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【第30話】ナミダの箱根越え〜さよなら2017年〜
今日もお疲れ様です。旅する自転車です。
もう5年も前のお話ですが、2017年最後のランになりました。
静岡県富士市をスタートし、沼津で市場の朝食を味わい、湧水の街・三島へとやって来ました。そして今回は東海道の難所としても知られる箱根を峠越えしてみたいと思います。無事に関東へ帰ってこられるのでしょうか…。
↓前回のおはなし
箱根峠とは
神奈川県箱根町と静岡県三島市との境にあり、箱根火山の古期外輪山西部を国道1号が通る標高849mの峠。難所ではあったものの関東と東海を結ぶ最短路のため、平安時代から始まり特に江戸時代には五街道のひとつ東海道の一部として多くの人々の往来があった。北麓には関所、宿駅ともに整備され、今も箱根関は旧跡として当時の姿を偲ぶことができる。高速道路が整備され最短ルートではなくなった現在でも、芦ノ湖や大涌谷など観光地のおかげで多くの車両が通る。サイクリストにとっても重要な場所で、首都圏から東海・近畿方面へ全自走(ファイヤー)するガチチャリダーにとっては最初に越えなくてはならない文字通り“関門”でもあるのだ。
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Ride To HAKONE
前置きはさておき、さっそく箱根峠を登ってみよう。三島の市街地の外れに差し掛かった頃にはもう緩やかな上り坂が始まっていた。その後は雑木林と民家が混在する、田舎らしい里山風景が続いた。大きな弧を描く坂を淡々と、着実に登っていく。スタートから10㎞、400mアップしたところで、日本最長400mの人道吊橋・三島スカイウォークがあったので休憩がてら立ち寄ってみる。せっかくの人気スポットなので橋を歩いてみよう。どれどれ、入場1100円と…………………。うん、やめておこう。倹約家のサイクリストは観光地を静かに去った。ここから目指す箱根峠までは7㎞・450mアップ。ちょうど中間地点だ。いよいよ斜度も上がり本格的な峠道へと変わっていく。視界は開け、前方には美しい山体が、来た道を振り返ると遠い街や迫力ある富士山の姿も見られた。優美な景色のおかげで意識していなかったが、だんだんと空腹が押し寄せて来た。空腹というのは突然やってくる。箱根峠をあなどっていて、補給食は何一つ持ち合わせていなかった。これは限界だと意識が朦朧とする中、前方に店の姿を捉えた。「峠茶屋」、素晴らしい響きだ。自転車は適当に投げ飛ばして店へと駆け込んだ。ろくに噛みもせずに焼肉定食を完食した。店を出てわずか350m、ついに標識を発見。三島市街から16㎞・850mアップ。箱根峠、無事登頂成功。
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あぁ、美しき芦ノ湖
当たり前だが峠を過ぎると下り坂が待っていた。芦ノ湖は峠を越えた神奈川県側にある。箱根には無数の観光名所があるが時間的にも予算的も当然全ては見切れないので、いくつか絞って回ることに。まずは海賊船がトレードマークの芦ノ湖へ。といっても眺めるだけ。続いて箱根関所へ。歴史と地理を学べる激アツスポットだ。他の名所も行ってみたかったがあまり長居はできない。まだ14時ではあったが11月末の日は短く、すでに夕方の気配が感じられた。明日は月曜、仕事が始まる。早めに下山しよう。途中で若干の登りはあったものの、登った分と同じだけ一気に山を下った。爽快そのものだ。あっという間に麓まで降りて来た。森は紅葉に包まれ、シーズンなのか多くの乗用車で渋滞していた。隙間を抜けるように進めるのも自転車の特権。これもまた爽快なのだ。箱根湯本駅へ到着した。ここからロマンスカーに乗って帰ることもできたが、やはり“過去に走った道へ”というしょうもないマイルールにより、無駄に6㎞、惰性で小田原駅まで自走した。小田原では特に何をするでもなく、東海道線に乗り帰路についたのであった。
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箱根ランはとくにトラブルもなく、ただただ良い景色を見て、安牌な終了をした。…それでいいんだ。平和が一番。こうして2017年のサイクリングが無事に終わったのであった……………。
2017年はというと新卒社会人になり、上期は大阪を拠点に琵琶湖や淡路島、紀伊半島や北陸を走り、下期には東京に戻って静岡・神奈川を重点的に巡りました。2018年はどう過ごそうか。関東に住んでいながら行ったことのないあの山や高原はもちろん、最果ての岬や離島にも行ってみたい。日本には、まだまだ知らない景色がたくさんあるのだから……………………。
つづく。