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うさぎごと 第11回 『「生きること」ってなんだろう』

 「生きること」ってなんだろう。と思うことがよくある。呼吸をすること。寝ること。起きること。食事をすること。排泄をすること。学校に行くこと。仕事をすること。誰かと話すこと。遊ぶこと。ぼんやりと空を見ながら考え事をすること。

 すべてが「生きること」だとわかっていながら、私ははたして「生きている」のだろうかと自問自答する。その問いは答えがなくて、自分や誰かを傷つけながら、癒しながら、月日とともにカタチを変えている。

 今の私にとっての「生きること」は「聞くこと」だと思う。目の前にいる人の話を聞く。一番いいのは何も言わずに聞くこと。意識しないと、つい余計なアドバイスなどを話してしまう。そうではなくて、聞くだけがいい。話していいんだ、と思ってもらえる時間と空間が大切なんだ。

 中学校の時、だるくて保健室で寝ている時間が好きだった。だるい理由は風邪から睡眠不足までいろいろあって、少しの後ろめたさと特別感と、陽の光がカーテン越しに入り込むベッドで昼間から眠るのは最高だ。

 やってみたいことは「保健室」みたいな場所を作ること。働きたい人が働けて、働きたくない人は働かなくてもいい社会を作ること。保健室は教室(社会)に行きたくなったらいつ行ってもいいし、帰宅したければ家に帰っていい。社会と家の間で、どっちの選択をしてもいい空間ができたらいい。選択ができないときはゆっくり話そう。

 そうして話していると、さっきまで痛かった怪我がいつの間にか気にならなくなっていたりすることもあるんじゃないか。治りはしない傷でも、包帯を巻くと安心できるかもしれない。消毒液が沁みるという話で盛り上がることもあったりして。ひとしきり話したら、悩み事や真面目な話もしたりする。

 「生きること」ってなんだろう。そんな話をできる友人や先生がいたらきっとしあわせなことなんだと思う。「生きること」について誰かと、私と、話してみてほしい。ぜひ。

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