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魔法使い

ミオとレオは双子の姉弟だった。
2人はとても仲が良く、どこに行くのにも一緒だった。
そして魔法の力を持っていた。


ミオはその手から炎と氷を自在に出せた。
ミオがいれば火を起こすのも川を渡ることもあっという間に出来る。
レオはその手で触れた生き物の心が読めた。
レオの前では誰も隠し事をすることは出来ない。
村の者たちは2人を崇め、恐れ、そして村のために存分に使わせた。


しかし成長するにつれ力は強くなり、制御出来なくなっていった。
ミオの炎は民家を焼き、氷は生き物までを凍らせた。
レオは他人の気持ちを抱えきれずに心を病んだ。
村のおばばは2人を案じて、ミオにこう命令した。
「お前たちの手を焼き、もう魔法は使えないようにしなさい」


その夜、ミオはレオに聞いた。
「レオは魔法が使えなくなっても良いの?」
レオは自分の手を忌々しげに見つめて答えた。
「こんな手、あっても良いことないよ。僕はみんなと同じように普通に暮らしたい」
レオはミオに聞いた。
「ミオは魔法がなくなっても構わないの?」
ミオは自分の手をレオの頬を包むように差し出した。
「誰にも触れない手なんて、要らないよ」
2人は手を取り合った。
ミオの炎が2人の手を焼いた。
黒い煙が夜の闇に溶けていった。



次の日、村から2人の姿は消えていた。
家の煙突には呪いのように黒いすすが広がっていた。



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#小説



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持田瀞 Mochida Toro
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