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本にまつわるものs①(図書館の使い方ー革命の「カーリル」ー)

本にまつわるものs①(図書館の使い方ー革命の「カーリル」ー)

2024年はおそらく人生でいちばん本を読んだであろう1年だった。
年の途中からしか冊数を数えていない+あくまでも冊数を数えて「たくさん読む」ことに重きを置く読書体験は危険なのだが150冊はゆうに超えて読んだような気がする。

いつしか自分なりの本との生活に対しての構築にも時間を使うようになってきた。つまり本の周辺のものを探しはじめたり、本を記録する方法、本を読む時間を確保する方法などを考えて実践するようになったのだ。

自分の読書習慣・空間・記録方法。つまり読書にまつわるものの方法はおそらくその時の生活習慣やその時出仕されているサービス、技術、また地理的条件・経済的条件等に大きく左右されるため最終地点もなければ、固定化されることもない。
だから多分来年になったらまた変わる可能性も高い。
そのため、一度記録をしておきたいと思った。

いったん図にまとめるとこんな感じである。

今年はその中でも特に本を読む前(インプット)方法が体系化しかつ選択肢が増えたように思える。それゆえに読む量も増えた。
それはたくさんのインプットを収められる器を見つけられたのがいちばん大きい。

中核をなすサービス
「カーリル」

カーリルについて

図書館蔵書検索サイトの「カーリル」を見つけたのは今年の秋ごろだったと思う。
 「カーリル」とは全国7400ヶ所の図書館の蔵書を横断的に検索できる蔵書検索サービスのことを指す。

主な機能は1つ
読みたい本を図書館で横断的に調べることが出来る。

この「横断的に」がミソである。
つまり自分の今使っている図書館以外の本を調べることが出来るのだ。そのため検索機で調べて「ない」という落ち込みを少なくすることが出来る。
意外にも、ある図書館になくても横の図書館はある場合はちょくちょく、というか結構あるのだ。
この「図書館」で欲しい本を探すことが出来るという体験は思った以上に自分にとっては革命的な瞬間だった。

きっかけは覚えていないがとにかく見つけてからは見つけた本全て無尽蔵に保存しまくった。
本を読みながら、インスタで見た本、雑誌で見つけた本。
偶然に出会うけれど、記録するには面倒くさく見て通り過ぎてしまった本たちをカーリルで調べたら「どこで」手に入り、本を読むまで一直線に繋げてくれるのだ。

ここから変わったのが以下の3つである。

①芋づる式読書が可能になったこと。
②図書館の使い方が変わった。
③図書館複数使いができるようになった。

①芋づる式読書が出来る。

図書館の本棚を見る→読みたい本を探す。に加えて
読みたい本がある→図書館に行く。

というベクトルが参入するようになった。
今まで図書館は棚を見て読みたい本を探しにいって、手に入れるところだった。
間違っても「欲しい本」を借りる場所ではなかった。欲しい本は大体ないし特定の本が欲しいのであれば書店に行くという使い分けをしていた。
しかし読む本が増えると、欲しい本、読みたい本が増える。その量は到底普通のサラリーマンの給料では実現ができない量までになった。

そんなジレンマを抱えていた時に出会ったのが「カーリル」だった。
「読みたい」気持ち→図書館への連結が可視化されることで、どこでならその本は読めるのかという計画を立てやすくなった。
次が気になったら「カーリル」で調べて、置いている場所に行く。
特に「芋づる式読書」
(※本を読んでいて出てきた参考文献があったら所蔵の図書館に行き借りて読むという行為)に関しては今までしたくても金銭的に実現しにくい概念だったが図書館というアクセス性が向上した今は十分に達成しやすい環境を構築することができるようになった。

②今までとは違う図書館の使い方


そうすると今まで利用してこなかった領域にも手を出し始める。
例えばリクエスト、予約。
予約なんぞ、巷で超話題の本(本屋大賞の受賞作とか)を図書館の予約で調べて冷やかしに何人予約しているか見るぐらいにしか使ったことがなかった。
ましてや図書館にない本をリクエストをするなんて、そんな面倒なことをなぜ?という気持ちだったが、意外にこれが「自分の欲しい本を図書館で購入してくれる」=「公共サービスに対して住民の意見を反映する大事なアクションなのではないか」と思い始める。
自分が良い本だと思う(未読・既読係わらず)本が図書館になかったら自分が声を出して、手続きをし購入の意思を示すというのは必要な行動なのでは?と思うようになった。

そのためリクエストをするときのルールはいくつかあるが、
(1)市場で購入できる本であること
よく図書館には聞かれる。市場で購入できないと所蔵されない。
(2)図書館では購入に至りにくい本
小説や話題・著名な人の著書ではない、もしくは図書館で購入されにくいテーマ(図書館毎に個性があるので一概に言えないが、基本的に図書館に関するテーマの本は購入されやすいので、勝手に入ってくるのを待つことが多い)の本に関して購入依頼を出すことが多い。

何より自分で声を出すことで、他の住民に届くのは嬉しい。単純に自分でリクエストして購入に至った本が他の人から何件か予約が入っている場合もあり嬉しかった。

③図書館の使い分け


ただ全てリクエストにするのは、現実的ではない。
そのため、他の図書館と並行使いをすることである。
大体の地域では相互貸与制度を結んでいることが多く、自分の住んでいる地域・市町村以外の自治体の図書館を利用することが出来ることが多い。
ちなみだが、極端なところだと東京の千代田区立図書館は特に図書カードを作るのに在住地は求められないようなところもあるのだ。借りようと思えば関西在住でも借りれる)
そのため欲しい本がどこの図書館にあるか「カーリル」で調べ、借りに行くのだ。
ちなみに、「カーリル」で調べていたら自分が通っていた図書館に対しての評価が客観視できるというメリットもある。
実際に私が普段使いしている図書館の評価は、「カーリル」利用前後で相対的に低下した。なぜならもっと良い蔵書がある図書館が近くにあることが判明したからだ。
ただ図書館は継続的に利用が求められる施設のため、交通の便・生活のパターン(車が持っているのか、利用時間の違い)等により蔵書の良さだけで決められる部分ではないため、現状も同様に普段使いの図書館に通い続けている。
一方で欲しい本が多い図書館だけど、交通の便が悪い(私の場合は車の運転が出来ないので駅近である必要がある)場合は、自分から通いやすい市民センター等に予約本を取り置きして取りに行くという「欲しい本特化型図書館」という使い方をしている。

さて、ここでこれだけ図書館で本を読むようになったのだから、本を買う量は減ったのか。
答えは否である。
図書館に通う人間は、本屋にも行き、そして本も買っていく。
ただ少し戦略的に使い分けれる余裕を「カーリル」がくれているように思う。
今までであれば近くの図書館、本屋でないとなったらAmazon等で買ってしまっていた部分がかなり少なくなった。その代わり独立系書店や応援したい書店を見つけて欲しい、絶対買わないといけない本は取り寄せを依頼して買うようになった。

まとめ


「カーリル」のサービスがもたらしてくれたものは、「図書館へのアクセスの改善」に留まらないと思う。この変化には、今まで「もっと読みたい本を読みたい」という欲望に対して現状の環境ではどうすることもできないという諦念に塗りつぶされていたことに、工夫していく幅を提供してくれたことだと思う。
「カーリル」という道具を使って、どのように自分の読みたい欲を自分の持ちうるリソースで補充していくか、その方法を考え、そして自分なりにカスタマイズしていく過程自体に悦を得られるようになったことにあると思う。
実際に同時多発的ではあり、「カーリル」が直接原因となったわけではないが、自身の本との生活について意識的に構築し、考察するきっかけの1つといえると思う。
今後も本にまつわるもの(s)についてまなざし、文章として記録を残していきたい。


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