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【第42話】沖縄本島一周編その⑧ 最終回 さらば、ありがとう沖縄。

2018年3月27日。沖縄一周ツーリングもついに最終日がやってきた。外周約385㎞、思えば長い道のりだった。6日間かけて昨日、ついに那覇市街へ凱旋を果たした。今日は14時過ぎのフライトで東京へと帰る予定だ。それまでの半日、ゆったりと那覇周辺の観光を満喫することにしよう。

▼前回のおはなし▼

いつから庭園散策が趣味になったのかね!?

ということで、まずやって来たのは識名園。琉球王家最大の別邸だ。池のほとりには沖縄と中国文化の折衷様式である御殿や六角堂などが建つ。この庭園も世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に登録されていて、今帰仁城跡をはじめとする5つの城跡や斎場御嶽と合わせて、これで全ての世界遺産の構成資産を訪問したことになる。これを目的にしていた訳ではないが、しっかり観光も満喫できたということだ。続いて、識名園から約5㎞の福州園へ。こちらは1992年開園と歴史は浅く、中国福州市との友好都市締結10周年を記念して建設された中国式庭園である。いかにもな意匠の建造物が醸し出す、エキゾチックな空間が広がっていた。

ゆいレールの下を通りながら目的地へ。普通にはま寿司とかあるんだ
識名園の御殿。時間の流れを忘れさせる居心地の良さだった
勧耕台という展望所からは海は見えない。これは当時、来賓に対して琉球国を大きく見せるためだったという
またしても国際通り。最短ルートを選んだらこの道になっただけで、観光がしたかったわけではない
福州園は観覧料200円なのがありがたい

那覇といえばベーカリー…な訳あるかい

ここからわずか400mほどの距離にある沖縄総鎮守・波上宮(なみのうえぐう)を目指した。その名の通り、海へ突き出した断崖の上に鎮座する神社だそうだ。その前に、お昼はどうしようか。まだ11時前だが、お腹が空いてきた。せっかくの最終日、何か特別なものを食べるのがフィナーレに本来ふさわしいが、7日間も滞在していると食に対する情熱が冷めていくもの。まだ知らない沖縄名物を開拓する元気はなく、神宮の近くに建つ昔ながらのベーカリーへと足を運んでいた。無性にパンが食べたかった。

「かめしまパン」は那覇に数店舗構える老舗ベーカリー
波上宮は「なんみんさん」の愛称で親しまれてるらしい
波上宮の脇に広がる「波の上ビーチ」は、那覇市内で唯一の遊泳可能な海水浴場。平成初期に造られた人工のビーチだそうだ

さらば、ありがとう沖縄。

まだフライトまで3時間以上あったが、時計を気にしがら観光するのも嫌なので、那覇空港へ一直線で向かった。那覇発の飛行機は、なんと茨城空港着。これでいい、便利さより交通費の安さを選ぶのが自分流だ。飛行機の窓からの景色は素晴らしく、眼下に広がる列島の地形がくっきり見えるほど快晴であった。一眼カメラを起動して、この7日間で撮り溜めた写真を見返しながら、思い出を振り返ってみた。

島南部から中部にかけて琉球時代の史跡が点在し、北へ向かうにつれ豊かな森林地帯に。それぞれ世界文化遺産と世界自然遺産に登録されていることから、いかにこの島が持つ資産・資源の価値が高いかが分かる。しかし戦時中、凄惨な地上戦の舞台となったのもこの場所である。それは平和祈念資料館で痛ましいほどに実感できたし、島内各地で見てきた米軍基地はその爪痕と言えるだろう。青い珊瑚礁に亜熱帯の森林、他国との交易で栄えた近世国家、そして今も解決しない基地問題。小さな島にこれだけ多くの要素が詰め込まれているのは、沖縄本島、というより琉球諸島が、極東に浮かぶ本土と東南アジア諸国の中間という位置関係だからなのだろう。今では日本という国家の一部だが、全く異なる発展を遂げてきた「日本であって日本でない場所」なのだと、一週間のツーリングを経て実感した。

間違えてバスとかが乗り入れる入り口に自転車で来てしまった
できることなら行きたくなかった
内陸を飛んでいたので、何の山なんだか全くわからなかった

沖縄本島一周ツーリングはあまりにも素晴らしすぎた。
また走ってみたいけど、この感動を超える事は恐らくできないだろう。
また何十年かしたら忘れた頃に再び来ようかな……。

沖縄本島7DAYS ツーリング、完。

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