システムとエントロピー

私は山梨県の都留文科大学という大学の社会学科一期生です。山あいの小さな町にある小さな大学の出身になります。当時、都留市は人口が32000人くらい。都留文科大学は都留市立でしたから全国の公立の大学ではもっとも小さな自治体が運営する公立大学でした。そして、一学年の人数が500人くらいだったとおもいますから、市の人口の8%くらいが学生でした。9割くらいの学生がその町にすんでいました。私の通っていた大阪府立春日丘高校は当時、50人学級で12クラスありましたから、高校よりも大学の方が小さかったわけです。都留文科大学はもともとは教員養成校からの大学でしたから、全国各地から教員志望の学生さんたちがたくさんやってこられていました。
 私が大学に入る当時はバブル絶頂期で教員志望者も減り続けていて、大学も今後の方針の一つとしておそらく社会学科を開設したのだと思います。
 その社会学科開設当時からユニークで、一つ大きなテーマに「環境」がありました。いまでこそ、SDGsやサスティナブルなどを一般的にきくようになりましたが、当時としてはかなり珍しかったと思います。私のゼミの担当の寺田良一先生のご専門も「環境社会学」でしたから。そういう雰囲気も強かったのでしょう。その学びの中で、「スモール・イズ・ビューティフル」や「エントロピーの経済学」(これに興味があるかたはたとえばこのBLOGに簡単に説明あり)などにふれることになります。ここでは、特に化石燃料に依拠したエネルギー経済についての話が多く、いまその議論が世界中で(当時の想定とは違った形で)行われています。
 もちろん、その当時の学びはその後大学院で社会福祉研究に渡った私をしても基礎理論としては身についていることも多いし、自分の基礎理論は社会学であるといまも思っています(フィールドワークも含めて)。
 ただ、このエントロピーということばは、もともとが熱力学のことばだっただけあって、とっつきにくいことばでした。本当に最近になって、また自分のことばとして、ちょくちょく使うようになりました。え?どういう意味かって、この方の説明がわかりやすいです。

「障害福祉の常識を問い直す講座」の第2回目で、システムとエントロピーを説明で使いましたが、本来は、負のエントロピーをシステムと言いかえてつかっています。また、ICFシステム外との「交換」という意味でエントロピーを使いましたから余計に難解になったかもしれません。つまりは、システム完結をしたものをして、システム外との「交換」はさまざまな形で起こり、それによって「変化」は起こります。システムそのものが変化することをみなさんすぐに、システム内の変化による「成長」(量)や「発達」(質)ととらえますが、本来は外部との「交換」によってのみ変化は起こります(=外的要因)。そして、その外部=外的要因は、まさに【エントロピー増加の法則】つまり、本人とは関係ないシステム外の増大を起こしていき、システムに対して大きな刺激を与えるのです。
 ICFは切り取ったシステムですから、構造的に理解をすると、このようになると思うのです。

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