ボードゲームとカードゲーム、制作者から見た違い
私自身、遊ぶ時には「カードゲーム」と「ボードゲーム」とそこまで気にしません。しかし、作る側から考えると、かなり大きな違いがあります。
制作の自由度と制約
ボードゲームは、アイデア次第でほぼ自由に作ることができます。
一方、カードゲームには当たり前ですがコンポーネントにおいて大きな制約があります。ただ、俳句がそうであるように、制約があるからこそ生まれる/生みやすい何かもあったりするんです。
率直に言って、ルールの要素が相対的に少ないケースが多いという意味で、カードゲームの方が圧倒的に作りやすいと個人的には考えています。
テストプレイを重ねるブラッシュアップ段階においても、モックを作りやすいですし、プレイ時間が短いことから、テストプレイを数多く実施でき、多くのフィードバックを得て改善機会があることも、制作者にとって大きなメリットとなっています。
製造コストと物流の現実
製造段階での違いも顕著です。
カードゲームの原価はボードゲームと比べると非常にリーズナブルで、印刷費は文字通り桁が違います。
デザイン費用については、自作も含めてケースバイケースといったところでしょうか。
制作者なら誰もが頭を悩ませる保管と移送の費用。これも両者では大きく異なります。
例えば、私のボードゲーム「Topping」は大きめなダンボール1箱に8つしか入りません(!)。今となっては見通しの甘かった過去の自分を叱りたい気持ちでいっぱいです。同じスペースに小さなカードゲームなら、実に10倍以上を収納できるのです。
利益構造の複雑さ
粗利の面では、また異なる様相を呈します。ボードゲーム1つの販売利益は、小箱のカードゲームを複数販売したときの利益に相当するケースが多いのです。
見方を変えると、カードゲームは競合も多く、価格を上げづらいのに対し、ボードゲームは全体的に高価格帯が多いので、価格が上げやすい面もあります。
しかし、保管と移送のコストで、その利益はほとんど相殺されてしまいます。カードゲームをメインで制作されている方には共感されないかもしれませんが、ボードゲームを制作していると宅配業者への支払いのためにゲームを作っているのではないかと思えてくることさえあります。Kickstarterで海外に送付する際には、送料が商品価格を上回りました…。
ビジネスとして成立させるには、このトータルコストを慎重に考える必要があります。
新たな挑戦:カードゲーム制作
こうした経験をふまえ、私は最近カードゲームの制作にも挑戦しています。トリックテイキングはそのシステム自体に一定のファンがいます。これは、「トリテだから売れるかも!」という期待もあるかもしれませんが、何より基本ルールが広く共有されている点で魅力です。ルールを説明する側のコスト、理解する側のコストも低くなるからです。
ババ抜きやポーカー、麻雀などをベースに少しアレンジしたカードゲームが多いのも、同様の理由でしょう。
オリジナリティの追求
とはいえ、わざわざオリジナルのゲームを制作するのに、既存のゲームに自分の味をちょい足ししたような作品を作るのは少し寂しい気がします。
現実的に、人が一生のうちに作れるゲームの数は限られています。だからこそ、「TottoTottinoがカードゲームを作るとこうなるんだ」と感じてもらえるような、独創的なカードゲームを作りたいと考えています。
現在の状況
5月のゲームマーケット春を前に、テストプレイを終えたカードゲームとボードゲームが1つずつ、さらにテストプレイ段階のカードゲームが1つあります。創作意欲が溢れ出している状況で、これは嬉しい悲鳴といったところでしょうか。
ただし、ゲームマーケット等で複数の新作ゲームをリリースするのは現実的ではないと考えています。
というのも、ブースに来ていただいた方に、試遊も含めてしっかり魅力を伝えられるには2つが限界かな、というのが今の見立てです。これは私自身の能力的な問題なので、チームでエリア出展とかできたら話は変わってくるのかもしれません。が、その実現は少し先の話になりそうです。
そこで、現段階では次のゲムマ春では新しい試みであるカードゲームを新作とし、定番の「Topping」をリーズナブルにして提供していくことを考えています。
ボードゲームは制作コストも考えると、Kickstarterに挑戦して、その成果物をゲームマーケット秋に持ち込めたらと夢想しております。
それぞれのゲームの制作プロセスについては、順次共有させていただく予定です。それらも皆様の制作活動の参考になれば幸いです。
長くなりましたが、Kickstarter版の『Circlora』の進捗が芳しくないことをご報告するブログでした(違)。
https://www.kickstarter.com/projects/tottotottino/circlora-guardians-of-balance
今回の記事のポイント
カードゲームは制約がある一方で、テストプレイのしやすさや製造コストなど多くのメリットがある
印刷部数によって異なるものの、保管・移送コストの小ささは重要な要素となる
共有されているベースルールの存在は、製作者だけでなくプレイヤーの理解を助ける
既存ゲームのアレンジと独自性の追求は、制作者それぞれの判断による
Kickstarterの『Circlora』はなかなかローンチできなくて恐縮です!
さいごに
ボードゲーム制作について、投稿しています。
よろしければ、+フォロー&スキ♡をお願いします!