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樹々とその剪定に学ぶ

社会福祉法人鳥取こども学園の職員より、施設や子どもたちの様子をお届けさせていただきます! 今回は、診療所「こころの発達クリニック」院長 川口孝一のコラムです!

※本記事は、「鳥取こども学園 学園だより 第48号」より転載しておりますので、昨年のできごとです。

 この夏園内の樹々の散髪(剪定)をある業者さんにしていただきました。「学園には貴重な樹がたくさんあるので、大切に守っていって欲しい」と言う樹々に対する熱い想いから、剪定講習まで我々学園職員にして下さいました。私も2回の内の1回に参加することが出来ました。

 講習が始まって5分も経たない内に、講師のスタッフさんとそのお話に引き込まれていきました。それは、私が熱い想いを持った職業人が好きなことと、「剪定」に子どもたちとの関りに通じるのもを感じたからです。影響を受けやすい私は、講習が終わる頃には「弟子入りしてもっと深く学びたい」と言う思いになり、その数日後にはホームセンターで剪定バサミとカーブ鋸を購入していました。


 多動症の私は子どもの頃から高い所に登るのが好きで、タンスの上や屋根の上(屋根の上で寝そべって空を眺めたり、甍の波を渡ったり)、学校の校庭の樹や木造校舎の梁にも登っていました(怒られませんでした)。老いてきた今も、登りたくなる衝動は変わりません。その様に樹に親しんできた私ですが、(名前を覚えるのが苦手なこともあり)園内で名前の分かる樹はイチョウとメタセコイヤ位です。この度の剪定講習のお陰で園内にも色々な種類の樹があることを知り、意識してそれらの樹々を観ることが出来るようになりました。


 剪定する前に、今から剪定しようとする樹について十分知っておく必要があるようです(自然の中ではどんな環境に生えていたのか?木材としては何に使われるのか?等)。自然の中に生える樹々は、樹々自らが自らの枝を剪定しながら成長していくそうです。そんな樹を違うところに移して育てるのですから、人の手による剪定の助けが必要になるわけです。

 外観の樹形を切り揃えることから入らず、自然の中で樹々が自らしてきたように、先ずは風通しが良くなるように、養分を効率よく利用できるように、内側にある枝を択んで丁寧に伐って(伐り方を間違えると、そこから『枯れ』が入っていくそうです)、本来のその樹らしく育って行くように剪定していくのだそうです。基本は観る者のための剪定ではなく、樹々のための剪定でなければなりません。結果的に樹々が生き生きと育てば、観る者にも喜びを与えてくれます。子どもたちとの関りも同じだなぁと思いました。


 散髪し終えた樹々たちは本当に見違える位、生き生き伸び伸びとしています。園庭を歩く時、樹々たちの声が聴こえるようになりました。私も声を掛けるようになりました。樹々たちは、これからも多くの子どもたちの成長を見守ってくれるだろうと思います。




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