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わくわく!元素作文入門【Iwshkey Advent Calendar 12/6】

※この記事は解説動画投稿者のみなさんが集まるサーバ「イウしキー」で開催しているイベント”イウしキー Advent Calendar 2024”のために書いたものです。
 それぞれの強みを生かした面白い記事が集まっているので、気になる方はぜひこちらのリンクからどうぞ!

 こんばんは! 本日の記事を担当する峠の牛乳屋と申します。音声合成ソフトCeVIOを使って、地理解説・旅行・音楽など色んなジャンルの動画を作って……いました。
 最近は仕事の多忙にかこつけてあまり活動できていませんでしたが、ようやく身の回りが落ち着いてきたのでそろそろ創作活動を再開していこうかなと思っているところです…!

 さてさて、今回の記事のテーマは「元素作文」
 私がよくお邪魔しているサーバー「イウしキー」において流行している(※要出典)、元素記号を使って文章を作るゲームでございます。
 この記事を読めば、きっと君も元素で作文ができるようになるぞ! やったね!

…は? 何言うてんの?

 ここまで読まれた方の多くはこう思っているかと思いますが、まぁそう言わず落ち着いて聞いてください。
 理科や化学の授業で習う「元素記号」ってあるじゃないですか?
 C(炭素)、H(水素)、O(酸素)、Fe(鉄)…。いまさら説明するまでもありませんが、この世の物質はおよそ何らかの元素とその組み合わせでできており、遠い昔から数多くの化学者によって研究が進められてきました。その結果、今では(ほんの数秒しか存在しえないような放射性元素も含め)全部で118種類の元素が確認されています。

NHK高校講座より

 そして、その元素を化学的性質に基づいて配列したものがこの周期表。私のように理系科目はさっぱりという方でも「水兵、リーベ、僕の船…」の語呂合わせは覚えておられるんじゃないでしょうか。
 この表はロシアの化学者メンデレーエフが1869年に発表したもの。彼の理論を元に発見された新元素は数知れず、化学の発展に大きく貢献した…
 …のですが、そういうマジメな話はその道の教科書や専門書に譲ることにしまして、ここでは一旦、元素記号を化学とは関係のない「文字」として捉えてみましょう。
 だって本記事の目的は、あくまで「元素作文」。そう、ちょうど「水兵、リーベ、僕の船」の要領で、元素記号を自由に並べ替えて日本語の文章を作ってみようというわけです。すまんな、メンデレーエフ!

改良型水兵(?)。しれっと見せられたら騙されそうだ

元素記号を構成する文字

 さて、もう一度さっきの周期表をよく観察してみましょう。
 118種類もある元素ですが、その全てにラテン語やギリシャ語の名前が与えられており、この表記を元に「1文字のアルファベット」または「2文字の異なるアルファベットの組み合わせ」により各元素が表されています。
(なお2文字の場合、必ず2文字目は小文字となります。)

元素記号の大半はラテン語に由来している

 試しに118元素をアルファベット順に並べて整理してみたものが下の図。
 使われている文字には若干の偏りがあるものの(A~C、M~Tあたりに集中)、おおむね全てのアルファベットが漏れなく使われています。

ただし、JとQだけは2文字目を含めどこにも登場しません。
ラテン語での使用頻度が低いとか、そのあたりの問題でしょうか? 謎です

母音と子音を分ける

 今回は元素記号から日本語(ローマ字表記)の文章を作りたいので、次はこれらを母音(vowel)と子音(consonant)の配列によって分類してみましょう。
 先に述べたように元素記号は「1文字または2文字」と決まっているので、下図のように6つのグループに分類できます。

つくづく意味のない作業である

 日本語の母音は世界的に見ても少ない方で、全部で5種類のみ(あ・い・う・え・お)。子音はたくさんありますが、最後が子音で終わる音節は「ん」以外には存在しません。
 ということは、元素記号から日本語の文を作成するためには、任意の元素を組み合わせて「母音で終わる音節」を作っていけばよいのです。
 だんだん攻略法が見えてきましたね!

要は「C+V」の組を作ればよいのである

50音表に落とし込んでみる

 以上を踏まえて、日本語の平仮名の五十音に元素を当てはめていくと下のようになります。

 ざっと見てみるとわかるのは、「イ段・ウ段・オ段」の音は容易に元素で表現できるのに対し、「ア段・エ段」では難しいということ。
 理由は簡単で、I(ヨウ素)・U(ウラン)・O(酸素)の3文字を子音の後ろにつければイ・ウ・オ段の音が表せてしまうからです。現実世界では希少なウランですが、元素作文の世界ではありふれた存在だったりします。
 他には、マ行・ガ行・ダ行などがほぼ使えない点にも注意が必要。日本語で元素作文をするにあたっては、同義語・類義語を活用しつつこれらの文字をできるだけ避けることがポイントといえそうです(実際やってみると、「グループ3」の元素をうまく使うと解決できることも多いんですけどね)。
 その他、注意点をまとめておきます。

◎文末
マ行・ダ行に当たる「~だ」「~です」「~ます」が一切使えない。「~よ」「~ね」「~かな」等は使用可能なので、女の子の話し言葉をイメージすると良。
◎助詞
「が」「に」「を」「の」等は使えるが、「は」「で」「と」は使えない。

【実践編】~みんなも作ってみよう!~

 最後は実践編。ここまで読んだあなたは、きっと元素作文が作れるようになっているはず!

《人》
B-O-Cu「僕」
W-At-As-I「わたし」
Se-N-Pa-I「先輩」
Co-H-Ar-U-Li-C-Ca「小春六花」

《物・生物》
Pa-N「パン」
Ba-Na-Na 「バナナ」
Ta-N-U-K-I「たぬき」
K-I-Ts-U-Ne「きつね」

《動詞》
Ta-B-Er-U「食べる」
Ta-Be-Na-I「食べない」
Ta-Be-Na-K-At-ta「食べなかった」
Ta-Be-Ta-Cu-N-At-Ta「食べたくなった」

《会話1》
B-O-Cu Ba-Na-Na-Ga S-U-K-I-Na-No「僕、バナナが好きなの」
W-At-As-I-Mo S-U-K-I-Y-O「わたしも好きよ」
I-S-S-Ho-Ni Ta-Be-Y-O-U「一緒に食べよう」
I-I-Y-O「いいよ」

《会話2》
Li-C-Ca Na‐Ni Si‐Te‐Ru‐No「六花、何してるの」
Ni-Ho-N-No Se-I-Dy-I-Ni Ts-U-I-Te Si-Ra-Be-Te-Ru-No「日本の政治について調べてるの」
I-Ga-I-Ni Be-N-K-Y-O-U Ne-S-Si-N-Ne「意外に勉強熱心ね…」

【情報出典】
・NHK高校講座 化学基礎 第9回「元素の周期表」
https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022150069_00000

【画像出典】
・Wikimedia Commons