文島。
もちろん地元の房総半島や隣県の茨城も。
15000キロ以上は走りました。
もちろん故障やトラブルは何もありません。
メンテナンスやカスタムも全て自分でできます。簡単です。
【大型バイクと2台持ちする意味】
ベテランライダーの中には大型バイクと原付二種を両方持っている人も多いようです。CB1300SFとモンキーといった具合に。
私の場合はイタリアンバイクMOTOGUZZI V7specialとスーパーカブを所有しているのですが、なぜ大型も同時所有しているのかについて少しだけ書いてみます。
私のバイクライフの主軸はあくまで旅であると最初に書きましたが、やはり根っこにはバイクが好きというのがあります。私の場合は空冷Vツインなどメカが好きであったり、そのメカがもたらす「走り」が好きだったり、誤解を恐れず正直に言うとスピードが好きなのです。
スーパーカブでとことこ「そぞろ走り」するのは最高に楽しいのですが、やはり一人のバイク乗りとして、たまにはアクセルをワイドオープンしてぶっとびたいのです。
それもただ速ければ良いのではなく、エンジンという機械の鼓動を感じ、ほとばしるエネルギーの存在と同調しながらぶっとびたいのです。
もちろん安全運転の範囲内であるのですが、バイクをバイクらしく楽しむために自分らしい特別なマシンを一台持っておく、これが大事なのですね。
【私流スーパーカブのカスタム】
私のスーパーカブは走行距離500キロくらいの中古車を購入しました。このオールドラットグレーは群馬県の阿部ホンダさんのオリジナルペイントでカタログカラーではありません。
カスタムはキタコのクラシックダウンマフラーに交換している以外は大きな変更点はありません。
タイヤは前後ともDEESTONEのD779。林道走行も楽しむのでブロックパターンです。自分で簡単に交換できました。
ベトナムキャリアもリアキャリアもキタコ製。
撮影機材を入れるトップケースはヘプコ&ベッカーのアルエクスクルーシブ25Lサイズ(RIMOWA製)。
このケースはMOTOGUZZI V7と共用で使います。
バンに積載するので簡単に折りたためるミラーに交換しています。
後はシートカバーを赤い物にしたくらい、全体的に生活感が出ないようゴチャゴチャつけないカスタムをしています。
スーパーカブのようなバイクこそ洒落ていないとって思うのは私だけでしょうか。
パリのシャンゼリゼ通りでベスパと一緒にランデブー走行できるような感じを目指します。
【まとめ】
さあ、いかがでしたか??
こういったインプレ的な情報というのは誰が何を基準にして書いているのか?どのような趣味の人が主観で書いているか?または客観で書いているか?を冷静に見極めて読みすすめないと、自分に合った情報であるか読み間違えてしまうものです。
特に主観視点と客観視点を使い分けて上手に解説しているインプレというのは滅多にみかけません。
免許をとったばかりの人が初めて買ったバイクがスーパーカブだった、という人と、私が今回書いた内容は全く違うと思います。
その点、プロのジャーナリストが書いたものであれば、もっとも安心して読めると言えるのですが、プロの場合はスポンサー等に忖度しなければいけない「大人の事情」がからんでくるので本音があまり書けません。
今回の記事の場合はスーパーカブ一年生の私が大型バイクを乗り継いできたキャリアをベースに主観的に書いているのです。
あなたはだんだん
スーパーカブが欲しくなる~
あ、欲しくなる~
最後までみていただき感謝です。