インバウンド再開の不安とシュッシュの話
コロナ禍で迎える3度目の夏、行動制限のない初めての夏休みは、残すところあとわずか。歴史のある花火大会や夏祭りが開催されて、久しぶりに観光客でにぎわった地域もありました。
インバウンド関連では、6月10日の水際対策緩和から2ヶ月が過ぎ、あちこちで外国人観光客の姿をちらほら見かけるようになってきました。ようやく、コロナ前の日常に戻りつつあるようで、明るい兆しを感じています。
ゆっくりではありますが、一歩一歩前に進んでいますよ。全面的な受入再開には、もう少し時間がかかるかもしれませんが、いずれ必ず復活しますから。今のうちに、できる準備をしておけば大丈夫です。
3年ぶりの外国人観光客の受入ということは、3年ぶりに外国語で接客することになる人も多いはず。いきなり100点満点を目指すと挫折しがちです。カンタンにできることを、一つずつ始めてみてはいかがでしょうか。
先日、某観光施設からのご相談は、このような内容でした。
「久しぶりのインバウンド再開で、いろいろ不安です。」
その気持ち、本当によくわかります。2ヶ月前の私とまったく同じです。
ガイドラインを適用して、初の訪日客を迎える前は、不安であまり眠れませんでした。外国人が、日本の感染対策に対して、どの程度ご協力いただけるかわからないという心配もあり、もやもやした気持ちだったので。
もやもやしたり、不安な時、私がいつもやっている方法があります。恥ずかしながら、ご紹介したいと思います。
1. 不安材料をすべて、紙に書きまくる!
2. 対策できること、できないことを分類して、別々のページに書き直す。
3. 対策できないことのページを破り、くしゃくしゃにして、捨てちまう!
4. 対策できることは、やるべき作業と手順を書き出し、時系列にまとめる。
書いているうちに、気持ちが整理できます。不安の種が小さくなったり、消えたりするのでおすすめですよ。今回は、この作業を進めていくうちに気づいたことがあります。
それは、
お客様は、楽しむために日本にやってくる!
ということです。当たり前のことですよね。目には見えないけれど、とても大切なことに気づくことができました。
旅行する時は誰でも、訪問する場所が安全かどうか、しっかり調べますよね? 外国人も同じことをしています。
日本の感染状況を理解されて、来日を決断しているお客様です。海外旅行で病気になりたい人など、どこにもいないはずです。
お客様は、感染対策にとても協力的
屋内でのマスク着用や、検温、消毒についてお願いしたところ、文句ひとつ言わず、とても積極的に協力してくれました。そう言えば、6月のツアーではこんな事がありました。
背後から聞こえてくる不思議な音
京都市内のとある観光地に到着して、車を降りて歩いていたところ、私の少し後ろを歩くお客様のところから、不思議な音が聞こえてきました。
「シュッシュ、シュッシュ・・・」
振り返ると、皆さんで、両手をスリスリ、こすり合わせていらっしゃいます。音の正体は、携帯用の消毒スプレー。
小さい消毒スプレーをバッグに取り付けて、何か触るたびに、毎回忘れずにシュッシュ。車から乗降したり、手すりを触ればまたシュッシュ。家族全員で笑顔でシュッシュと、まるで消毒することを楽しんでいるようでした。
建物の入口では、毎回必ず立ち止まり、検温に対しても積極的でした。インバウンド再開以降のお客様で、感染対策への協力を嫌がる方には、私はまだ会ったことがありません。
よく考えてみたら、長い飛行時間をずっとマスク着用して来日されています。わたしたちが思っている以上に、感染対策にはかなり協力的なのですよ。
「今はもう誰もマスクしていないけど、日本に来たら日本のルールを守りたい。」
と仰せでした。
彼らの国より、日本の方が感染リスクが高いことを忘れていませんか?
今は日本が世界一感染者が多いこと、世界中が知っています。
それでもなお、日本に行きたいと言ってくれる外国人がいることは、本当に嬉しくなります。大変な手続きを経て、無事に到着されたお客様です。あたたかい気持ちを胸に、おもてなしできたらいいですね。
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