『海に眠るダイヤモンド』最終回|それでも私は鉄平に幸せになってほしかった。
うそだろ、鉄平……
てっぺーーーーーーい涙!!!!!
あさこぉーーーーーーー涙!!!!!!
と、何度も叫んでしまった『海に眠るダイヤモンド』最終回。
素晴らしいドラマでした。
TBSは本気でTBS版の大河ドラマを作ろうとしていたんじゃないかと思うほど、圧巻のドラマだったと思います。
作品に文句なんてありません。
最終回は涙が止まりませんでした。
登場人物全員を、彼らが住んでいた端島を、ただ見ていただけのこちらまで愛おしく感じさせてくれました。
それでも、それでも私はやっぱり言いたい。
鉄平に幸せになってほしかった!
そもそも隠さないで堂々と付き合ってたらよかったのに!
鉄平と朝子はもう別れるとかなかったでしょ。朝子は生まれてこのかた鉄平しか好きになってないんだよ。鉄平を好きじゃなくなる方法も、他の人を好きになる方法もわからないんだよ。鉄平が好きでいてくれる限り、朝子は鉄平のことずっと好きだよ。鉄平もさ、小さい頃から一緒にいた朝子があんなにかわいい女の子だって気づいて、しかも自分のことだけをずっと想ってくれることがわかって、もうベタ惚れだったじゃん。
島の人たちに冷やかされてテレテレしながら付き合ってればよかったんだよ!
そしたら鉄平は母親からリナと結婚するように言われたり、朝子も両親から見合い勧められたりしなくてよかったはずだよ。
なんでオープンに付き合わなかったんだ。
オープンにしていればこんなことにはならなかったかもしれない。
鉄平と朝子はさっさ結婚しとけばよかったのにーーーーーー!!!!!
……私の大声に、夫が「落ち着いて、ドラマだよ、ドラマ」と声をかけてきました。
そうだけど!!!
そうだけど、もうだめだよ。
2時間のスペシャルドラマとか映画なら納得できたかもしれない。でもこっちはもう3ヶ月近くも2人を見てきたんだよ。いつもみんなに優しい鉄平と、やっと思いが届いた朝子の嬉しそうな顔を見てるんだよ。
色々あったけど、鉄平は最後まで自分が守るべきものを大切にして、最後は鉄平らしく生きて、一面のコスモスと遠くの端島を見ながら幸せな晩年を暮らしたんだね、辛いけど、よかったね。
……なんて簡単に思えないんだよ涙!!!
簡単に思えないくらい、私はもう鉄平と朝子のことが大好きなんだよ。2人に幸せになってほしかったし、2人を幸せにしてあげたかった。
最終回でいろんなことが明らかになって、もう2人の未来はないって100%わかってても、それでもどうにか2人を幸せにしてやりたくて仕方なかった。
鉄平。
鉄平の人生、本当にそれでよかったの?
鉄平は悪くないのに、鉄平が全てを背負う必要はあったの?
甥っ子は大事だよ。亡くなったお兄さんの残した子供を守りたいっていうのもわかる。
でも、甥っ子と兄の奥さんを守った先に、鉄平が逃げ回らなきゃいけない人生って何だよ。
だって鉄平はこんなにいい奴なのに、こんなに一生懸命な奴なのに、こんなに純粋に、朝子を愛しているのに。
なんで、鉄平だけ、こんな風にたった一人ぼっちで、朝子の家族写真を見なきゃいけないんだよ。
こんなになってまでまだ、炭鉱員の就職先まで探して、お前もう何してんだよ。
日記を持ち歩いていた鉄平。
荷物をほとんど持たずにいるくせに、それでも日記を持っていたのか。日記と、ギヤマンだけ持っていたのか。
そんなに傷だらけで。
全てを背負って。
自分の気持ちを黒塗りにして。
何で人の幸せを願えるんだよ。
鉄平がもう少し自分を大事にしてたら、朝子に会いに端島に戻ってきていたかもしれない。一緒に逃げてくれと頼んだかもしれない。賢将たちに事情を話して匿ってもらったかもしれない。鉄平が助けを求めたらみんな全力で鉄平を助けたと思う。
けれど鉄平はそうしてくれなかった。
それが悲しくて悔しくてたまらないのと同時に、なんて強い奴なんだと思う。
鉄平は、自分の人生をかけて大事な人たちを守り抜いた。
レオたちがいろんな人から晩年の鉄平について話を聞いている時も、鉄平の姿は出てこない。
朝子も知らない、レオも想像できない、晩年の鉄平。
だから私たちは想像するしかない。
端島にギアマンを置きに来た鉄平を。
庭に植えられた一面のコスモスを見る鉄平を。
海の向こうに見える端島に思いを馳せている鉄平を。
どうかその表情が穏やかでありますようにと祈る。
鉄平が少しでも満ち足りた表情をしていることを祈る。
そして本当に鉄平は、ちょっと切なそうに、でも後悔した様子はなくギヤマンを置いたんじゃないか、幸せそうに微笑みながらコスモスと遠くの端島を穏やかに見ていたんじゃないか。
そういう気がしてくる。
私たちが最後に見た鉄平の姿はあんなに苦しそうだったのに、それでも私は、年老いた鉄平の微笑む口元が何故かちゃんと思い浮かぶ。
コスモスを植える時も、きっと寂しい気持ちじゃなくて、過去を思い出して幸せな気持ちで植えたように思える。
突然鉄平が消えてしまって朝子も人生のどん底のような日々を過ごしたと思いますが、それでも朝子は気張って幸せになったし、ご主人と結婚したことを悔やんでいる様子は微塵もありませんでした。
朝子はちゃんと、ずっと幸せだったんだと思います。
それが、ご主人が亡くなって、家族間でも会社を巡って色々あって、少しだけ空いた心の隙間から、端島で過ごした日々とかつての鉄平への想いが一気に押し寄せてきたのかもしれません。
朝子は端島を離れる時「全部置いてきた」と言っていたけれど、「全部」を置いてきてはいなかった。
置いていけたつもりになっていたかもしれないけど、もちろん、朝子の中にずっと息づいていたのです。
久しぶりにレオと一緒に訪れた端島で、朝子が昔のことを思い出すシーンは圧巻でした。
狭いからこその熱気と活気。
密集していた鉄筋コンクリートの構造住宅。
人々のざわめき。笑い声。
飲み込まれてしまいそうなほどの生々しさでそれが蘇り、まるで自分が本当に昔端島に住んでいたかのような錯覚に陥って、懐かしくて泣きそうになりました。
そしてそこには、確かに鉄平がいました。
朝子がいて、
賢将と百合子がいて、
進平がいて、リナがいて、
鉄平と朝子は、2人で幸せになれる、これから先もずっと端島で一緒に生きていけると信じていました。
朝子が心の中で想像した、夢のような「その後」。
とても長い時間が過ぎて、もうみんないなくなってしまったけれど、なんというか、魂は今のまま、みんながあの頃の姿で再会しているような感じがしました。
朝子と百合子はリナを許すように抱きしめ、
朝子の弟は稲を持って走り、
進平は鉄平に選択肢を与え、
鉄平は「どっちも同じだ」と笑い、
鉄平はコスモスとギヤマンを朝子に渡してプロポーズした。
もう2度と会うことは叶わない人たち。
もうここまで。
鉄平と朝子の物語はここで完結で、これ以上はもうない、というのがわかりました。
私がいくら「鉄平には幸せになってほしかった!!!」と叫んだところでもうどうにもなりません。
朝子がここで区切りをつけたなら、私もそうするしかありません。
朝子が心の中で鉄平と再会したように、
きっと鉄平も何度も心の中で朝子と再会し、何度も昔の姿の朝子にプロポーズをしただろうなと思います。そうやって、きっと何度も、幸せな気持ちになっていたんじゃないかなとも。
そんな鉄平に「幸せじゃなかったよね」なんて言えません。「幸せだった?」と聞いたら「ちょっと辛い時もあったけど、幸せだったよ」と笑って答えてくれる気がします。
だから鉄平が「幸せじゃなかった」なんて決めつけちゃいけない。端島で過ごした時間は幸せだったし、晩年も穏やかな時間を過ごせていた。外から見たことが全てじゃない。鉄平も幸せだった。
と、どうにか自分を納得させるようにしました!!!!!!!!!!(すぐ揺らぎそうになりますが)
あまりにも純粋で幸せな時間と、
あまりにも残酷な人生と、
鉄平といづみ(朝子)とレオの繋がりと、未来へ繋がる希望。
全てをまるごと見せてくれたお陰で、見終わって1週間経ってもドラマの余韻が消えません。
こういうことが時々あるから、ドラマが好きです。
来年もいいドラマに沢山巡り会えますように!
おしまい。
野木亜紀子さんと言えば1月2日に新春スペシャルドラマ『スロウトレイン』がありますね。
こっちも楽しみです!
幸福なドラマを見たい……!
と思ってたら、ちゃんと幸せを感じるドラマでした。