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引っ越し

 とっちゃんが一年生になるタイミングで、おとうさんが港の町に転勤になった。
 村は住所表示上は、〇〇町大字××という、××なので、それまで、〇〇町支所に勤めていたのが、〇〇町役場への異動でちょっとした出世。村の
みんなに祝ってもらっての転勤だった。
 とっちゃんはそんなことはわからない。兄弟みたいなみんなと別れて川下の町へ行くのが何だか変な気持ちだった。

 とっちゃんちは、JR線のすぐ南っ側にあって、電車が1時間に一本くらい行き来した。面白くて面白くて窓から、鉄条網の柵の前から、踏切脇から飽きずに見守った。
 町の子はもう飽きていたのか、とっちゃんに同調する子はいなかった。
 引っ越して1週間もしたら、小学校が始まった。
 入学式。
 おかあさんが仕事を休んでついてきてくれて、校門で写真を撮った。
 クラスの友だちとはすぐ仲良くなって、放課後は校庭で鬼ごっこして遊んだ。
 ねえさんたちも同じ小学校へ転向になった。おおきいねえさんは5年生。みち姉は4年生。おねえさんたちの教室は3階だし、時間帯も違うから、ねえさん二人は一緒に登校したけど、とっちゃんは同じクラスの子と通学するようになった。
 たいてい、一時間くらい早くいく。そして校庭でめいっぱい遊んでから校舎に入る。

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