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鳥取再訪記 永井 達也
今回、雛鳥プロジェクトから5か月ほどの時を経て、今年4月に2度目の鳥取訪問をさせていただきました。もう一度鳥取に行こうと思った大きなきっかけは用瀬の流しびなでした。前回の鳥取訪問の際に流しびなの館を見学させていただきましたが、やはり実際に流しびなを見たいと強く思い続けていました。
用瀬の流しびなは毎年旧暦の3月3日に行われます。つまり、毎年日にちが違います。2024年は4月11日(木)ということで平日だったため、なかなか行きにくい状況ではありましたが、私はなんとか大学の休みを利用して行くことができました。一番の目的は流しびなを見ることでしたが、滞在期間を最大限確保し、鳥取に5日間滞在することにしました。
流しびなの日以外は特に何をするかは決めずに現地に向かいましたが、結果的に充実した日々を送ることができました。
〇1日目 流しびな
流しびなの前日には鳥取入りしたかったのですが、大学の関係もあり、当日の朝に現地入りしました。当日は雛鳥プロジェクトでお世話になっている週末住人さんとともに行事の本部のお手伝いをさせていただくことになっており、ピンクの法被を着て用瀬地域内を歩かせていただきました。
時間が経つにつれて多くの方々が用瀬に来場され、普段の用瀬とはまるで違う光景を目にしました(普段は外にほぼ人がいません)。本部の方や出展されていた方たちによると、今年は平日の開催で適度な来場者数であるものの例年はもっと人が多いということで、流しびなの行事が地域の方々に愛され、人々を引き付けていることを知り、すごいなと感じました。行事は「流しびな」という名称ですが、期間中、用瀬のまちは雛飾りで彩られたり、茶席が設けられてポン菓子や甘酒が振舞われたりもしていました。
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私がこの流しびなで一番印象に残ったのは、子どもたちがひな流しをしていたときでした。用瀬はThe 田舎といった感じもあり、あまり子ども多い印象はありませんが、流しびな当日は用瀬の子どもたち大集合!で多くの子どもたちを見かけました。
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その他にも流しびな行事に実際に参加し、いくつか気付いたことや感じたことがありました。まず一つは、流しびな行事は用瀬の人たちの交流の場になっていることです。用瀬の日常は静かなまちといった感じですが、流しびなの時はまちの人々が一致団結して様々な催しが行われます。特に片づけを一緒に手伝わせていただいた際に、人々の手際の良さや協力度合いのすごさに驚きました。一般的なお祭りであれば片づけは翌日、といったことが多いですが、この流しびなでは終了から一時間ほどで片付けが終わり、元の姿に戻りました。聞いた話によると地区ごとに担当が決まっていて、毎年の経験の積み重ねによるものだと感じました。また、流しびな行事は一日で完結しますが、実際は何か月も前から準備が行われています。一番大きいのはやはり流しびな作りですが、地域の方が定期的に集まり、一つ一つ心をこめて制作されているとのことでした。
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〇2日目 若狭鉄道を満喫
鳥取には若桜鉄道というローカル線が走っています。一応鉄オタなので、今回若桜鉄道の乗りつぶしをすることにしました。簡単に若桜鉄道について紹介すると、鳥取駅から少し離れた郡家駅を基点に若桜駅までの19.2㎞を結ぶ路線です。本来であれば若桜から先も延伸して兵庫県まで繋がる予定でしたが、工事は止まってしまいました。山間地域の衰退などから一時は存続危機にまで陥りましたが、今では観光型列車が走っていて、通学・通勤から観光利用まで幅広い利用がされています。乗ってみての第一印象は、とても魅力の詰まった路線だと感じました。車内はボックス型シートでとても明るく、沿線は自然豊か、そして多くの駅が登録有形文化財に指定されていて、かつての国鉄時代から変わらない雰囲気が残っています。かつて使われていた寝台列車が留置されている駅もあって驚きました。本当なら各駅についてひとつひとつ魅力をお伝えしたいところですが、キリがなさそうなので写真を載せるのみにさせていただきます。これを見ただけでも“行きたい!”、“ずっと残したい!”と思ってもらえるのではないでしょうか?
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〇3日目 なべ部
3日目は夜に週末住人のなべ部がありました。前回用瀬を訪れた際もなべ部には参加させていただいて非常に印象に残っていたので、今回もとても楽しみでした。今回は新年度最初のなべ部で、鳥取大や鳥取環境大の新1年生が多く参加してくれていました。前回受けた用瀬の洗礼を新1年生に受けてもらう場面もあり、少し忘れていた部分を思い出すこともできて非常に楽しかったです。これからもなべ部を知ってくれる人がどんどん増えて、用瀬が賑わうひとつのきっかけになればいいなと思います。
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〇4日目 倉吉へ
4日目は週末住人の深沢さんに誘われて、週末住人メンバーたちと倉吉に行きました。突然ですが牛骨ラーメンはご存じでしょうか?私自身豚骨ラーメンは好きなのですが、牛骨ラーメンは知らずに生きていました。実は倉吉は牛骨ラーメンで有名なんです。豚骨とは違ってあっさりしていて、スープも飲もうと思えばペロッと飲み干せちゃいますよ♪そのあとはなしっこ館に行きました。鳥取といえば梨ですよね。なしっこ館では梨の歴史について知ることができるほか、氷温貯蔵されている梨が一年を通して食べることができます。この時は梨の花を見ることができました。
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〇最後に
5日目は鳥取県の西部にも軽く寄ってから帰りました。鳥取県の東部はコナンで有名ですが、鳥取県西部は境港のゲゲゲの鬼太郎で有名です。この日はほぼ移動だったので割愛させていただきます。下の2枚はどちらも用瀬をぶらぶら散策していたときに撮ったものです。用瀬では春になると山の至る所でつつじが咲くのですが、このときはちょうど見頃でした。左の写真は山の上から撮ったものですが、用瀬が一望できました。山に囲まれて大きな川が流れていて、、、いい景色ですよね!右の写真は、山から流れてきた水が側溝に流れ出るところです。この鍋は何の目的で置かれているのか分かりませんでしたが、すごく風情が出ている光景でした。このような姿は用瀬の日常でありながら都会の人間にとっては非日常です。流しびなでたくさんの子どもたちを見てまだこの先も大丈夫かな、と思いつつ少子高齢化は進んでいます。都会でより便利な生活を求めるのも良いですが、このような田舎ののんびりとした日常がなくならないようにしなければいけないな、と思います。
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