「限定」って言葉の魔法
前略 ソシャゲのガチャで爆死した。
初めまして、出版甲子園2年のまきおと申します。漫画とゲームが趣味の超インドア人間です。最近の悩みは意図せず早寝早起きをしてしまうこと。せめて日付変更までは夜更かしがしたい。
さて、冒頭に記したように、先日わたしはソシャゲのガチャでけっこうな「爆死」をした。
わたしが爆死したのは、某有名アイドル育成ゲームだ。可愛い女の子たちが画面の中で踊ってくれるやつ。いくつかのソシャゲを掛け持ちしているが、現在がっつり課金しているのはほぼこのゲームだけだ。編成を強くしたいとか、そういうのは結構どうでもいい。ただ、推しが可愛い衣装を着て踊ってくれるのが見たいから、貢物のような気持ちで魔法のカードを買ってガチャを回している。
爆死、の定義も人やゲームによってさまざまだろう。無課金勢の友人は10連や20連で出なくて「爆死した。もういい。引退する」と報告してくるし、SNS上で見かける廃課金勢には「今年天井〇回目!w」なんて人もいる。(※天井=規定の回数分ガチャを回すと、確定で目当てのカードがGETできるという最終兵器。ゲームにもよるが、大体諭吉9枚くらい…)
わたしもこのゲームを始めて3年間、大小さまざまな爆死を経験してきたが、先日は史上最悪の爆死額だった。今回爆死したのは年に数回開催される「SSR排出率2倍」&「期間限定SSR排出」の限定ガチャ(通称フェス)だ。待ち望んだ推しの限定SSRピックアップ。雨のなか家を飛び出して、課金カードを買いにコンビニへ走った。推しに会える!そんな期待で胸がいっぱいだった。その後地獄が待っているとも知らずに。
そして臨んだフェス開催日。15時の更新と同時にアプリを起動した。課金石を買って、ひたすらガチャを回す。なにかおかしい。回しても回しても何も出ない。推しが出ないどころか、まずSSR自体が出ない。また石を買い足す。出ない。買い足す。出ない。出たとしても被りSSRばかり出る。笑ってしまうような地獄を体験した。排出率2倍?0は何倍になっても0なのだ、と悲しみの中で悟った。
そうしてわたしのフェスは終わった。年齢制限のため天井はできなかったが、それが良かったのか悪かったのかはわからない。ただ手元から金が消え、「めぼしい収穫なし」という虚無だけが残った。数日間はぼーっとしてアプリが開けなかった。
数週間経った今も傷は未だ残っているが、ゲームはプレイできるようになったし、だいぶ落ち着いて当時の状況を振り返れるようになった。
さて、長々悲しみの記憶を綴ってしまったが、ここからが本題だ。
「限定」って言葉には魔法がかかっていると思う。本日限定割引商品!とか、当店限定カラー!とか見ると買わなきゃいけないような気持ちになるし、期間限定クーポンを配布されたら使わなきゃいけないような気がしてくる。でもって、あとで冷静に考えたら大して欲しくもなかったりする。単にお得だから、商品が素敵だから、ってだけじゃなくて、「限定」って言葉がわたしたちの欲望を駆り立てている。
ゲームだって同じだ。好みドンピシャの可愛い衣装を着た女の子を意のままに踊らせたい!推しのカードを手元に揃えたい!って気持ちは勿論あるけど、それだけじゃなくて「限定」だからこその価値を見出してしまう。今しか出ない。この数日間を逃したらしばらくは引くことができない。いつでも出る可能性があるし、なんならスカウトチケットで簡単に手に入る恒常カードよりも、期間限定の限定カードの方がプレミアムで素晴らしいもののように感じてしまう。(実際は限定の方が運営の気合が入っていて衣装が豪華であるという側面もある)
推しへの愛と、可愛さの暴力と、タイムリミットが迫ってくる焦りと、『限定』の魔法が、欲望を増幅させてお金を巻き上げていく。あぁ、怖い。限定って怖い。だけど限定って素晴らしい。次は天井してしまうかも。そうして傷が増えていくんだけど。
「限定」の虜は今日もやめられない。
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