地元地域で、当事業所にたどり着かれた方々との「深いご縁」
私たちの行なっている事業。
それは、法的に言うと「障害児通所支援」という事業です。
私たちは、もともと障がいを持つ子どもの親です。
現在、子どもたちは成人し、今それぞれの場所で日中過ごし、生活しています。
10年前。
それまで息子たちがお世話になってきた、たくさんの方々への恩返しという思いで、この事業を立ち上げました。
当時は、私もかーちゃんも、そこそこ名前が知られており、
開所と同時に、受け入れの定員がいっぱいになりました。
今考えても、本当にありがたかったです。
中には、一時間以上かけて電車に乗ってこられる方もおり、逆に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
地元の施設というより、むしろ「ここに通いたい」という保護者のお気持ちから、遠くても一生懸命に通われておられた方もいて、頭が下がりました。
そんな、地元地域ではない方々が、8割方通われている事業所としてスタートしたのが10年前でした。
その後、かーちゃんと話し合い、
本来は「地元地域の方々のための事業所」であると、我々の考えがまとまります。
そして徐々に、毎年毎年、地元地域の児童の受け入れ割合を増やしてゆきました。
そして、ついに今年度。
未就学児童の「児童発達支援」に関しては、100%地元地域の方々になりました。
ここに来るまで、10年かかりました。
今でも、「お問い合わせ」で、遠くの地域から「どうしても当事業所に通わせたい」というお話をいただきます。
それは、10年前とは違い、我々の名前ということではなく、「療育内容の濃さ」で希望されてくるのです。
お問い合わせいただく、ほぼ全員が、良くお調べになられた保護者の方です。
お調べいただくとわかるのですが、
今ある、全国のほとんどの児童発達支援が、「1時間程度の療育」、もしくは、「数時間通所でも、実質的に療育とは言えないお預かり的な事業所」です。
ですので、ほぼ毎回、「こんな事業所はどこを探してもないです。」と、良くお調べになられている保護者の方から、言われます。
開所時間が3時間30分。
その中で、個別、集団、生活スキル、食育、運動、リトミック、サークルタイムまであるのは、どこの地域でも、ほとんど見つけることが難しいと思います。
理由は簡単です。
前者のような事業所も、我々のような事業所も、
国からの児童ご利用の際の報酬単価は同じだからです。
利益優先の経営者であれば、
当然、前者のような経営をするのが当たり前です。
むしろ、経営者であれば当然のことなのかもしれません。
では、我々が、この非効率的な経営をしている理由は何でしょう。
その答えは、経営者である我々は、2人とも【障がいを持つ子どもの親】であるからです。
私たちの目指すものは、経営より先に「思い」があります。
児童や保護者の方々の未来が明るくなるよう、精いっぱいのことをしたい。
この「思い」が、今のプログラムに繋がっているのです。
手を伸ばせば、そこら中に「児童発達支援」がある現在。
「どこの事業所も同じ」と考える保護者も多いのも、うなづけます。
それだけに、なかなか、地元地域の方々にさえ、この思いが伝わらないことがあります。
それでも、今、ここにたどり着かれ、ご利用されている児童の皆さん、そして保護者の皆さんとは、【深いご縁】でつながっていると思います。
それは、いくら地元地域にいても、ご縁がない方とは、つながることはできないからです。
ですので、深いご縁でつながっている方たちとは、
私たちが係われるうちは、その方たちに精いっぱい尽くしたい気持ちでいっぱいです。
もし私たちのやり方で、利用者が少なくなり、経営が行き詰ったとしたら、それが私たちの【潮時】だと考えています。
いつか、その時が来るかもしれません。
でも、それも自然の摂理だと考えている、今日この頃なのです。