社会学のチカラ
ITベンダー社員の廣瀬達也です。
6月、2022年度の第一クオーターもシッカリと折り返す時期となってきました。
社会人大学院2年生となった今年度、ゼミ以外で興味深い科目が2つあります。その中の1つが「社会学概論」。この科目の担当教授は僕のゼミ指導教授でもあるので僕自身の専攻とはかなり親和性が高いです。今回はその科目について書きます。
みなさんの中には社会学部卒など、社会学をしっかり学ばれた方もいらっしゃると思います。実は僕自身は社会学との接点はあまりないまま過ごしていました。そんな僕の社会学の印象は、「法律、経済、文学テンコなど文系領域のいろいろ面白いところテンコ盛りの学問」でした。
遥か昔の大学入学時、「社会学は面白そうだけど、就職に強いのは経済学部・商学部とか法学部だよね」などと勝手な解釈もしていました(スイマセン)。おそらく、当時の僕に影響力のあった現役で某大学商学部に入った高校時代友人から
「(同じ学内では)社会学部の方が女の子多いし、偏差値も高い。でも商学部のほうが就職に強いんだよ」
を言われたことが影響しているように思います(今も「社会学」と聞いて最初に思い出すのは彼とのこの会話です。しかし、これって完全に自分の学部を正当化する強がり発言だった感が強いです。今思思えば…)。友人からそんな話を聞いていた僕が1年遅れて入学したのは(彼とは別の大学の)法学部でした。
昨年度、社会人大学院生として入学したのは地域資源マネジメント研究科なるところ。この研究科は、ジオ(地質系)、エコ(生態・環境系)、そしてソシオ(社会学系)という3つの領域専攻が混在する文理まざった研究科です。そのなかで、僕の所属はソシオ。ということで、大学院生になりやっと社会学に接するようになりました(学部時代も一般教養科目では取ったはずなのですが、あまりに記憶がない…)。
M1だった昨年度、社会学について何度も指導教授から言われたのは
「ひろせさんが専攻していた法学の世界とは違う」
「診断士さんが関わっている経済・経営学という世界とは違う」
ということでした。
僕の思考の変なクセを補正したかったのだと思います。しかし、大学時代なんて「専攻」と言えるほど勉強してないし(そもそも、もう覚えてない)、診断士活動もそんなにやっているわけではない。なので「いや、いや、そういわれましても…」と思いつつの1年間が過ぎました。
と、前振りが長くなりましが、今年度「社会学概論」の入り口として環境社会学なるものの役割の説明を受けました。
事例は、ちょっと昔の琵琶湖の環境問題に関わるものです。
●基本的に水の問題なので、行政は自然科学者と工学者に研究を依頼した。
●自然科学者は主として水のデータを観測する。川の真ん中と端の汚れ具合、流動する湖の水の速さ、地下水の状態などを調査した
●工学系エンジニアたちは、水の浄化設備を研究した。
●いろいろ成果は出て来る。しかし、水はきれいにならない。
●「水がきれいにならないのは人間が次から次への水を汚しているからではないか」という疑問が提示される。
●水を汚している当事者である人間が、どんな組織をつくり、どんな考え方で行動しているのか、について見過されていた。。。
●そこで行政から社会学者へ依頼が行われ、社会学者は琵琶湖周辺地域の住民について調べた。すると、琵琶湖住民は琵琶湖の水と接点多い暮らしをしているという常識に反して、住民は琵琶湖の水をほとんど利用していなかった。
●この事実が分かったことで、行政の打つべき施策は変わってきた。。。
ということで、社会学の切り口も加えることで、より効果の期待できる施策が打てたという事実があった。
もちろん、現在は人間の営みに対する調査さが見過されることはないと思いますが、「事象への(直線的な)対策」が優先されていた時代があったということです。
この話を聞いて、
「社会学やるじゃん。。。」
と、思わずつぶやきそうになりました。
自分で興味を持って選んだ大学院・研究科ですが、多くの社会人大学院生が通っている経営とかマーケティング等のビジネス系専攻でないことなどもあり、どこか「ここで学ぶことは、現場ではイマイチ使えないだろう『お勉強』なんだよな」と僕自身が思い込んでいました。
しかし、この事例を知ったことにより、社会学に限らず、いろんな学問は学校の中の単なるお勉強でなく、「知の武器として世の中に役立つもの」なのだ。と感じた最近です(また少し勉強が面白くなりました)
人間らしさが濃厚な中小企業に対する支援において、診断士の営みには人間の行動を無視することはできないですよね。診断士はいろんな場面で、本能的だったり、理詰めプラスαだったりで、人の行動を気にしながらリアル社会学を織り交ぜて診断・提案をしているのだと思います。
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