ITマネジメントに人気が無い理由についてMicrosoft Copilotに聞いてみた-4[20240426]
今回もITマネジメントに人気が無い理由についてMicrosoft Copilotに聞いてみた。
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「意思決定のスピード」
・ITマネジメントは経営陣とのパイプ役としても機能します。しかし、意思決定のスピードを向上させるためには、組織全体での意識改革が必要です。
・現場の様子を経営陣に伝え、新たな施策を効率的に実施するために、ITマネジメントの存在は重要です。
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全体としてコメントしたい。
「(意志決定の)スピード」と言うのは、日本企業の最も不得意とする分野だ。
「ちょっと待ってください、ITマネジメントが、意志決定のスピードと何の関係があるのですか?」
こんな声が聞こえてきそうだ、しかも経営者から。
ちょっとした笑い話を。
One Day Closing という言葉を聞いたことがあるだろうか?
かなりの企業でこの言葉を使って月次決算の早期化に取り組んでいた。
「意志決定のスピードを向上させる為」だと言う。
全社が必死になって取り組んだし、会計システムも最新鋭のパッケージに入れ替えた。
ちなみに、会計システムを最新鋭のものに入れ替えただけではOne Day Closingは絶対に達成しない。
色々な手立てをして何とかOne Day ClosingとかThree Day Closingを達成したのだが、オチはここにあった。
「当社は隔週月曜日の9:00に役員会が開催されるので、決算を早期化しても意味が無いのですよね」
意志決定の早期化は、システムの問題ではないのに、何故だかDXの御旗の下無駄に高価なERPを導入している企業が多い。
今日のCopilotの話を纏めると、ITとは経営と現場の橋渡しをする役割を担うのだと書いてあるように見える。
ITと言ってもプロジェクト屋や運用屋の話ではない。
ITマネジメントの話である。
とはいうもののIT部門なのでITマネジメント部隊は、プロジェクトや運用の状況も良く知っている。
そして、ITマネジメントの仕事というのは、本当に現場に刺さって色々な話を聞いてくる。
こういう役割はリレーションシップ・マネージャーと言う。
現場といっても、部長以上と意見交換をするもので、機械化ニーズを探るのではない。
ビジネスの現場で起きていることを聞いてくるのである。
私も証券会社に勤めていた若い頃、そういう役割を担っていた。
主に担当していたのは、外国債券部、資金部、管理会計課だった。
後に金融法人トレーディング部や経済研究所も担当することになった。
私が各部署から聞いてきた内容と、他のリレーションシップ・マネージャーの話を統合してマーケットの方向性と当社のポジショニングを分析していた。
そんなの大企業だからではと言うかも知れないが、大企業でも出来ていない筈だ。
多分、当時の課長や次長が「素晴らしく出来る人達」だったから、このような仕事の仕方をさせていたのだと思う。
課長や次長は、今で言えば「ビジネスアナリスト」的な存在だったのではないかと思う。
そこで議論された内容を、本部長である専務取締役のところに行って報告するのである。
超お高い鮨屋で報告することもあったので、報告ミーティングには喜んで参加した。
実際に、経営と現場の間に入るのはITマネジメントの仕事だというのは、私の経験からだと普通に納得できる。
「それは、経営企画とかの仕事ではないのか?」
こんな質問をいただくが、こう返すことにしている。
「経営企画のようなエラそうな人が、現場の本音を収集できる訳ないだろ?」
「ビジネスプロセスを理解できていない『脳ミソ』までサイロ構造になっている経営企画に何がわかるかね」
気付いた方もいるかもしれないが、私のリレーションシップ・マネージャーとして担当していた部署は、○○本部傘下とか、商品本部とか営業本部とかいう切り口では無い。
バラバラである。
これも私自身勉強になったし、バイアスを小さくする工夫だったかもしれない。
全社のビジネスプロセスを見渡せる可能性が高い位置付けだったと言える。
要するに「ITマネジメントは、ビジネス現場と経営を結びつける役割」なのだ。
そうでなければIT部門存在の意味が無いのでは、くらいに考えている。
合同会社タッチコア 小西一有