ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
箱根に足を運ぶこと数知れずあれど、初めてのポーラ美術館。
見たいのはロニ・ホーンだけど、まずはワンコ様を満足させるお散歩タイム。
ワンコ様、大ハッスルでうれしそう。
お散歩コース「森の遊歩道」は入場料もかからないのに見所がたくさん。
人もまばらで、気持ちよく散策できる。
野外アートと犬のコラボレーション。
ポーラ美術館に常設されるという、ロニ・ホーンのガラス彫刻作品「鳥葬」。
ロニ・ホーンはアイスランドに魅せられて長く滞在したこともあるそう。
わたしも、冬のアイスランド を旅した時のことがある。
その静謐さとダイナミックさ、目に映っていた景色と空気が、瞬時に思い起こされる。
氷が張って、それを溶かすかのように降り注ぐ光を反射する。
その光と水が、心にも反射する。
室内にあるのは、透明な水をたっぷりと張ったように見えて、ガラスでできている彫刻シリーズ。
水の中にわたしを見るとき、わたしの中に水を感じる。
そんなような。
アイスランドの温泉で、6週間にわたり一人の女性の表情を記録し続けた100枚のポートレイト「あなたは天気 パート2」。
心もからだも、一瞬として同じ時はない。
だから、その瞬間ごとの自分を丁寧にみる。
彼女の瞳の色や気配が変わるように、自分も変わっている。
ロンドンの中心部を流れるテムズ川の水面を写した15点「静かな水(テムズ川、例として)」。
テムズ川自体は決して美しいものではないそうなのだけど、それでもその水の中にも美しさは見出せる。
水面に無数に現れるゆらぎに、細かく数字が割り振られていて、写真の下に添えられた文章と数字が対応している。
インスピレーションで数字を選んで、文章を読むという行為は、直感のトレーニングのようでもあり、オラクルのようでもある。
溶かし込んで、流していく。
すべては水の中に。
■ 小松ゆり子 official web site
http://yurikokomatsu.com