ルミナスミラージュ製作実況中継 #4
腹部の可動を考える その1
只今、腹部の可動機構を考えています。
前回の”ルミナスミラージュ製作実況中継#3”は2023年1月公開。
ただし実況ではなく、少し前の製作記録の貯金で書いたものでした。
それから約1年と3ヶ月。
長期間”実況”がご無沙汰となっておりましたが、
ネタがたまっている訳ではありません。
その間、製作をすっかり中断しておりました。
いゃ~、ルミナスの製作を本格的に始める前に、
シュペルターとレッドミラージュの製作記録を
noteで整理しておこうと思ったら、
ついつい深みにはまってしまいまして。
満足のいく記録を残すのは、
実際にガレージキットを作るのと同じくらい手間暇かかるものなのですね。
4月からは関東へ単身赴任となり、暫く手を触れていなかった
プラモ工具とルミナスの部品を引っ越し荷物に詰め込み、
ついでに製作に関する構想の中断前の記憶をメモと頭から引っ張り出し
心機一転、製作を再開するのであった。
ただし、『レッドミラージュスポットライト』は
書くべきことがまだ少し残っていますし、
『シュペルターと歩む15年記』はまだまだ終わりの見えない状態。
”三足のわらじ”で、新環境にも体を馴染ませながら、
ゆるゆると進めていきたいと思います。
新しいガレキ製作拠点からは、足を延ばせば浅間神社があります。
お賽銭は毎回10円。
関東で大地震が起こらないようにお願いしております。
神社の売店ではございませんぞ。
『授与所』でシン・ゴジラ手拭いを購入。
1200円を”支払い”ではなく、”お納め”して参りました。
シン・ゴジたん。
壁にタペストリーのように掛けたのですが、
就寝時、電気を消して暫くすると、暗さに目が慣れて
眼前に黒々としたシルエットが浮かび上がるのが大迫力です。
引っ越しして始めにやったのは、
3月からやり掛けだったモーターヘッド蛇腹装甲考察の仕上げ。
これをもとにシュペルターと歩む15年記#30では、
モーターヘッドの蛇腹装甲そのものの機構を提唱しました。
提唱した内容とは?縦に連なる装甲板の列が
ボールジョイントで繋がっており、
装甲板上端、下端はそれぞれ胸、腰にヒンジで
連結されているというものです。
その勢いでルミナスミラージュ製作テーマの一つである
『リアル追求のための可動』として挙げている、
①首部可動化
②腹部可動化
のうち、まずは腹部可動化から計画を進めます。
2022年10月18日に腹部可動の構想スケッチを描いてから
長期凍結されていた”ハラ作戦”の再開です。
ちなみに、私のnote初回作『トップガンマーヴェリックの謎を解け』
の連載開始が2022年11月6日なので、
そちらに全力投球しちゃったんですね。
今回はかつての計画を思い出すところから、おさらいしていきますが
やはり課題は蛇腹装甲の装甲板一枚一枚を
どのように可動させるかです。
いくら『リアル追求』といっても、
今回提唱した機構をそのまま再現することはしません。
いくつもある装甲板の中には2×2㎜といった極小サイズのものもあり、(1/100スケールで、です。実寸なら20㎝×20㎝か、意外と小さいな)
強度が保てない、もしくはジョイント機構の実現すら無理がある。
という受け身的な理由もありますが、
”模型として”より良いものにしたいという積極的な理由もあるのです。
仮にこのように個々の装甲板を上から順々に繋いで装甲板の列をつくり、
それを首尾良く円周状に11列並べることができたとしても
鼓型を歪ませたような独特のシルエットが
必ずしも再現できるわけではありません。
腹部はこのシルエットが命なので、
これをキットオリジナル状態と寸分たがわないように再現したうえで、
さらに可動させたときに一枚一枚の装甲板の並び方・動き方の統制が
確実に取れるようにしたいということです。
これから実際の(?)機構とは別に
”模型としての”蛇腹装甲可動機構を検討していきます。
まずは可動範囲
スケッチの原案通り、目指すルミナスミラージュの
フェンシング風ポーズを再現するために必要な胴のひねりに限定します。
さて、これからどうしましょう。
バカ者‼ 新兵!
『俺が胴をひねれ!』といったら、
『どの角度までひねれば良いですか?』と答えるんだ!
映画『ユニバーサルソルジャー』でドルフ・ラングレン扮する
ベトナム戦で狂気に走ったアンドリュー・スコット軍曹の風のセリフ。
WhyよりHowを問うとは、狂気ながら物理学的見識に立っているな。
『ぇ~、”どの角度まで”ひねりましょうか?』
『えっとねー、ちょっと待ってね。
右足をまっすぐ前に向け、左脚を90°開くと腰は45°方向を向きますよね、
だいたい。
その状態で顔はまっすぐ正面を向いて欲しいわけですから、
まず腹部で22.5°捻り、さらに首で22.5°ひねるようにしましょう。
わかったな!新兵』
つぎに蛇腹装甲の、どの範囲を動かすか決めていきます。
すべての装甲板を可動させるのは現実的ではないし、
むしろひねりだけであれば“最大くびれ部”近傍が特に動くはず。
(これはシュペルターと歩む15年記#30でも考察済み)
色々と”料理”できるように早速腹部パーツを複製して、
実物をもとに案を巡らします。
おっと、これじゃなかった!
こちらです。
正面の装甲板の列は9枚から成りますが、
最上部と最下部は直接胸部や胴部に取りつられているものですので、
可動はそれら2枚を除く7枚の範囲とします。
正面から側面、後面と装甲板の周方向の並びを見ていきますと、
完全に横一線とはいきませんが
だいたい7層を形成しているようにみえます。
この7層分を可動をさせることで、うまく体をひねることができそうです。
この7層分の範囲で7層×11列=77枚の装甲板を1枚1枚可動させ、
かつ独特のシルエットを維持したまま
上手く連動して装甲板が動くようにするにはどうしたらよいだろうか?
本物のモーターヘッドの胴は竜骨がある以外はスッカラカンなのに対して、
可動機構としてはむしろ蛇腹装甲の内部に可動する“芯”を通して
その芯で装甲板を支持するのが現実的でしょう。
この芯は円盤状部品を積み重ねたものにしようと思っていたところ、
実物からの採寸により円盤の厚みは1.7㎜程度であることがわかりました。
適当な厚みの板を適当な素材で見つけるのはなかなか難しいのですが
幸いにもタミヤ透明プラバン厚さ1.7㎜が使用できそうです。
その円盤の外周面から可動軸を放射状に伸ばしてその先に
装甲板を取り付けるのはどうだろうか?
さながらチーズフォンデュのよう。
いやチーズフンデュの時は具は内側を向くので、
逆チーズフォンデュか!
可動する円盤は7枚、中心に回転軸を通し、
隣り合う円盤同士はだいたい3.8°くらいズレれば
合計で22.5°強のひねりが得られます。
逆に円盤間がズレすぎてもまずいので、
可動範囲を制限する嵌り込みを設ける必要がありそうです。
この円盤から外径向き水平に軸を伸ばして
その先端に単体の装甲板を取り付け、
その径方向位置を保った状態で
自由に回転できるようにするのが思考実験のNEXTステップ
思考実験FINALステップとして上下に隣り合う装甲板は
装甲板下端がオーバーラップするようにして、
装甲板裏側の突起が下層装甲板上部の溝に嵌り込む形で
センターの位置決めするようにします。
この状態で、それぞれの円盤の回転限度いっぱいまでひねると…
きっとこうなるはず。
円盤の回転角度制限の仕方や装甲板可動軸の取り付け方など
細かいところは後で詰めるとして、基本的な考え方はこれで良いはずです。
よしそれでは、と”エア”可動で、一旦胴のひねりを元に戻します。
あれ?
装甲板が変な具合にずれました。
なるほど~、上側の円盤だけが動くと確かにこうなるな。(図-2:左)
というか胴にひねりを加える時は全円盤がほぼ均等に回転することを
勝手に期待しちゃっていたとしても、
さすがに戻る時まで、全ての円盤が同じように動いて、
基準位置に復帰すると思うのは、いくら何でも都合が良すぎる。
”円盤間の理想的なずれ角度”からの逸脱という意味では、
例え各円盤が一定比率で回転したとしても
上下端に回転しない角度固定の装甲板があることで
綺麗な並び方にはならないのか・・・難しいな。(図-2:右)
この円盤が最適な角度比率(各円盤間で一定値ではない)で
連動して動くような機構が果たしてこのサイズで実現できるだろうか?
蛇腹装甲可動化の夢は潰えるのか!
考えろ!考えろ!
もともと胴を目いっぱいひねった時には
装甲板が美しく並ぶような円盤毎の角度に制限する予定だったのだ!
(まだその具体的な値までは考えていないが)
その最適比率を可動中も常時一定に保つ方法は⁉
さすがに遊星歯車なんてものは仕込めないし…
うーん、暫し頭を空にする。
ボ~
棒~、が一本あったとさ、葉っぱの下に目玉焼き~♪
そうだ!棒だ、棒を仕込めばよいのだ。
(細かいところは省略)
かなり机上論っぽいし、本来は円筒面での棒の動きを
2次元的に考えているのでうまくいく確証はない。
また隣り合う装甲板の列同士の干渉なども
平面の作図では把握はむずかしい。
まずは簡単な試作品を作って検証せねばなるまい。
おおよそのサイズは写真から読み取って、と
プラ板工作は大変なので得意のダンボールでつくってみます。
手元にあるダンボールの厚みから割り出すと
約4.2倍のサイズになります。
模型の模型、
いわばエヴァンゲリヲン初号機に対する零号機のようなもの(?)である。
ダンボールの円盤を切りだして、回転軸はつまようじ。
つまようじにどんどんぶっ差しながらダンボール円盤を積み重ねます。
それから円盤の最適角度比固定用のため真鍮線の棒を通します。
(ここはまだ、試作の試作であり、ベールの中)
ありゃりゃ真鍮棒が一部分ですが、円盤外周にはみ出しました。
ああ💡、全体はテーパー形状なのに
円盤の代表直径を円盤厚さ中心で決めたのがマズいのか!
ここは円盤直径の決め方を見直す必要があるなフムフム。
まぁそのための試作である。少々のミスは良い。
装甲板はボール紙で作ってこちらも回転軸はつまようじ。
装甲板形状を実物パーツからだいたいのサイズを測り取って
方眼紙に10倍サイズで描き、
それを42%に縮小コピーして、型紙にします。
つまようじを斜めにカットして、木工用ボンドで装甲板に接着します。
ダンボール、ボール紙、木工用ボンドの三種の神器を使っても
工作はなかなか大変です。
(実際のプラバンやら真鍮線での作業はさぞかし骨が折れる事だろう)
出来たつまようじ付きボール紙装甲板を
ダンボール円盤の側面にぶっ差してと、
正面の装甲板列ができました。
あれ?なんだか、装甲板の並びがガタガタしてるな。
さすがにつまようじを段ボールの断面に突き差すだけでは、
位置決め精度が低いようです。
つまようじの軸を受けるスリーブのようなものが必要です。
つまようじにピッタリのサイズの紙ストローでもあれば・・・
インターネットで紙ストローを探すが、
さすがにつまようじにピッタリの内径のものなど見当たらない。
なければ作り出せばよいのだ。
手元にあった方眼紙の紙を13㎜幅くらいに切って
つまようじに巻き付け、木工用ボンドで接着
十分実用に耐えるスリーブ軸受のできあがり。
これを大きめに開けた段ボール円盤側面の穴に突っ込んで
位置を調整しながら木工用ボンドで固定。
おおー、紙とつまようじなので精度の問題はありますが、
おおよそ一列が整列しました。
最終的には前面180°分の装甲をカバーできるように、
7枚の装甲板列を5列つくって可動テストする予定なのですが、
まずは一列取り付けた状態で動かしてみる。
ズリズリ
うにょにょにょにょ~ん
おおー動いた動いた。
円盤の上端と下端を持ってひねっているだけなのに、
(ダンボール製にしては)ちゃんと一列の装甲板が整列して動いている。
しかも何度繰り返しても、ちゃんと同じ状態を再現してくれている。
いい感じ。しばらく遊ぶ
ん?なんか動かすと円盤と装甲板の距離が大きく変わるな?
しばし観察。
あっ、装甲板の可動軸が水平になっているのが原因なんだ!
ここは装甲板に対して法線方向に取り付けなければ。
ただそうなると可動軸用穴明けの位置決めがなかなかに難しい。
円盤の角度割り、半径位置と穴明け角度といった
コントロールすべきパラメータが増え、
3次元的な寸法計算も、実際の加工精度確保も
いずれもやり方を考案しなければ。
まぁここまでやり掛けたのだから、
まずはこのまま正面の両隣の装甲板まで作ってみて
どのようなことが起こるか観察しよう。
で、このような感じに零号機完成!
紙製なので遊び代が大きかったり、干渉しても変形したりで、
なんとか動いているように見えますが、
硬質の材料できっちり作るとニッチもサッチも動かなくなりそうです。
やはり設計変更が必要だな。