セルフ葬やDIY葬は葬儀業界の現状を変える?セルフ葬の内容を葬儀社が解説
こんにちは、茨城県水戸市の葬儀社『橙縁社(とうえんしゃ)』です。
突然ですが、皆さん『セルフ葬』って聞いたことありますか?
読んで字の如く。
言葉のままですが、葬儀社の手を借りず、全て自分達で執り行う葬儀のことです。
『セルフ葬』や『DIY葬』と言われ、ネット上で話題になることがあります。
そして、今回ブログの話題にしようと思った理由は、こちらのTwitterを目にしたからです。
確かに、時代が変わり、人の価値観が変われば、新しい常識が生まれ、古いとされるものが淘汰されます。
それは、特殊な業界である葬儀業界でも一緒です。
しかし、この『セルフ葬』は本当に、葬儀業界を変えるのでしょうか?
そこで今回は、近年話題にあがる機会が増えた『セルフ葬』、『DIY葬』の内容を検討し、実際行う場合のことを考えてみたいと思います。
セルフ葬やDIY葬は葬儀業界の現状を変える?セルフ葬の内容を葬儀社が解説
まずは、『セルフ葬』・『DIY葬』の内容を解説します。
簡単に言えば、葬儀社に頼まず、全てを自分の手で行う葬儀のことです。
そして、基本的には火葬だけを行う『直葬』になります。
『お葬式って自分達でやってもいいの?』
なんて疑問を持つ人もいることでしょう。
結論から言えば、自分達でお葬式を行っても、全く問題はありません。
セルフ葬は何を自分たちでするの?
さて、葬儀社に頼まず、自分達の手で行う『セルフ葬』ですが、実際に何を行えばよいのでしょうか?
そこで、普段から葬儀に携わっている葬儀社の私が、必ず必要な備品や手続き、流れを解説していきます。
1・準備
2・故人の搬送と安置
3・火葬場の予約
4・手続き
5・火葬
1・準備
『セルフ葬』を行うために、事前に準備をしておく必要があります。
それは、備品と周囲への説明です。
備品の準備
確かに、ほぼ全ての物がAmazonや楽天市場で揃います。
しかし、配送までに2~3日掛かる商品もあり、ある程度のタイミングで、事前準備をしておくのが良いでしょう。
そして、必要最低限の物として、準備をする物は3つです。
【1】棺
【2】骨壺
【3】ドライアイス
【1】棺
基本的には、故人を『棺』に納めてから、火葬を行うことになります。
そのため、『棺』を用意しましょう。
大体ネット通販の相場としては、
・22,000円 ~ 25,000円
が、安いタイプの『棺』の一般的な金額と言えます。
『棺って必ず必要なの?』
中には、こんな風に考える人もいるかもしれません。
なので、一応触れておきましょう。
棺がなくても火葬してくれるのか?
結論から言うと、火葬場次第です。
できる所もあれば、できない所もある訳です。
もしも、『棺』なしで火葬を考えている人は、事前にあなたの地域の火葬場で確認をしておきましょう。
あくまでも、私個人の意見ですが、仮に『棺』なしで火葬ができるとしても、『棺』ぐらいには入れてあげて下さい。
あまりにも、寂し過ぎます。。。(ノД`)・゜・。
【2】骨壺
次に、必ず準備しておく物は『骨壺』です。
火葬が終わり遺骨になると、収骨を行います。
読んで字のごとく、お骨を収拾するのです。
この収骨の時に、『骨壺』にお骨を入れていきます。
火葬が終わったばかりのお骨は、非常に高温になっています。
そのため、熱に強く、熱伝導率が低い素材を選びましょう。
ネット通販などでは、
・2,000円 ~ 5,000円
が、安い『骨壺』の一般的な金額でしょうね。
骨壺のサイズ選びは注意が必要
ここで一点注意点です。
いくら安いからと言って、『骨壺』のサイズは間違えないようにしましょう。
地域によって、規定の『骨壺』サイズは異なります。
その理由は、遺骨の入れる量に地域差があるからです。
ちなみに関東地方では、全身の遺骨を『骨壺』に納めます。
そのため、大人の場合、
・基本は7寸
のサイズが必要になります。
そして、西日本の場合、
・4~6寸
が基本になっています。
地域によっては、喉仏しか納めず2寸を使う場合もあるのです。
【3】ドライアイス
最後に、『ドライアイス』です。
『ドライアイス』は、事前に準備すると溶けてしまうため、緊急時に購入できる場所や、ネット通販などの到着日時を確認しておきましょう。
『ドライアイスって何に使うの?』
それは、遺体の腐敗を遅らせるために使います。
遺体は、日にちが進むにつれ、腐敗が始まり、腐臭を発します。
そのため、『ドライアイス』で処置をする訳です。
日本の法律で、人が亡くなってから24時間以内は、火葬が行えません。
結果、人が亡くなった時間にもよりますが、
・最短2~3日
経たないと火葬はできないのです。
ちなみに、我々葬儀社の場合、
・1日10㎏
の『ドライアイス』を使用し、遺体の状態を保ちます。
そのため、仮に3日後に火葬だとしても、最低30㎏の『ドライアイス』を使用します。
ネット通販での『ドライアイス』の金額は、
・4,700円 ~ 5,400円
が多く、それの3日分だと約16,000円ぐらいは掛かります。
2・故人の搬送と安置
次に、実際人が亡くなった時、『搬送』と『安置』を考えなくてはいけません。
ちなみに『搬送』とは、病院や施設から、故人を運ぶことをいいます。
そして、故人を火葬までの間、休ませておくことを『安置』というのです。
つまり、『セルフ葬』の場合、
・誰の車で故人を運ぶのか?
・自宅のどこに故人を安置するのか?
を事前に考えなくてはいけません。
この『搬送』と『安置』が、『セルフ葬』の一番のネックとなり、大変な所でしょうね。
なぜなら、ほとんどの人は、遺体を運んだ経験がないからです。
はっきり言って、一人では無理です!!
最低でも2~3人で、『搬送』『安置』を行いましょう。
また、『搬送』する際には、必ず『死亡診断書』を病院、施設から預かりましょう。
本来、遺体を搬送する時には、必ず『死亡診断書』を携帯していなくてはなりません。
家族、親戚、近所への説明を
当たり前のことですが、自宅に故人を『安置』するため、一緒に暮らす家族には説明が必要です。
それだけではなく、親戚やご近所さんにも、何かしら理由を説明し、納得してもらうべきです。
普通に考えて、亡くなった故人を家族が運んでいたら、どのように感じますか?
『殺人!?遺体処理!?』
なんて考え、警察に連絡したとしても、至極真っ当な考えですよね。
それに現在の日本では、家族が故人を家に運び、そこから火葬場まで行くことは、常識的ではありません。
仕来りや風習に厳しい親族がいた場合、何て言われるか想像つきますよね。
『セルフ葬』を行う人は、何かしら理由があるはずです。
その理由を、周囲の人達に納得してもらう必要があるのです。
3・火葬場の予約
次に、故人が亡くなり『搬送』『安置』をしたら、火葬の予約を取りましょう。
火葬場は基本的に、各地方自治体が管理・運営しています。
そのため、火葬場の予約の仕方も、火葬場によって若干異なります。
役所や地区の火葬場に直接問い合わせをして、手続き方法を教えてもらって下さい。
4・手続き
『セルフ葬』を行うために、必要な手続きが2つあります。
・死亡届の提出
・火葬許可証の提出
死亡届は、『搬送』の際に預かった『死亡診断書』とセットになっています。
この死亡届を記入し、住民票所在地の役所に提出します。
そして、死亡届が受理されると、『火葬許可証』が発行され、受け取ることができます。
この『火葬許可証』を、火葬場に提出して初めて、火葬を行うことができます。
ちなみに、『火葬許可証』を提出し、火葬場に支払う火葬料金は、自治体によって金額が変わります。
東京都 ⇨ ¥59,000前後
茨城県水戸市 ⇨ ¥5,000
上記のように、大きな金額差があるのです。
手続きに関しては、全て役所や火葬場で教えてくれますので、事前に確認しておきましょう。
5・火葬
全ての手続き、準備が整ったら火葬が行えます。
当日、必ず忘れないように、
・骨壺
・火葬許可証
を持参しましょう。
そして、棺(故人納棺済)を火葬場まで運搬します。
一般的な自家用車では、棺が乗せられないため、棺が運べる車を準備しましょう。
結果的にセルフ葬はいくら掛かるのか?
『セルフ葬』の一通りの流れは、理解してもらえたと思います。
大前提として、『セルフ葬』を行う最大の理由は、
・費用を抑えたい
・無駄を省きたい
この2つになるはずです。
というよりも、『費用を抑えたい』がほとんどでしょう。
そこで、必要最低限の内容で、『セルフ葬』がいくら掛かるのか、簡単に計算してみましょう。
ちなみに、手伝ってもらう人達の人件費は、¥0とします。
セルフ葬の必要金額
①棺 ⇨ ¥25,000
②骨壺 ⇨ ¥5,000
③ドライアイス ⇨ ¥16,000
④火葬料金 ⇨ ¥5,000(水戸市計算)
合計 ¥51,000
*注・火葬場に棺ごと運搬する車は、無料で手配できるものとしています。
このように、合計¥51,000という結果になりました。
『直葬』や『火葬式』を葬儀社に頼んだ場合、
・約25万円~35万円
費用が掛かることを考えれば、確かに破格の金額ですね。
橙縁社での金額シュミレーション
ここで参考までに、『セルフ葬』と全く同じ内容で、我々橙縁社に頼んだ時の金額シュミレーションもしてみましょう。
ちなみに橙縁社は、料金プランで提案をしているため、
・線香道具
・遺体の処置
など、一通りの道具やサービスが含まれています。
合計金額¥211,200
という結果になりました。
内容的には、
・料金プラン内容
・搬送費
・ドライアイス料
・火葬料金
を全て含んだ内容になっています。
詳しい内容が知りたい方は、会社までお問合せを!!
結果的にセルフ葬ってどうなの?
ここまでで、『セルフ葬』に掛かる金額と、同じ内容を葬儀社に頼んだ時の金額は、理解して頂けたはずですね。
で、結果的に『セルフ葬』はどうなんでしょう?
これには、私個人の感想で伝えます。
『セルフ葬』なんてやるべきではない!!
葬儀社で働いているため、日々色々な葬儀に携わっています。
『火葬式』『家族葬』『一般葬』
式の形は違えど、火葬までの時間を、
・故人と遺族がどのように過ごせたか
で、お葬式の印象は大きく異なります。
『直葬』などの場合、遺族は火葬場でしか故人と対面できません。
そのため、とてもあっけない最後だと感じる人が、割と多いものです。
『セルフ葬』の場合、遺体の処置もせず、亡くなった直後のままの姿を見続けることになります。
『雑に送ってしまった。。。』
『ちゃんとしてあげられなかった。。。』
確かに費用は安いですが、後悔の念も残ることでしょう。
葬儀社はあくまでもサービス業です。
本来は、自分たちの手で行えることを、料金を頂いてお手伝いしている業種です。
『無駄な支払いはもったいない』
『自分達でできることは自分達の手で』
気持ちは分からなくないですが、後悔しないようにちゃんと考えてから、判断するべきです。
お葬式は、誰の人生においても一度しかないのですから。。。
最後に
今回は、近年話題にあがる機会が増えた『セルフ葬』、『DIY葬』の内容を検討し、実際行う場合のことを考えてみました。
時代と共に、人の価値観は変化します。
それは、人が亡くなった時の葬儀も一緒です。
そのため、人によって選択肢が増えることは良い事だと、私は考えます。
しかし、葬儀費用だけに目がいって、最後のお別れの時間を邪険に扱うのは、本末転倒ではないでしょうか?
やむを得ない事情があって、『セルフ葬』を選択するのはしょうがないことですが、できたら選択肢には入れないで欲しい内容ではあります。
流行りや時代の価値観に流されず、自分なりの指針で判断して下さい。
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