作品メイキング話
筆が進まないので、作品メイキング話で茶を濁します。
自分はこんな感じで作品を作りますが、他の方がどうやって作品を作られているか気になります。メイキングや裏話を見たり知るのが好きなので!
今回はこちらの二次創作を書く時の流れや裏話を書いてみようと思います。ネタバレになりますのでお気をつけください。
作品のパーツを長期温存していた
大庭葉蔵(人間失格)と黒木三造(狼疾記)は似た者同士ではないか。作品を介して会話できそう。という思いは、1年以上前からありました。
何かのきっかけで書くことがあれば出そうと思いつつ、仕舞い込んでいました。
シーンを夢にみた→書かねば!
2022年10月5日。文劇(舞台 文豪とアルケミスト)の夢をみました。
文豪ひとりひとりが自作品を朗読して話が繋がり光が生まれ集まる場面と、ラストの煙草のやり取りでした。
夢でみた場面が好きすぎる。この夢を共有したい。一人でこの幻覚を抱えて悶え死にたくない!この幻覚を共有して、皆も沼に沈めたい…!
その勢いで、10月10日から書き始めてます。
物語内容から、12月4日を作品公開日に据えました。
プロット
本作のプロットはこちらです。
これだけです。普段プロットを作らないので、これでも作ったほうです。メインテーマや大まかな流れは既に決まっています。私はオチが決まらないと書き出せないタイプなので、結末が書き出し当初の想定から変わることはほぼ無いです。
「舞台」を矛盾なく文章に落とし込みたい
あくまで「文劇(舞台)」をノベライズにしたい。
書く際の文体を、台本調に寄せました。
アンサンブルの動きを地の文に入れるよう意識しました。アンサンブルさんが小道具などで世界構築できるような内容にしよう、と思って書いています。潜書した世界は、まどマギの魔女空間を作るイメージで書いていました。
舞台上でやる、板の上でやることを意識して、ボリュームも実際の舞台上演時間と合わせました。
実際の舞台装置をイメージし、役者さんを場面転換ごとにどちらの袖に捌けさせるかも考えています。
なかじまはウィッグアレンジの都合で一度だけ裏人格で出すことに。ウィッグ変更時間を稼ぐのに、別の文豪を先行で潜書させたりして、別のシーンを挟んでいます。表人格は剣を持つ描写がないので、攻撃方法もそれに合わせました。
↓イメージスケッチは後日描いたものです。
1枚目画像は上から
・「宿命」内の屋上バトルシーン(アニメの絵コンテをきるイメージで作っていました。脳内で完全に映像にしてから文章に出力しています)
・「宿命」後の補修室での会話からの舞台回転の流れ
・垂れ幕落下場面
2枚目画像はラストバトル後のシーン。文劇1の舞台装置をベースにしていました。
実際の上演に耐えられるものを書こう、ということで、実際上演したら、役者さんの日替わりアドリブで笑いを誘う場面が出てきて、もう少しギャグシーンが入るだろうと思いながらも、作品内は台本そのまま(アドリブ部分は抜き)で書きました。猫好き同盟、動く博物標本、バーのやり取りなど、日替わり演技が入る余地があるところを若干想定して入れています。
下調べ(原作ゲーム、舞台、アニメ)、メンバー選定
ここから、怒涛の下調べをしています。
原作ゲーム、舞台、アニメで既に取り上げられたネタとかぶらないようにしたかったので。
原作ゲームのイベントで、ネタやエピソード、取り上げる作品が重なりそうなものについては、全部読みました。キャラクターごとのセリフ、互いを呼ぶ際に何と呼ぶか、などなど、片っ端から全部調べて読み込み、必殺技時のセリフや言い回しで使いそうなものを拾い上げていきました。本作では双筆神髄(文豪2人のゲージがたまった時に発動する必殺技)が計3回発動しています。攻撃時のセリフでわかるので、探してみてください。
既にある作品とのネタかぶりを調べつつ、同時進行でメンバー選定をしていました。
別人格との葛藤の話は、原作ゲームイベントの展開が好きなので触りたくない、だから今回は使わない。そんな中で今回のメインテーマが定まり、人間失格と狼疾記、作品を介して会話する展開を今こそ使おう、となりました。
メインテーマが決まると、文豪メンバー選定に入ります。メインメンバーは6名前後。主役のなかじま以外に、夢にみただざいが確定。展開上、あくたがわも確定。あくたがわとの関わりから、はぎわらとむろうときくちが確定。しがとむしゃのこうじの2人を出すか、えどがわとなかはらの2人を出すかで迷っていました。(しがむしゃで出すなら、城の崎にてエピソードを考えていました。)迷いましたが、裏人格説明できるメンバーが必要なのと、春日狂想を入れたかったので、えどがわ、なかはらがメンバーに決定。
下調べ(史実と作品)
史実とそれぞれの文豪の作品についても、怒涛の下調べをしています。歴史苦手なので苦しかった…!
メインメンバー文豪全員の人生の流れをwikiで読んで頭に入れ、青空文庫で作品を片っ端から読み込みます。文豪同士の関係性を掴み、行動や作品や言葉使いや表現から滲み出る、ひとりの人間としての様式や考え方、行動原理をトレースするために、ひたすらインプットをし続けます。
夢で、文豪ひとりひとりが自分の作品を朗読する場面をみていたので、そのシーンに使う作品を探して、青空文庫を片っ端から読みました。ここが難航した。シーンに合う、なおかつ全体で一文に繋がるような言葉がなかなか見つからず、文言を探す過程で、結局、該当文豪のほぼ全ての青空文庫掲載作品を読むことになりました。特にえどがわ作品が大変で、一本一本の話が長めなので読むのに時間がかかるし、作品テイスト上、一文につながる前向きな言葉がなかなか見つからない。セリフのためにえどがわ作品をひたすら読むのだけで7時間以上かかってます。
台詞文章を何とかひねり出し、ラストバトル結末を書き上げる素材が集まりました。
そして文豪ひとりひとりの史実を追いかけます。芥川賞の成立を調べ、選考委員それぞれの作品への講評も読みました。冒頭で、なかじま作品に「一票を投じた」のは、選考委員のむろうです。
下調べ(舞台)
各文豪の言い回しや言葉のリズム、イントネーション、立ち居振る舞い、武器さばきや殺陣を頭に叩き込む。原作ゲームではなく舞台を二次創作するので、役者さんが既に演じた役については、そこに当て書きするような形になります。
登場文豪や舞台構成、テーマの絡みで、関連性が高いのは舞台一作目と三作目。この2作品のブルーレイを延々リピートしながら、鍵となるセリフをメモしたり、言葉や動きを覚えたりしました。
各文豪の動きをトレースできるくらい、ひたすらインプットしまくるしかない。月曜〜金曜は帰宅してから毎日舞台ブルーレイを一周する。土日は朝9時から夜24時まで、ずっと舞台ブルーレイを周回していました。書いてる時もずっとBGMは舞台ブルーレイでした。(他の二次創作では、ドラマCDを何時間も周回するのをよくやります。セリフ回し、イントネーションや言葉のリズムで、キャラクターの人格、行動原理をインプットするためです。)
役者さんが役を演じる際と同様に、役を自分の中に落とし込むイメージです。すべてのセリフや動きには、本人の中に感情の流れや理由があるはず。違和感がなくなるまで、自然な流れになるまで、インプットと稽古をするしかない。
書く!
各文豪の作品を読んで、はぎわらの作品「宿命」を使うことが決まる。
それが決まったあたりから、ひたすら書き進めました。
ラストシーンは夢そのままなので、最初に書き上がる。
それから、冒頭からを書きはじめる。
宿命の潜書完了まで書き上がるまでで1ヶ月。ここまでは勢いで走りました。調べものの量が尋常じゃなかったので、その時間も含めると、だいぶ急いで書いています。ひたすら書いて空白シーンの穴を埋め続ける。
ほのぼの日常シーンを入れたい、そこから猫ちゃん愛好会をやることに。鼠のオモチャが自然と出てきて、えどがわを絡ませるのに糸の仕掛けが出てきて、ラスト伏線が決まりました。最初は光の糸を手繰るイメージでしたが、文劇1の蜘蛛の糸にかぶってしまい、ネコちゃんつながりで、急遽虎に乗っかる事になっています。(懐に鼠を入れた時のえどがわ側の理由は、逃げたり姿が見えなくなってしまった時に見失わず追えるようにするためであり、ネコ科の巨大動物が追ってくることまでは想定していなかったはずです)
宿命の潜書は、自殺の恐ろしさを含めて数場面を想定しました。ラストに繋げるのに、なかじまとだざいだけを別行動させたくて、落下させたらお姫様抱っこになりました(笑)ラストでポジションが逆になります。
補修室、あくたがわとむろうの会話は絶対入れたかった。私はフィクションの中にノンフィクションをひとつまみ入れて、リアルの味を入れることで深みを出すのが好きです。むろうのセリフ、その日の天気も道端の花も覚えてる、というところで、リアルをひとつまみ入れています。
その直後のシーン、向き合うだけが正解とは限らない、のセリフ。俯瞰のえどがわにシリアスで言ってもらうのが適任だと思いました。これも絶対入れたかった。きくちとあくたがわは更に掘り下げが本編であるかもしれないので、対面はさせませんでした。
死を悪者にしない言葉を入れたかったので、なかはらのバーの場面を設定しています。
二度目の潜書。当初は狼疾記だけの予定が、あくたがわとだざいだけを離す必要がある成りゆきで、かめれおん日記を並走することに。より死に近いイメージ、「城の崎にて」にイメージ近いのが「かめれおん日記」だったので、急遽こっちがラスボスとなりました。「光と風と夢」から、繭に閉じ込める展開を採用。潜書風景を作るのに原作読み込んで、イメージしやすい場面を選びました。
狼疾記は、パーティが鞭、鞭、銃、銃で、殺陣が非常にやりにくかったです! 刃がいないのつらい!
狼疾記とかめれおん日記の殺陣シーン、最後の最後まで残って、完成直前にやっと書き上がりました。
人間失格、狼疾記、かめれおん日記、歯車を毎日往復しながら読みながら書いてて、情緒が狂いそうでした! 帰宅してからブルーレイ回しながら上記を読みながら書いてました…。
舞台の要素を入れています。舞台三作目の、垂れ幕落下。だざいとあくたがわの、繭での「いなくなるなんて…」の会話。「俺たちは時折見失う…」の台詞。はぎわらを模倣した敵と相性が悪い理由。無意識のうちに歴史が繰り返されているイメージです。
舞台四作目で「新芥川賞」なるワードが出てきた、その過程になるイメージで作りました。
葉蔵と三造の会話。役者さんに演じてもらうと雰囲気が上演の度に変わってくると思うので、字だと伝わりきらないなと思いながらも書きました。葉蔵は津軽出身で赤マントの柄は桜、イメージは冬なのに春の嵐。三造はサモア滞在、忌日12月などがあり、イメージは夏なのに吹雪。どこまでも対なのが良いです。
ラスト。さびしい人格、偶然椅子が出てくるので、朗読を入れました。冒頭の椅子のふたりとラストの椅子のふたりは、対になってます。
壮大な舞台幻覚、あなた様と共有させていただければ幸いです!
書いてみての感想
書くのは楽しい、書いたものを読むのも楽しい。
自分の頭の中のときめきを共有できるの楽しい。
エネルギーをすごく使うのでこれを仕事にはしたくない…趣味だから楽しく好きにやれているけど、仕事となると話は別…
だーっと書いている時の動画(オマケ)
冒頭からだーっと書いていくタイプです。書き出すと迷いはほぼ無いです。別作品ですが、書いていくところを動画に撮ってみています。
(※同じファイルです)
我ながら、文章が出力されていくのを見るのは面白いなと思います。