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アロマテラピーとタッチングの違いとは

私はアロマが好きで、自宅でもよく使っています。植物のいい香りを使うアロマテラピーは、手軽にリラックスできますよね。アロマテラピーとタッチングは、両方ともリラックスします。でも、その作用機序は、実はまったく違います。タッチングとアロマの違いを知れば、リラックス効果を高めることができるんです。

4コマ漫画:アロマテラピーとタッチングは脳に届く場所が違う

嗅覚と触覚が脳に作用する場所


匂いは、どのように脳に伝わるのか

匂いを嗅ぐとき、鼻で匂いを吸い込みますよね。これは匂いを感じる嗅上皮という場所が鼻の奥にあるからです。嗅上皮は約2.4㎠くらいの大きさで鼻の奥の上の方に広がって付いています。嗅上皮には約1億個もの嗅細胞があり、嗅毛と呼ばれる線毛が付いていて、空気中の匂いに反応します。


嗅覚は本能の脳に伝わる

匂いに反応した嗅細胞から嗅神経を通じて嗅球に刺激が伝わります。嗅球から繋がる嗅索を経て、大脳辺縁系に匂いの刺激を伝えます。大脳辺縁系は、好き、嫌いや不快感、満足感に関わっていて、感情が動くときに活発に働いています。なので、大脳辺縁系は本能の脳とも言われています。いい香りを嗅いでリラックスするのは、鼻から大脳辺縁系に伝わっているからなんですね。


アロマは嗅覚の仕組みを利用している

いい匂いを嗅いでリラックスするアロマテラピーは、嗅覚の仕組みを利用しています。嗅覚はとても反応がよい感覚です。いい香りにも、嫌な臭いにも、すぐに反応します。嗅覚は味覚よりも好き嫌いの反応が出やすいのも特徴です。いい香りを嗅ぐと、すぐにリラックスするのは嗅覚が反応しやすい性質を持っているからです。ただ、嗅覚はすぐに反応しなくなってしまうんです。どんなに良い香りでも、慣れて感じなくなるんですね。


タッチングは、どのように脳に伝わるのか

撫でさするタッチングは皮膚にある感覚センサー(感覚受容器)が反応させます。皮膚には何かに触られた刺激だけでなく、温かさや冷たさ、痛み、気持ちよさに反応するセンサーがあります。タッチングは温かさや気持ちよさを伝える感覚センサーを反応させます。


触覚は生存の脳に伝わる

感覚センサーの反応は、脊髄を通じて脳幹に届きます。脳幹は呼吸や心拍や血圧、意識レベルなど、生命維持に必要な機能を担って、脳幹の機能が停止すると脳死に至ります。とても重要な場所なので、脳幹は生存の脳と呼ばれています。


触覚は脳全体に広がる

触覚が届く脳幹からは脳の各場所に、さらに触られた刺激が送られます。脳の司令塔の視床やホルモンを分泌する視床下部、感情に関わる大脳辺縁系、大脳皮質の感覚野など、脳全体に触られた刺激が届くのです。


タッチングは触覚を利用している

やさしく撫でられてリラックスするタッチングは触覚の仕組みを利用しています。触覚には、触れた感覚、圧力の感覚、しっどうやくすぐったさ、温かさや冷たさ、熱さや痛み、気持ちよさなど様々な感覚が混在しています。人が人に触れたとき、たくさんの感覚が脳に伝わっているんです。


タッチングは気持ちいいセンサーを刺激する

タッチングはたくさんある感覚の中でも、気持ちいいと感じるセンサーを利用します。皮膚にある気持ちよさを感じるセンサーは、C触覚線維と呼ばれています。C触覚線維は、温かい手でゆっくり撫でると反応します。なので、タッチングは温かい手で、ゆっくり撫でるのが基本です。


違いを知れば効果的に使えるようになる

嗅覚と触覚はまったく違う感覚です。脳に届くまでの経路や場所も違います。タッチングとアロマも、それぞれの特性を理解すれば、もっと効果的に使えるようになります。使い方を間違えると、お互いの効果を打ち消してしまうこともあります。

昔のアロマの研究では、香りとタッチがごっちゃになっていました。でも「香りの効果なのか、触れたことによる効果なのかが分からない」という批判を受けて、最近では香りとタッチは別々に研究されるようになっています。それぞれのよさを活かして使いたいですね。

でも、まだまだタッチングの効果とアロマの効果を混同している人が多いんですよね。ぜんぜん違うのになあ…残念です。


タッチングの本

がん患者さんとご家族のためのタッチングの本です。がん患者さんだけでなく、認知症の方や子どもにも使えるタッチングの方法がイラストで載っています。

看護師さん向けのタッチングの専門書です。触覚の作用機序や脳への影響、看護現場でのタッチングなど、臨床で使えるタッチングの本です。

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