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ホメるより励ます

ホメて育てると言う言葉をよく聞く。ホメられてイヤな気分になる人は少ないだろうし、ホメる言葉は口にする方も気分が良い。
特に、子どもたちはホメられると嬉しくなって、そのとき以上に頑張ったりする。

勘違いしてはいけない。ホメる材料もないのにホメるようなことを繰り返していると、勘違いする子どもになることがある。何かあるごとに、自分の好意をアピールし、ホメてほしいというオーラを発するような、異常に承認欲求が強い子どもになると言う例をたくさん見てきた。

一方で、ホメられた経験がほとんどない子どももいる。不器用なのに何とかしてやろうと創意工夫をしている生徒に、「頑張っていていいね」と言うと、「いいねだって? 何のこと?」と言葉を返す生徒がいた。彼の家庭は三世代同居、たぶん祖父母は私よりも少し年上くらいだろう。ホメて育てるなどと言う感覚はなかった時代に子育てをしていたわけだから、共働きの両親に代わって子どもの世話をしていても、ホメることはあまりないのではないだろうか?ちょっと斜に構えた男の子なので、小学校でも先生からホメられた経験は少ないのかもしれない。そんな中で、強面のヒゲ親父みたいな先生が言った言葉に、どんな反応をしたら良いのかわからなかったのだろう。どの先生も煙たがるような生徒なのだが、その言葉をかけてから、折に触れて励ましの言葉やホメ言葉を伝えてきた。不器用な彼は、不器用ながらもやるべきことはきちんとやるようになった。間違いなく、成長してきている。

私は、学校では良い子をホメることはしない。扱いづらい、ちょっと尖った子をホメる。ホメてほしいと言うアピールをする子をホメることはしない。人の目を気にして行動する子をホメることもしない。頑張っている子を励ます。本当に頑張っている子は自分は頑張っているというアピールはしない。そんな謙虚な姿勢をホメる。

ホメるのは、人間として正しく素晴らしいことをした時だけで十分。ホメるのではなく、励ますのが良い。

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