【第19話】叫びたい! 北海道国道の最高地点はココだ
みなさんこんにちは。
旅する自転車です。
8月の北海道ツーリング3日目です。旭川から北海道の国道最高地点の三国峠を目指します。前話では自転車のメカトラを直して、旭川を発ち層雲峡へとやって来ました。今回はどんな体験が待っているでしょうか…。
↑前回のお話はコチラ↑
トンネルを抜け三国峠はもう目前
層雲峡の銀河の滝・流星の滝を出発すると目の前にトンネルが現れた。銀河トンネルといい、全長3388mのとてつもなく長いトンネルだった。トンネルを抜けた後はひたすら山道を登っていった。分厚い雲に覆われた空だったが、ついに雨が降り始めた。霧を伴った山の雨だ。視界は奪われ、寒さで気力・体力も徐々に削られていった。写真を撮ることも忘れ先に進むことだけに専念し、1時間ほど山を登ると三国トンネルが現れた。ここを抜ければいよいよ三国峠。峠には駐車場が整備され、一軒のカフェが立っていた。迷わず店へ入った。寒さと空腹でほとんど限界だった。この建物がなかったらどうなっていたことだろうか。できる限り温まる物と腹に溜まる物を頼んだ。旭川からここまで95㎞・1180mアップ、長い道のりだった。
北海道国道最高地点に立つ
店を出る頃には15時30分だった。「三国峠」の看板が立つ展望台があったので行ってみた。が、視界には霧が広がるのみで景色は何一つ見えなかった。旭川からはるばる7時間半も走ってきて、さすがにこれはない。しかし天気はどうすることもできない。悲しいがこれが現実。それよりも先を急ごう。峠を出発し坂を降り始めようとしたとき、左手にとんでもない景色が広がっていた。カーブを描いた一本の赤いトラス橋が、霧雨に包まれた樹海の上を走っていたのだ。松見大橋、これこそが三国峠を象徴する景色。この景色を見るためにここまでやって来たのだ。まさに「絶景」。興奮のあまり声が漏れた。雨が降っていることなんて忘れて、しばらくこのパノラマを眺めていた。何枚も写真を撮り、目的を達成したところで降りることにした。雨のダウンヒルだ。
鉄道遺構・タウシュベツ川橋梁
25㎞・600mダウンしたところで、タウシュベツ川橋梁の案内板を見つけた。旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群の一つで、北海道を代表する鉄道遺構。散策路を歩いた先の展望台から、遠くからでもシルエットを確認できた。この橋を過ぎてからの道はただの移動でしかなかった。特に面白い景色や名所はなく、距離にして30㎞走り上士幌町に到着した。三国峠から降りた最初の町だ。今日の宿を探そう。Googleマップを開いて「宿泊」と検索。片っ端から電話をかけてみる。「ごめんなさい今日は満室で」「今日はお休みで」。これはマズイぞ。結局、町中の宿へ問い合わせたが一軒も空いていなかった。マズイ、詰んだ。旭川から150㎞走り1254mアップ・1092mダウンした。疲労と冷えで限界に近かった。でも泊まるところがないのだ。
上士幌を越えて士幌へ
北海道を甘く見ていた。このまま町のバス小屋で寝ようかとも思ったが、いいアイデアを思いついた。次の町、士幌町まで走ればいい。距離にして10㎞。行ける。再びGoogleマップを開いて宿を検索、1軒予約がとれた。雨が降る中、一本の道を進んだ。左右には広大な農場が広がり、建物という建物は牛舎くらいで、まさに大地を走る一本の道だった。雨空のため時間の変化はほとんど感じなかったが、ついに日が沈み始めたのか空は薄暗くなってきた。雨のナイトラン、そして大地に自分ひとり…。もしここでタイヤがパンクなんかしたら、おそらく無事ではいられないだろう。たったの10㎞の道のりがとても長く感じられた。ただ無心にペダルを漕ぎ進め、ついに上士幌朝へ到着した。19時を過ぎていた。空は完全に暗くなり、雨も激しくなっいた。宿へ到着した。たった1日で160㎞も走るなんて…。倒れるように寝た。
ツーリング4日目へ、そして…
8月12日8時起床。昨日は大変ハードな1日だったが、意外と疲労感なく目覚めた。素泊まりのプランだったが、宿の女将さんが親切にも朝食を用意してくれた。旅人にまかない飯はとても嬉しい。今日の行程は帯広までの30㎞弱。あまりにも楽すぎる。宿に別れを告げて出発した。空は相変わらずどんよりとしている。北海道ツーリング4日目がヌルッと始まった。帯広に到着したのは11時過ぎ。ちょっと早いが昼食とすることにした。目当ては名物の豚丼。小さめのサイズを頼んだっが食べ応えのある一杯だった。食後は駅ビルの案内所で「おびひろスイーツめぐり券」を購入。これ一枚で、対象商品5点とお得に交換することができる。銘菓コーナーを回り、気になるスイーツを片っ端からゲットしていった。そして13時35分発の特急とかちに乗車した。目指すはそう、札幌だ。北海道ツーリングは舞台を変え、大都会・札幌からリスタートする。今日で1週間の折り返し、後半戦へと続くのだ……。