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今日、送迎車の「置き去り防止を支援する安全装置」を取付けた。

今年の2月。行政からこんなメールが届いた。

送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリストについて(周知)

市内児童発達支援、放課後等デイサービス事業所管理者様

 日ごろから本市障害福祉行政に御尽力賜り、誠にありがとうございます。
 さて、標題の件について、送迎バス等での事故を受け、国の基準を改正し、令和5年4月1日から、児童発達支援、放課後等デイサービスの事業所が、送迎を目的に常時運行する自動車のうち、3列以上座席を有するものには原則、ガイドラインに適合する安全装置の取り付けが義務化されます。
 基準改正の内容と、ガイドラインに適合する装置のリストが国から示されましたので、各施設等におきましてご確認いただき、準備をお願いいたします。なお、装置の導入は令和5年6月までに行っていただきますようお願いいたします。

要は、①送迎を目的に常時運行する自動車のうち、②3列以上座席を有するものには、③ガイドラインに適合する安全装置の取り付けが義務化になる。
というものである。


さかのぼると、この安全装置の設置義務化に至るのには、こんな流れがあった。

2021年の夏、次のような送迎車内に児童置き去りにし、児童が亡くなるという過失事故が起きた。

保育園送迎バス内で5歳児死亡 気温上がり熱中症か 福岡県中間市
2021年7月29日午後5時20分ごろ、福岡県中間市の私立保育園で、駐車中の送迎バス内に1人でいた園児(5)がぐったりしているのを園職員が発見した。
園児の意識はなく、搬送先の病院で約1時間半後に死亡が確認された。福岡県警折尾署によると、脱水症状の疑いがあり、気温の上がった車内で熱中症になったとみられる。目立った外傷や着衣の乱れはなかった。同署は詳しい死因を調べるとともに、園関係者から当時の状況などを聴いている。
同署によると、児童が帰りのバスから降りてこないため母親が問い合わせ、園職員が施設内を探したところバス内で当該園児を見つけた。車内には園児のバッグもあった。バスは登園用で、帰宅時に使うバスと別の車両だったという。登園時に当該園児をバスに乗せた運転手は同署の聞き取りに「園児は降りたと思っていた」と話しており、詳しい経緯を調べている。
気象庁のホームページによると、中間市に隣接する北九州市八幡西区の29日の最高気温は33・1度だった。

2021年7月、当時のニュースより引用抜粋

また、2017年にはこんな事故もあった。

障害者男性が死亡 施設側が車から降ろし忘れ熱中症か
2017年7月13日午後、埼玉県上尾市の障害者施設で、障害のある19歳の男性が車の中で熱中症と見られる症状で倒れているのが見つかり、その後、死亡した。埼玉県によると、施設側がおよそ6時間にわたって男性を車から降ろし忘れていたと見られ、警察が詳しい状況を調べている。
埼玉県によると、13日午後3時20分すぎ、埼玉県上尾市の障害者施設の職員から「19歳の利用者の男性が車の中で倒れている」と消防に通報があった。男性は病院に運ばれたが、まもなく死亡した。死因は熱中症と見られる。
県によると、この施設では、13日朝、車で利用者を迎えに行き、午前9時ごろ、施設に到着して利用者を車から降ろしたが、その際、男性を降ろし忘れたと見られ、6時間ほどたった午後3時すぎに車の中で倒れている男性を見つけたという。
施設によると、男性は知的障害があり、自分で車のドアを開けることができないという。
警察は施設の関係者から話を聞くなどして詳しい状況を調べている。

2017年7月、当時のニュースより引用抜粋

おそらく、上記の2件の死亡事故、そして、このところ頻繁に起きている死亡につながらない置き去り事例が発端となって、この義務化がすすめられたのであろう。

それにしても、この2つの死亡事故、不思議でしょうがないのである。

当事業所であれば、児童一人がいなくても、スタッフの誰かが気づかないことなど、ありえない話である。
まして、最近の方は、発見されたのが午後5時20分ごろ、2017年の事件は午後3時20分すぎである。
それまで、保育士や支援員が、誰一人として気づかない。
そんなことあり得るのであろうか?
その時点で、この保育園や障害者施設は、その事業を行う資質が欠落していると思うのだ。

話を戻そう。

これは、ハードでどうにかなる問題ではなく、ソフトの問題である。
つまり、いくら「置き去り防止を支援する安全装置」を設置しようと、そこで働く人間が、児童が一人いないことさえ気づけなければ、また起こる。

単純に、送迎車には、ドライバー + 添乗スタッフをつける、つまり大人が2人必ず乗車することを義務付ければ、確実にこの事故は起きない

何のための税金投入?何のための装置?
恐らく、政府は対応したので、こちらに責任はない。という布石を打ちたいのだと思う。

ちなみにこの装置、エンジンを止めると、車内に児童がいないかの確認の音声が流れるようなものである。
これって、音声が鳴ろうと、確認しなければ置き去りになる。
結局、ソフトでしかない。

今日、うちの事業所の送迎車に、「置き去り防止を支援する安全装置」が取付いた。

今回取り入れたシステムは、

①エンジンを切る。
②音声で、後ろの座席に誰もいないか確認するメッセージが流れる。
③確認し、後部座席にある確認ボタンを押す。

というもの。

もし、この確認ボタンを押し忘れると、10分後に車外に緊急地震速報のような嫌なメロディと、”車内に人が乗っている”みたいなアナウンスが鳴り響く。

ちなみに、バッテリーが切れるまで、永遠に鳴り続けるそうである。

むしろ、こちらの苦情が多発する気がしてならないんだが…。


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