1-1 日常から非日常に変わる
中学1年。暑さがやわらいだ季節、12時。
授業が終わるチャイムの音とともに、机の移動が始まる。ほとんど全員にとっても、成長期の僕にとっても大切な給食の時間だ。お腹が空いた。
席替え後初の給食。前回は出席番号順だったけど、今回は抽選か何かで決まった席。
もともと、初対面が苦手な僕は緊張しながらも楽しみなこの時間のために机を移動しようとしていた。6人一組で班になる。これ以外はいつもと変わらない給食の時間。
机を動かす。
えーっ!?
という声を聞いた。僕と対面になるMさんの声。
え?何? こちらを人差し指で指している。
え?何? 嫌そうな顔をしている。
え?何? え?何?
僕は理解できなった。席の順番からいっても机を動かした場所は間違えない。人見知りで初対面が特に苦手なので、こういうことは何回も確認する。
やっぱり席の場所は間違っていない。
なんとなくわかった。
違う。席の場所じゃない。”僕”が嫌だったようだ。
そう思った。
面と向かって感じた否定。
その時
キーーーンという耳鳴りに似た頭の奥底から下っ腹までえぐられるような気持ちの悪い音が、耳の奥で鳴った。その後、何も聞こえなくなった。正確に言うと耳は正常だ。ただ聞こえなくなった感覚が続いて、僕はその場に立ち尽くした。
生まれて初めて、心が壊れる音を聞いた。
机を10㎝ほど(多感な頃の10㎝は5㌔にも感じる)みんなの席から話して着席。Mさんはバツの悪そうな顔をしていたと思う。隣のO君は知らないからか、もっと寄せようと言ってると思う。僕は苦笑いしていたと思う。
結局、牛乳だけ飲んで、席を立つ。
お腹はもう空いていない。
その後の授業なんて何にも記憶がない。終了のHR(ホームルーム)が終わり、気づいたら廊下に出ていた。「元気ないじゃん」といつも一緒に帰ってくれたR君が声をかける。
『別に』と返す。
「またね」と言い、うちに帰る。
中学一年の暑さがやわらいだ季節に
僕の日常生活はなくなった。
汗は出ない。涙も出ない。
*ARMS 精神病発症危機状態
色々、適用できん。もう何もかも怖くてたまらん。一人にしてくれ。でも、お願いだから独りにはしないでくれ。
親は気づかない。多分、気づいていても声をかけない。「思春期」という四文字熟語にすら足りない、たった3文字で片づける。
ここで寄り添ってくれ。
お願いだ。登校拒否児を持つ親たちよ。ここで寄り添ってくれ。何も言わなくていい。ただ存在承認してくれれば良い。
学校行け、勉強しろ、なにかあったの?とか要らない。(女性の方は聞いてほしいと願う方が多い。男性は放っておいてと思う方が多いらしい)
とにかくいつかこっちから話すから。心の整理がついたら話すから。日常生活で僕を承認してくれ。
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