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帰省

東京から次男が帰省してきた。gotoキャンペーンに東京が含まれたし、次男の周りでコロナに感染した人はいなかったこともあって、私たちもそろそろいいかなと思った。

次男の働き先は、ほとんどテレワークに移行した会社で、たまに入るネットワーク会議や打ち合わせなど以外は、自由気ままに仕事をしている。打ち合わせ中にうっかり声をかけてしまわないように、『仕事中です』『FREEです』というカードを作って次男のドアに取り付けた。

次男が東京で暮らすようになって、もう10年以上が過ぎた。次男が帰ってくると家の中は、『お祭り』になる。

私は次男のリクエストに合わせて夕飯を作り、夫は毎日欠かさずビールを買ってくる。週末は、子どもの頃から行っているなじみの喫茶店やお寿司屋さん、それから次男が希望する地元の居酒屋に出かける。

そうして、この店によく来ていたのは、中学生の頃だったとか、ピザトーストばかり食べてたとか、を思い出す。あの頃は実はこんな風に考えていた、なんて思いがけないことを知ることもある。

そんなことを次男の帰省のたびにずっと繰り返してきた。そうする中で、私たちは家族の思い出を再確認してきたように思う。次男の幼さの思い出や長男のとんでもない失敗やらを思い出しては笑うのだ。時には、それぞれの中で記憶が補正されていて、誰の記憶が一番正しいのか、判然としない思い出もある。(もっとも、たいていの場合、一番信頼されるのは、長男の記憶なのである・・・。)

今年はゴールデンウィークの時期もお盆の時期も会うことができなかったこともあり、たっぷり2週間滞在した。2週間の『お祭り』の後、次男は静かに東京へ戻った。

全国的に感染者が微増しつつあり、不安がなかったわけではない。次男も一回だけ、「もし、自分が感染者だったら。」という言葉を口にした。

でも、帰ってきてくれて楽しい2週間だった。その時はその時と、私たちは思っていた。

次は、年末だね。また、少し長く滞在できるといいなと願っている。



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