安置とは?安置施設と自宅安置の違い、メリット・デメリットを紹介
こんにちは、茨城県水戸市の葬儀社『橙縁社(とうえんしゃ)』です。
葬儀社にとっては当たり前ですが、皆さん『安置』って分かりますか?
『安置』とは、一定の場所に丁寧に据え置くことを言います。
そして、葬儀業界での『安置』は、臨終から火葬を行うまでの間、遺体を保管しておくことを指します。
人が亡くなった際に行う『お葬式』
このお葬式は、『安置』から始まると言っても過言ではありません。
そこで今回は、『安置』の場所の違いや、そのメリット・デメリットを紹介していきます。
安置とは?安置施設と自宅安置の違い、メリット・デメリットを紹介
まず、人が亡くなったら、『安置場所』をすぐに決めなくてはなりません。
そして、主な『安置場所』は、
・自宅
・安置施設
の2つから選ぶことになります。
自宅に安置する場合
『自宅安置』を選ぶことで、故人との最後の時間をゆっくりと過ごすことができます。
自宅は、故人が生前過ごした場所であることから、最後に帰る所として、昔は一般的な『安置場所』でした。
しかし、現在の住宅事情から、自宅に安置できない人が増えているのが現実です。
そのため、故人を安置するために十分なスペースがあれば、『自宅安置』をオススメしたい所です。
自宅安置に必要な物は?
基本的には、ほとんどの人が葬儀社に頼むことでしょう。
そのため、基本的に必要な物は、葬儀社が用意してくれます。
・故人を安置できるスペース
・敷布団
・枕
上記の3つを準備できれば問題ありません。
仏式や神道で必要な物、お参り道具なども、葬儀社で準備してくれます。
自宅安置の時にすることはある?
基本的には、葬儀社が全て行ってくれます。
ですが、一応流れを知っておくのも良いかと考え、一通り流れを解説します。
1・故人を布団に安置
2・寝る姿勢を整え、処置を行う
3・ドライアイスで手当て
4・お参り道具を設置
1・故人を布団に安置
用意してもらった敷布団と枕の上に、葬儀社が用意した白いシーツを掛け、故人を寝かせて安置をします。
寝かせる方向には決まりがあり、可能であれば以下のようにしましょう。
基本は、頭が北向き。
もしくは、西向き。
理由としては、お釈迦様が亡くなった時に、頭が向いていた方向が北向きだったためです。
そして、西という方向には西方浄土に向けるという意味があります。
2・寝る姿勢を整え、処置を行う
故人の両手を胸元で合掌を組み、寝る姿勢を整えます。
この時、枕の高さに注意をしましょう。
特に、枕の高さが低いと、故人の口が開きやすくなるのです。
次に、故人の処置を行います。
喉や耳、鼻、まぶた等に綿を詰め、遺体の処置と共に、顔周りの形成をします。
人が亡くなるときは、必ずしも安らかに亡くなれる訳ではありません。
そのため、生前の面影とは、違う表情になってしまうケースが多くなります。
その表情を、少しでも安らかになるように『ラストメイク』を行います。
処置が終わりましたら、『掛け布団』を掛けてさしあげます。
『掛け布団』は、普段使う上下を逆さまにして掛けます。
つまり、布団の裾が顔の方に来るようにするのです。
これは、人が亡くなることは非日常であることから、『逆さ事(さかさごと)』として、日常と反対のことをすることを意味します。
3・ドライアイスで手当て
遺体は、室温のままで安置しておくと、徐々に腐敗が進んでしまいます。
そのため、内臓がある、
・肺や胃など上半身
・腸のある下腹部
を中心に、ドライアイスを置いて、故人の手当をします。
火葬されるまでの間、生前の記憶にある面影に少しでも近い状態で、お別れの日を迎えることができる様、毎日定期的に10㎏のドライアイスを使用します。
4・お参り道具を設置
最後に、お参り道具を設置して、『安置』の完了となります。
この際、浄土真宗以外の宗派では、お布団に守り刀を置き、魔除けとしています。
そして、枕花や枕飯を供えます。
自宅安置の注意点
さて、無事に『自宅安置』が行えました。
しかし、これで葬儀当日まで終わりという訳ではありません。
基本的な処置や、ドライアイスの交換は、葬儀社がしてくれますが、当家の人にも注意をして頂きたいことがあります。
・故人の隣で一緒に寝ない
・部屋の温度を低めに設定
故人の隣で一緒に寝ない
折角自宅に帰ってきたことだし、最後の日まで寄り添っていたい気持ちは分かります。
しかし、故人の隣で一緒に寝るのはオススメしません。
なぜなら、ドライアイスは二酸化炭素です。
厳密には、個体二酸化炭素なのですが、気化して空気中の濃度が濃くなると、有害性があります。
更には、二酸化炭素は空気よりも重いため、下に溜まります。
そのため、人体の影響を加味すると、ドライアイスで処置されている遺体の隣で寝ることは、危険性があるため止めておきましょう。
部屋の温度を低めに設定
遺体は、高温多湿であるほど、痛みが早くなってしまいます。
そのため、ドライアイスで処置はしているものの、部屋自体の温度設定も低めにしておきましょう。
安置施設で安置する場合
主に『安置施設』は、葬儀社が運営しています。
そのため、住宅事情などで『自宅安置』が難しい場合、葬儀社に頼んで、『安置施設』で安置をしましょう。
『安置施設』の場合、施設の内容は葬儀社ごとに違いますが、当家は何もする必要がありません。
安置施設は安置費用が掛かる
『安置施設』を利用する場合、宿泊施設と同じように、1泊単位で料金が発生します。
相場としては、
1泊 ⇨ 1万円~2万円
が、安置料金として一般的です。
安置施設ごとに来館できる時間が違う
『安置施設』は、自宅安置のように、いつでも故人と会える訳ではありません。
施設ごとに営業時間が決まっています。
中には、24時間お参り対応の施設もありますが、
・9時or10時オープン
・17時or18時クローズ
上記の営業時間が一般的でしょう。
なお、故人への弔問希望がある方にも、しっかり時間の伝達をしましょう。
自宅安置、安置施設のメリット・デメリット
ここまでの説明で、『自宅安置』と『安置施設』の違いや内容は、理解して頂けたと思います。
そこで次は、『自宅安置』と『安置施設』を利用する場合のメリット・デメリットを紹介をしていきます。
自宅安置のメリット
まずは、『自宅安置』のメリットから紹介します。
・お別れの時間がゆっくり取れる
・安置費用が掛からない
お別れの時間がゆっくり取れる
『自宅安置』のメリットは、なんと言っても、
・お別れの時間がゆっくり取れる
が、一番でしょう!!
故人が慣れ親しんだ家で、ゆっくりと最後の時間を過ごす。
故人との思い出話にも花が咲き、安らかな気持ちで送り出すことができるでしょう。
とても、大切な時間になるはずです。
安置費用が掛からない
『安置施設』で安置する場合、1泊いくらで費用が発生します。
そのため、火葬までの予定が延びるほど、安置料金も日ごとに高くなっていきます。
その点『自宅安置』の場合は、安置料金が発生しません。
葬儀費用の内訳でも、安置料金は高くなりがちです。
そのため、葬儀費用を抑えたい方は、『自宅安置』をオススメします。
自宅安置のデメリット
次に、『自宅安置』のデメリットです。
・ご近所に知られてしまう
・弔問客の対応が発生
ご近所に知られてしまう
近年、『家族葬』が支流となってきています。
その理由の一つとしては、近所付き合いの希薄さや、社会における人間関係の変化が挙げられます。
そのため、
・火葬式
・家族葬
を選択する家庭にとって、近所に知られたくない人が増えているのです。
しかし、『自宅安置』をした場合、
・病院、施設からの搬送
・霊柩車での出棺
どちらかのタイミングで、人目に触れることになるでしょう。
弔問客の対応が発生
故人が亡くなった知らせを聞きつけて、友人・知人・会社関係の人など、自宅に弔問客が訪れるケースがあります。
葬儀などでバタついていない時に、故人に一目会い、家族にも挨拶したいとの思いからです。
しかし、この弔問客対応は、なかなか大変です。
いつ誰が来るか分からず、家を空けられない家庭もあるはずです。
また、常に部屋を綺麗に片付け、弔問客の相手をしなくてはなりません。
人が亡くなり、お葬式が終わるまでは、ソワソワして落ち着かず、睡眠不足になってしまう人もいます。
更に、精神的にも不安定な時期でもあります。
そんな中、弔問客の対応にも追われる想像してみて下さい。
これは、デメリットと言えますよね。。。
安置施設のメリット
次に、『安置施設』の場合のメリットです。
・安置の設備が整っている
・弔問の対応が楽
安置の設備が整っている
遺体は、必ずしも状態が良い訳ではありません。
出血や体液が出てしまったり、腐敗の進みが早いこともあります。
『自宅安置』でも、ドライアイスの処置をしてはいますが、何かと対応が難しいケースがあるのが現実です。
その点『安置施設』では、安置をするための設備が整っています。
故人を寝かせるための寝具はもちろん、冷蔵保存する設備が置いてある施設もあるぐらいです。
故人とずっと寄り添うことは、難しいケースがありますが、
・安置をする
このことだけを考えれば、『安置施設』にメリットがあるのです。
弔問の対応が楽
先程、『自宅安置』のデメリットで説明しましたが、弔問客の対応は何かと大変です。
しかし、『安置施設』の場合、施設に弔問に向かってもらえれば良く、対応に気を使う必要がありません。
また、出棺の際にも、駐車場を準備する心配がなく、『安置施設』は利便性が高いと言えます。
安置施設のデメリット
最後に、『安置施設』の場合のデメリットです。
・安置にお金が掛かる
・お参り時間に制限がある
安置にお金が掛かる
これが、最大のデメリットではないでしょうか?
『安置施設』で安置する場合、預ける日数が長引くほど、日数分の安置料金が発生します。
利便性が高い分、費用が発生する。
これが『安置施設』で安置する場合のデメリットです。
お参り時間に制限がある
『自宅安置』では、時間を気にせず、故人とゆっくり最後の時間を過ごせます。
しかし、『安置施設』の場合、施設の開館・閉館時間が決まっています。
そのため、いつでも故人に会える訳ではなく、時間を気にしなくてはいけません。
もちろん、24時間対応している施設もありますが、追加料金が発生する施設が多いでしょう。
自宅安置と安置施設を選ぶポイント
ここまで、『自宅安置』と『安置施設』の内容や違い、メリット・デメリットを解説しました。
しかし、内容が分かったからこそ、悩む人もいることでしょう。
そこで、『自宅安置』と『安置施設』を選択する時の、簡単なポイントを紹介しますので、参考にしてみて下さい。
・自宅安置 ⇨ お別れ時間を重要視
⇨ 葬儀費用を抑えたい
・安置施設 ⇨ 利便性が高い(駐車場など)
⇨ 弔問客対応の負担軽減
最後に
今回は、『安置』の場所の違いや、そのメリット・デメリットを紹介しました。
人が亡くなり、葬儀・火葬までの間、故人を保管する『安置』。
近年では、住宅事情やご近所付き合いの希薄さから、『家族葬』が増え、安置も『安置施設』の利用が増えています。
確かに、費用面で問題がなければ、『安置施設』は非常に利便性も高く、言い方が悪いですが楽です。
しかし、『自宅安置』ならではの、非常にアットホームで温かい雰囲気は、葬儀社で働く私も憧れるものです。
皆さんの状況や、費用算段、色々な理由で、
・自宅安置
・安置施設
を選ぶことになるでしょうが、故人とのお別れを考え、あなたに適した選択をして下さい。
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