トンコツの英語表記はTONKOTSUで大丈夫なのか?〜英語表記のコツ
今できるインバウンド対応としておすすめしていることは、他言語表記を準備しておくことです。SNSや研修を通じてインバウンド受入に関するヒントを紹介してきましたが、これまで最も反響が大きかったのは、食に関するこちらの記事でした。(以下、ブログの再掲です。)
今回は、外国人観光客が入店したくなるお店になるためのヒント、外国人リピーターはどんなことに関心があるのか、どのような英語メニュー表記にするとわかりやすいのか、おもてなしの実践経験をふまえてご紹介します。
ピンポイントのリクエストには、臨機応変な対応を
以前担当させていただいたお客様は、最初は団体ツアーで来日していましたが、数年前からはLCCを利用して頻繁に来日しているリピーターさん。目的がはっきりしていて、「あの店でこれが食べたい」「あの店のあれが欲しい」というようなピンポイントのリクエストが入ることもしばしば。
SNSで見つけた場所に行きたいと希望が出たり、訪問地の追加や変更が入ったりすることもよくあります。臨機応変に対応することが、おもてなしの現場に求められます。
期待値が高いリピーターには、高品質のサービスを提供し続ける
日本大好きで頻繁に来日しているお客様は、施設に対する期待度が自然と高くなることもあるようです。リピーターさんに満足していただけるような、安全かつ快適、上質のサービスを提供し続けていくこと。外国人のおもてなしに関わる私は、いつも心がけていることです。
そのためには、まずはお客様の声に耳を傾けることから始まります。かつて現場でこのようなリクエストがありました。
外国人が食べたい「トンカツラーメン」とは?!
お客様に「お召し上がりになりたいものはありますか?」と尋ねたところ、「トンカツラーメン!」と元気な返事をしたのは、リピーターのお友達、初来日された東南アジアからのお客様でした。
困ってしまいました。私はそのようなものは食べたことがありません。さて、どう対応しましょうか?
お客様に「トンカツラーメン」について詳しく聞いてみたところ、このような情報がありました。
・クリーム色した濁っているスープ。
・博多で食べて以来、必ず食べている細麺のラーメン。
・ラーメンの上にはチャーシューがのっている。
・揚げた豚肉のカツレツはのっていない。
整理すると、つまり、こちらのお客様の求めているトンカツラーメンとは、トンカツでもなく、トンカツがのったラーメンではなく、豚骨ラーメンでした。(トンカツラーメンを提供しているお店もあります。)
トンコツをトンカツと混同しているようです。音が似ていますから、勘違いしてしまったのでしょう。
この状態で、”TONKATSU” という看板をみたら、待ってましたとばかり、迷わず入店されることでしょう。
例えば、こんなシーンが展開されるのでは?
~~ここは、とあるトンカツ専門店~~
東南アジアからの観光客が、TONKATSUの看板を見つけて、喜んで入店してきました。彼らは、この店でお目当の豚骨ラーメンが無いことに戸惑っているようです。トンカツ=豚骨と勘違いしているのですが、この時点では、勘違いに誰も気がついていません。
この後、どんな事態が起こり得るか考えてみましょう。
1.どうしてラーメンがメニューに無いのかと英語で詰め寄る外国人。
2.ラーメンが無いことを、スムーズに説明できないスタッフ。
3.よくわからないけれど、機嫌を損ねて帰っていく外国人。
4.よくわからないまま、お水と使用済みのおしぼりを片付けるスタッフ。
どうでしょうか?
勘違いや認識違いによるトラブルは、いつでも、どこでも起こり得ます。外国人観光客が増えているので、飲食店でこのような事例の報告が急増しています。
では、どうすれば、このような事態を事前に防ぐことができるでしょうか?
勘違いによるトラブルを事前に回避するにはメニュー写真が有効
勘違いや認識違いによる外国人とのトラブル、できれば避けたいですよね。
できれば、英語を話さずに、トラブル回避したいですよね。ならば、一番カンタンな方法は、メニューの写真を出しておくことです。
店前に食品サンプルなどのディスプレイがあれば、外国人のお客様にも理解していただけるはずです。さらに写真があれば、目で見てわかりやすいので、言葉の壁も心配しなくて大丈夫です。英語アレルギーさんには特におすすめです。
たとえば、豚骨ラーメンを説明する場合を考えてみましょう。
ラーメンの写真とTONKOTSU RAMENの表記で完璧ですか?
豚骨ラーメンが豚由来のスープであると理解している方ならばこちらで十分でしょう。ただし、ムスリムのお客様を対応するには、これでは不十分な場合もあります。スープが白濁していると、クリームシチューのように、牛乳を使用したクリーム系スープと解釈されることもあります。
豚骨が原料に使われていることを知らない外国人とのトラブルの事例も、最近よく聞こえてきます。東南アジアからのお客様が多い日本では、ムスリム対応の機会も増えています。
豚骨スープはPORK BASED SOUP や PORK BONE STOCKと説明する
豚骨ラーメンはPORK BASED SOUPやPORK BONE STOCKであることを書き添えると、豚由来の食材を摂取されないムスリムのお客様などにも、とても親切な表現と言えます。
豚骨ラーメンならば、「TONKOTSU RAMEN - PORK BONE STOCK」 こちらでいかがでしょうか。
英語に訳さなくても通じるメニュー
スシ、テンプラはもちろん、トンカツ、ヤキトリ、テリヤキ、テッパンヤキ、などは訳さなくても、アルファベット表記で通じることが多いです。
ただし、外国人が思い描いているメニューと名前が一致しているかどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。写真で確認することで、トラブル回避できます。
海外で人気のトンカツは、TONKATSUで通じるでしょう。これを英語で説明するなら、ポークカツレツ pork cutlet がおすすめです。このほか、breaded pork cutlet や deep-fried pork cutlet というように様々に英語表記できます。
外国人にも日本人にもわかりやすい、カンタンな英語表現にすること
発音しやすく、聞きやすい表現にしておくことは、外国人のお客様のみならず、接客にあたる現場スタッフさんにも優しい方法なので、とても喜ばれます。スムーズにコミュニケーションできる手助けになりますので、英語アレルギーの方にも、ストレスが軽減されて、働きやすい現場になりますよね。
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できるところから少しづつ、一緒に進めていきましょう。どんなことでもお気軽にご相談くださいね。わたしたちはこれからも、現場でがんばっているあなたを応援していきます。