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コミュニティ・ビジネスと地域社会の秩序

ITベンダー社員&週末大学院生の廣瀬達也です。

前回の私の投稿

につづく、社会学シリーズ?です。

「コミュニティ・ビジネス」って診断士界隈でもちょくちょく耳にしたり、目にしたり、あるいは直接・関節に係っている方も少なくないと思います。

中小企業白書(2015年)では

『コミュニティ・ビジネス』とは、『地域の課題を地域住民が主体的に、ビジネスの手法を用いて解決する取組』をいう

と定義されていますね。

「ソーシャル・ビジネス」と合わせて近年増えている形態と言えそうです。

接する頻度が増加してる感のある「コミュニティ・ビジネス」、先日大学院で受講中の科目にて「コミュニティ・ビジネス」について論文を読む機会がありました。
社会学視点で触れた「コミュニティ・ビジネス」でしたが、「むぅ、そうなるのか」と、診断士としても学び得られたものだったのでこちらにて紹介します。

論文は、とある集落における水資源を利用した観光実践に「コミュニティ・ビジネス」というモデルを取り入れた事例です。

そして、

●コミュニティ・ビジネスは、地域社会において経済的な利益を追求し、その事業活動を通じて地域社会に貢献することを目的としたものと理解されている。
●コミュニティ・ビジネスは本質的に矛盾する性格をもっており、社会的な要素を追求しすぎると経営的には安定せず、経済的利益を追求すれば、社会的利益の追求がおろそかになるおそれがあるのである。

など、というコミュニティ・ビジネスについて説明がされおり、この点は特に診断士的にも違和感はありません。

事例は、
「地域資源をコミュニティ・ビジネスに活用する場合は、地域社会が築いてきた地域資源をめぐる社会秩序を乱し、地域内対立を生んでしまう」
というものでした。

この論文で紹介されているコミュニティ・ビジネスはなかなか集落に受け入れてもらえません。さらには「集落の空間を使って勝手に金儲けしている」などの非難まで受けます。集落に利益を還元することを行っているにも関わらずです。論文読みながら思わず「なんで?」とつぶやいてしまいました。
トライ&エラーを繰り返しながら、このコミュニティ・ビジネス組織が見出したモデルは地域の社会秩序を壊さない非経済活動にきちんと取り組むことでした(具体的には、集落が保有する水路の管理で連携し、住民が自ら掃除するモチベーション向上に貢献たり、水路の周りに花を植えたプランター設置したりなど)。
その非経済活動により集落に受け入れられ、本来狙っていたコミュニティ・ビジネスが実践できるようになっていきます(ちなみに、コミュニティ・ビジネス組織メンバーも集落住民。この方々の努力・熱意はすごいと感じました)。

この事例は「地域の社会秩序を壊さない」ことがとても重要なポイントで、加えて利益は追求しません(もちろん赤字にならない範囲で)。

「地域の社会秩序を壊さない」は診断士的にはちょっと気づきにくい視点かも、と思ったのですが、改めて考えると診断士界隈で有名な「石坂産業」(産業廃棄物処理業)のケースがちょっと似ているかもしれません。

いずれにしても、
コミュニティ・ビジネスの実践にあたっては、その地域、集落をきちんと理解すること、
そして「地域の社会秩序との関係に留意する」ことは大切。
と、診断士活動とは違った視点で学ぶ機会でした。

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