Chibayish, Iraq 9/23
落日間際の太陽は大きく見える。北に進んでいたから、左手側が橙色に染まって、その対岸は遠く夜の色を深めていた。マルシェ。背の高い葦の草に囲われた細い水路を木舟が緩やかに進む。水牛の水浴び、立っては消えゆく波紋、湿った熱気とともに立ち上る水草の青々とした匂いと、微風に吹かれて互いに擦れ合う音々。木舟の尖った先端がそのただなかを裂いていく。青緑の葦に混じった秋に色づいたいくつかの草木。夕色に鮮やかだった水面鏡は、今やただ深まる黒を映すだけである。
懐かしい匂いがした。しかしそれは