ウニ漁を手伝う2
中2の夏休み直前のある日、シンジが
「とっちゃんさぁ、手伝いに来ないか」
と、声をかけてきた。シンジは漁師の息子だ。漁師の息子だが、舟が苦手でできれば陸で手伝いたい組だ。
とっちゃんは二つ返事。
言われた通り、早朝に港へ行く。
シンジと組んで港でウニを採る。
シンジは、トラックのタイヤくらいのチューブの真ん中にカゴを入れたもの(桶)を海に浮かべて潜る。
とっちゃんは駕籠を浮かべる。
10メートルくらい潜ると、底に着く。ウニは2重、3重に沸いている。それをタモに入るだけ入れる。ロープで結わいているので、自分はふわっと海面へ。チューブの上に上がって力任せにタモを引き上げる。とっちゃんならタモ満杯に入れるから辛い労働だ。シンジは三分の一くらいの取り高だが、ふぅふぅしながら引き上げている。
カゴがいっぱいになったらコンクリートの港に引き上げておやっさんに渡す。体は冷え切って、体力もなくなってふらふらする。唇は真っ青だ。焚火が無かったらやってられない。すぐに焚火に当たる。
おやっさんは港のセリで売る。
漁期は夏休みの間ずっと続いた。
寒い日は死んでしまうから無理しない。雨ならとてもじゃないけど寒くてやれない、風が吹いてもむり、そんなこんなで10日出れればいい方だ。
漁が終わって秋風が吹くころ、6千円のバイト代をもらった。