文化の日に芸術などいかがでしょうか?
海を越えてやってきたもの
ブンブンブン!ブンブンブン!文化の日。
遠いむかしの東京に~
お船に乗ってやってきた。異人さんの贈り物
贈る真心、映画は一番、絵画は二番、三時のおやつは控えましょ~
文明堂ではなく文化の日(翌日は振り替え休日)と
その1週間前からの事。
ちょっと芸術に触れてみようと思い立ちまして、
東京国際映画祭! 観に行って来ました。
歌えや踊れのお祭りを見たわけではなく、
10月28日~11月6日までの期間に
我らが『トップガンマーヴェリック』の最後の砦、
有楽町にある数々の映画館で上映される、
映画祭出品作品を見てきたのです。
といっても上映は主要な部門だけでも以下10部門。
コンペティション
本年、東京国際映画祭に応募された数多くの映画の中から
厳選された15本の作品を上映
アジアの未来
アジアの新人新鋭監督が競い合う10作品による第2コンペ
ガラ・セレクション
世界の映画祭で話題となった作品を紹介。
ワールド・フォーカス
現在の世界の映画の潮流を知ることのできる作品を紹介する部門
アニメーション
最新の注目作を上映する「ビジョンの交差点」
Nippon Cinema Now
日本映画の新作を上映する部門。
選考にあたっては、「海外に紹介されるべき日本映画」
という観点を重視。
日本映画クラシックス
巨匠・増村保造監督の生誕100周年を記念し、
戦争が人々の心に残した傷跡を強烈な映像で描いた3本の傑作や
名優・高倉健の没後10年にあたって、
東映やくざ映画の一時代を作ったシリーズ等々を上映。
ウィメンズ・エンパワーメント
女性の複雑な諸相を描いた女性監督による多彩な作品を特集
ユース
10代の方々はもとより、一般の映画ファンの方々も必見の
強力な作品が揃う。
TIFFシリーズ
ここ最近、テレビ放映やインターネット配信を前提とした
シリーズものが数多く作られるようになり、
その中から劇場用映画に勝るとも劣らない
クオリティを有するものを紹介。
出品作品は主要部門の2023年~2024年発表の新作だけで84作品。
個別の企画や旧作リバイバル上映も含めるとゆうに120を超えている。
この中からどうやって選んだものか?
まずはせっかくの「2024」「International Film」Festibalなので
新作の海外映画を観て見よう。
それも出来るだけ普段目にする機会の無い映画が良い。
これは私にとっては、ほぼほぼ
”ハリウッドの5大スタジオで製作されたもの”以外
ということを意味するんですけど、
もともと東京国際映画祭の出品作品にアメリカ映画は
ほとんど含まれてません。
イタリア、フランス、香港といった映画大国以外にも、
今個人的に注目の中国映画
更にほとんど見ることの無いブラジル、コロンビア、ポルトガル
などの映画が目白押しなんです。
ある意味怖いもの見たさです。
別の観点では東京国際映画祭でしか見ることの出来ない作品かどうか。
面白そうであっても、公式HPがあって後日公開されると
公表されているものは、無理して映画祭で観る事はないだろう。
チェック、チェック。
あとは作品紹介のPDFデータを見ながら小説のジャケ買いのように
面白そうなものを感性で選んでいく。
ねらい目は?
”ガラ・セレクション”から
「トワイライト・ウォリアーズ決戦!九龍城砦」と
”アニメーション”から「Flow」かな。
その他7つくらい候補を選ぶ。
決戦は土曜日!
10月19日からインターネットでのチケット予約が開始されます。
部門ごとにサイトのオープンする時刻が分けられています。
”アニメーション”は10:00~
がんばって「Flow」のチケットをゲットしなくては!
5分前からパソコンの前にスタンバり、定刻になるのを待つ。
9時59分55秒、56、57、58、59、10時!
カチャカチャ
う~ん、繋がりませんね。
何回やっても
『現在アクセスが集中しています。
しばらく時間を開けてから接続ください』が出ます。
しかし大丈夫(だろう)。
『トップガンマーヴェリック』最盛期のI-MAX予約で経験している。
これは自分が予約しようとしている作品のみではなく、
すべての作品に対するアクセスが同じサーバーを通して行われており、
回線数が不足しているだけなのだ。
みんなが『Flow』を狙っているとは限らない(;^_^A。
落ち着け落ち着け(;'∀')
間もなく10時を10分も回ろうかというところでフイに繋がる!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
『Flow』は残席あとわずか!の△印、あっぶね~。
ここでしくじって、
”はじめからやり直してください”とかなったら終わりだぞ。
慎重かつ迅速に予約を完了させる。
よし、チケットゲット!
あと10:00にオープンする部門では、観る予定の作品はないので
余裕でチラチラと状況を確認。
再び予約が繋がりにくい状況が5分程度経過した後、
確認すると『Flow』は早くも、”販売終了”となっている
危なかった。
続いて13:00~”アジアの未来”と”ワールド・フォーカス”
アジアの未来では『昼のアポロン 夜のアテネ』を
予約しようと思っていたのですが、
やべぇ、
上映時間が『Flow』と重なっていたことに直前で気づく
なんせ上映館が8館もあって平行で上映しているうえ、
ガイドには上映開始時間しか載っていないので
綿密な計算が必要なのである。
”ワールド・フォーカス”から『キル・ザ・ジョッキー』を予約。
もっとも重要なのは16:00~の
”ガラ・セレクション”を含む予約シークエンス。
やはり世界の映画祭で評価されている作品は
なかなか魅力的なのである。
すぐさま、『トワイライト・ウォリアーズ』を狙いに行くも
16時10分過ぎにやっとつながった時には販売終了。
とうとう恐れていた事態が起こってしまった。
が気を取り直して、残りの2作品を確保に走る。
結局18:00~”コンペティション”で1作品を予約してミッション完了。
と思っていたら11月4日月曜日は振替休日でした。
昼間でも観に行けるやん!
先ほど、11月2日土曜日であきらめた『昼のアポロン 夜のアテネ』
まだ席に全然余裕があります。
とりあえずゲットしておこう。
逆にどうしても時間が合わずに断念したのが
『ナイトビッチ』でした。
さらに後日、自分が予約した作品に対して
他の人の予約具合を確認するチケットパトロールをしていると、
(だって自分の選んだ作品が、
”販売終了”になってたらうれしいじゃないですか)
ある作品のチケットに余りがあることに気付く
これはチケットが”先行受付して抽選”となった3作品の
一つで、最初から見送っていたもの。
この『オラン・イカン』と言う作品
120作品中たったの3つの先行予約対象、という選ばれし作品のハズが
座席に余りがあるとは!
みなさんもどうせ空席はないだろうと思い込んでいるのか?
すかさずゲット(その理由は後程)。
こうして、平日のレイトショーもちりばめつつも
11月2日~4日の3連休を中心にした7作品を
めでたく予約できたのであった。
幕開けは爆音とともに
そしていよいよ10月28日東京国際映画祭が幕を開けるのでした。
さて、ジャンルごとに紹介すべきか、はたまた時系列が良いか。
実はこの期間に東京国際映画祭以外にも
いくつかの映画鑑賞や展覧会を体験しているのですが、
一つの作品を見るたびに、自分自身が影響を受けていると
感じるところがあったので、時系列が良いかと思います。
10月28日 月曜日
『トップガン・マーヴェリック』
っておい!
いきなりアメリカ映画!
いきなりハリウッド・パラマウント作品じゃないですか?
しかも2022年公開。
本当に東京国際映画祭かい?
違います爆音映画祭です。
最近はLINE全盛(もう古いですかね?)で
スマホに届くメールは商業メールばかりになり
めったにチェックしないのですが
19日に予約した東京国際映画祭の予約確認メールで
入場用のQRコードが当日すぐに提示できるように、
不要なメールをどんどん削除していた。
そこで見つけたユナイテッドシネマズからのメールマガジン
削除する前に開いてみると目に入ったのは
爆音映画祭!
詳しく見てみると、ライブ用の専用機材を使い、
その爆音により視覚までが変容して見えるとある。
おもしろそうじゃないか!
上映作品を見ると『トップガンマーヴェリック』もある。
上映時間は?
10月28日 月曜日 20:10~ 月曜早々レイトショー!
11月1日金曜日 9:50~ こりゃむりだ!
11月3日日曜日 20:20~ 東京国際映画祭を見ます。
上映館はアクアシティお台場のユナイテッド・シネマ。
ところでお台場ってどこよ?
乗り継ぎ案内で確認すると会社が終わった後でも十分間に合う。
よし28日 予約。
ただ、前日27日は神戸で時計の革ベルトについて
ミヤコ時計店の若旦那と検討会をしてまして、
翌日28日月曜日、朝4時30分起きで神戸空港から羽田へ飛び
そのまま会社へ出社。
仕事をした後に単身寮には帰らず、
直接お台場というハードスケジュールなのです。
お台場には新橋から”ゆりかもめ”に乗車。
ゆりかもめって寝台特急みたいな名前ですけど
無人運転の新交通システムなんですね。
神戸のポートライナーみたいなもの。
って余計わかりにくいですかね?
ゆりかもめから見える夜景はまさにメトロポリス。
そして気が付けば海の上。
スマホのMAPで現在位置を確認すると
なんとレインボーブリッジを通過中!
待って待って、心の準備ができとらんけぇ~。
お台場についてから、
”シティーボーイ、コラ!やんのか?コラ”
と言われるのをわかりつつ、ポコぞう、ゼニファーに
ファンタスティックな夜景を送信!
”シティーボーイ、コラ! (`Д´)ノ”
やっぱりのお返事が返って来ました(笑)
かなり早く到着したのでしばらく待ってから
スクリーン1に入る。
座席は鑑賞37回目で、ここに来ての初めての F-18!
本当に大きいスクリーン(劇場)でないと18番席は
スクリーン(画面)の中央付近にならないんです。
席にすわってから、キョロキョロと見回すと
前方に何やら、仮設じみたスピーカーがある。
客席の後ろの方からこれまた仮設のケーブルが
繋がっていて、まさに特設の音響設備です。
さて感想は?
大爆音、大変興味深かったです。
まさに「映画を見た!」という感じ。
音響設定が、効果音とBGMに全振りしていて
セリフは前方スピーカーのほぼ1か所から聞こえてくる。
登場人物がしゃべっているというよりも
スクリーンに映している映像に合わせて
音声が流されているとういか。
I-MAXのキャッチコピーで
”watch movie or be part of one”
というのがあるけど、
「ウォッチ ムービだぜ、コラ!没入感め、やんのか コラ!」
と正面切ってケンカを売っている。
昔の映画ってこうだったな~って面白い。
そのくせ、音質は良いし、
映像も大画面で高画質なのでチープではないんですよ。
目の前で出来事が起きているっていうより
物語りが語り手によって語られている感じがして
違う映画のようでした。
ただあまり頻繁に見ると難聴にならないか心配です。
10月29日 火曜日
二日続けての仕事の後のレイトショーです。
ホント、体力と相談してください!
本日の作品は。
『死体を埋めろ』
2024年ブラジル
部門:コンペティション
監督/脚本/作曲:マルコ・ドゥトラ
上映の映画館は”ヒューマントラストシネマ有楽町”
どこだよ?それ。
普段行くTOHOシネマズ日比谷は、地下鉄日比谷駅が最寄りですが
こちらはJR有楽町駅の前。
この日は雨、有楽町駅の東側へ行くのはほぼはじめてなので
ドキドキしながら、駅前をウロウロ。
やっとで映画館のあるITOCiAというビルを見つける。
「ITOCiA」なんて読むの?イトーちゃ。伊藤園のお茶?
それと誰かOIOIとの関係を教えてくれ~い。
映画館のある4階へ上がると、通路みたいなところに置かれたイスに
座っている人がちらほら。
ここ?ここなの?
どうやら映画館の中とも外ともつかないここが
待合用ロビーのようです。
さながらニューシネマパラダイスのトト少年のように
会場を待つトトム中年。
さて、初めての東京国際映画祭、
しかもガチンコの”コンペティション部門”出品作品の感想は?
”ワレ、ゲイジュツ二、フレタリ”
”我戸惑う、故に我あり”
なかなかシュールでした。
ま、上映作品一覧の紹介にも超現実的で奇想天外と書かれていたのですが、
もう奇想天外にもほどがある!
でも面白かったです。(面白かったしかないんかい!)
山あいの村が舞台。
のどかな風景に反して、あちこちに終末感の漂う設定。
詳しい描写はないが、子供を媒介して死の病が蔓延しているらしく
子供は隔離島なるところに閉じ込められているらしい。
またその村境も警備隊によって封鎖されており、
大人の村人も許可証がないと
村の外に出ることもできないのである。
しかも日に何度かはけたたましいサイレンとともに火山岩が降り注ぐが
村の人々にとっては気にもかけない日常となっている。
終始、不安感を掻き立てる音楽と映像。
その合間に美しい音楽が流れる違和感に、心が揺すぶられます。
たしかに紹介の通り映像は見事であった。
でも、残りの6作品もみんな”こんな”なのだろうか?
それとももっと難解な作品も?
不安と期待が一層高まるマイ開幕作品でした。
出口アンケートがありQRコードで観客賞の投票を行う。
最初の作品だし、非常によい、良い、普通、悪いのうち
中間に普通を選ぶ。
だって初めてだし何が良いか悪いかわからないのですもの。
11月1日 金曜日
本日はうれしはずかしドキドキデー
作品は?
『エマニュエル』
2024年フランス
部門:ガラ・セレクション
監督/脚本:オードレイ・ディヴァン
我々世代ではエマニエルといえば
エマニエル坊や!
他には?
籐のイスに座ってはいるが薹の立ったシルビア・クリステルか
よりゴージャスな籐のイスに座ったミア・二グレンですね。
逆に言うとこれしか知らない。
籐のイスを見ると、エマニエル夫人のイスと言っていたものです。
では、現代のエマニュエルは果たして籐のイスに座っているのか?
気になるがちょっと観に行くの恥ずかしいかな?
いや、さすがに21世紀。
白昼堂々映画祭に出品される、しかも女性監督の作品。
芸術ですよね、ゲイジュツ。
いや、いや、白昼堂々と言ったが、この『エマニュエル』、
他のほとんどの作品と異なり、
映画祭期間中でもフライデーナイトに1回きり、
秘めやかに上映されるのである。
なにやら意味深?ドキドキ。
上映館は丸の内ピカデリー。
懐かしい名前である。
場所は前回のヒューマントラストシネマよりも少し駅から離れたところ、
またしても迷う。
いや、ビルはすぐ見つかったのです。そこまで方向音痴では無い!
ピカデリーはそのビルの9階にあるはずなのですが、
館内案内には7階までしか表示されていないため
ビル内迷子の状態なのである。
結局、一回外に出て、直通エレベーターを発見。
やっと到着。
映画のポスターなどの掲示もないが、ちっさい字で
”エマニュエル”と書かれた紙があるので
きっとここで間違いないだろう。
今度も待合ロビーのような場所はなく、
ビルの吹き抜けみたいなところに突っ立って待つ。
なんとなくソワソワしていると、
上品な感じのおばさまが近づいて来て、
『シアター2ってここでよろしいのでしょうか?』
と尋ねられる。
『いや~、ちょっとわからなないです』
と言ってから、自分に届いたメールをチェックすると
まさに『エマニュエル』がシアター2
『どうも、ここがシアター2みたいですよ』と
おばさまにお伝えする。
どうやら、この上品なおばさまも
『エマニュエル』をご覧になりにいらしたようでございます。
そう、こちらのおばさまとは、”エマダチ”ということですね。
シアターに入って、上映前のお知らせ。
本日はフランスよりオードレイ・ディヴァン監督に
駆け付けていただいておりますので、
上映後トークセッションがあります。
上映が終わっても、どうぞそのままお席にてお待ちください。
え、そんな東京国際映画祭、そんなイベントがあるの?
予約完了のメールでは上映終了時間は22:40。
帰宅できる最終電車には1時間以上余裕があります。
拝承いたしました。
てか、こんな小劇場ではディバン監督に失礼では無いだろうか?
知ってたらせめてタキシードくらい着てきたのに(笑)。
リサーチ不足でした。
はじまりました。
『え?』
『おお~』
『うっわ~』
意外とアレですな~。参りました。
しかし圧倒的な映像美には魅了される。
籐のイスは出てきませんでしたが。
それにしても、助演のウィル・シャープス、かっけぇな。
俺もこういう芸風をめざすか!
そしてトークセッション
トークショー登壇ゲスト:
オードレイ・ディヴァン(監督)
湯山玲子(著述家、プロデューサー、おしゃべりカルチャーモンスター)
湯山女史は現代の男女の事情(情事ではない)を大胆に解釈に取り入れ
『あの場面にはこういう意味があったのでは!』と監督に凸るのですが
対して、作品を作った監督ご自身は
『そういう解釈も出来るとは、新鮮です!』
と悉く意見は一致しない(笑)。
オーレイ監督自身おっしゃっておりましたが
やっぱり芸術というのは、観る人毎に異なる解釈があって
良いものなのです。
この『エマニュエル』、2025年1月10日から日本公開されるそうです。
きっと画面には東京国際映画祭ではなかったボカシが
入っているのではないだろうか?
あれ?出口でのQRコードでのアンケート無かったな!
どうやら”コンペティション部門”出品作品だけみたいです。
それならば、『死体を埋めろ』にもっと高評価をつけとくんだった!
芸術は連鎖反応だ
11月2日 土曜日
さあ、3連休に突入!
がんばっていきまっしょい!
(ネタバレ早い、早いよ)
『Flow』
2024年ラトビア/フランス/ベルギー
部門:アニメーション
監督/脚本/音楽:ギンツ・ジルバロディス
一番楽しみにしていた作品の一つ。
クロネコちゃんかわいいでしょ。
今回も上映後にトークショーがあるというお知らせがある。
今日もあるの?まずい、予想してなかった。
実はこの上映のあと、有楽町から品川へ移動して
アニメーション映画『がんばっていきまっしょい』
を見るのである。
もちろん東京国際映画祭とは関係のない映画です。
移動時間の猶予は35分間。
もともとギリギリの移動計画だったのだが、
まぁいい、なるようになるだろう
『Flow』の上映開始。
出演は主人公のクロネコをはじめとする
犬、カピバラ、ワオキツネザル等の様々な動物たち。
ニャー、ワンワン、ブホッブホッ、キッキ
動物の鳴き声だけがスピーカーから流れ続ける。
言葉というよりも本当に鳴き声。
動物どうしでも言葉は通じていないようでした。
それでも登場人物ならぬ登場動物が何を考えているのか
的確に伝わるアニメーションの手腕は、なかなかのもの。
結局最後まで、全く人間の言語は使われないという
斬新な動物モノでした。
世界感も独特。
クロネコちゃん(登場動物には名前はないのです)は
猫好きの彫刻家が住んでいたらしい森の中の家から出発し
人間の遺した帆掛け船に乗り、
水没しつつある街や寺院などを通り過ぎるのですが、
人間のいた痕跡はそこらじゅうにあっても、人間は全く出てこない。
人間はどこに行ったのだろう?
洪水で滅んだというよりも、
ただ単に”人間の存在が消えた”という感じです。
実は世界が水浸しになっているのは、紹介にある”大洪水”とは
だいぶ感じが違います。
海面があっという間に、しかも静かに、数十メートル、
いや小高い山も水面下に沈んだので、
もしかしたらも百メートル以上も上昇し、
そして上昇が止まった後は、今度は潮が引くように
一気に大地が水面から顔を出すという
物理現象としては”説明不可能な現象”がおこる世界でした。
何が描きたかったのか?
トークショーで何か語られるかな?
トークショー登壇ゲスト:
ギンツ・ジルバロディス(監督/脚本/音楽)
マティス・カジャ(脚本)
トークショーでは主にアニメーションの技法や
演出上の効果などが語られたので、テーマの詳細はわかりません。
もしかしたら単に動物たちの冒険を描くために必要な
設定だったのかもしれません。
ただ感じることはありましたね。
映画の冒頭からのほとんどの場面では海面が上昇を続けており、
陸上動物にとっては命懸けの冒険が繰り広げられる一方で、
対照的に海中の生物たちは活き活きと命を謳歌している様子が
描かれています。
それが最後に一気に水面が下がった時は一転、
あんなに悠々としていた空想上の巨大な海獣が、
山の中腹に打ち上げられ身動きもできず
最期の時を待つというクライマックスが印象的です。
そして映画製作最後期に監督によって付け加えられたラストシーン。
水位が安定した海の中を巨大海獣の仲間が泳ぐシーンで終わります。
はたしてテーマは?
『栄枯盛衰』。陳腐な言葉しか出てこず恐縮です。
世界はどんどんと移り変わり、繁栄していたものもいつかは衰退する。
しかしながら類語である『生者必滅』ではない。
どんなに苦境に立たされても命は必ず繋がっていくものである
こんなメッセージを感じ取ることができた上映でした。
『Flow』も日本公開決定!
2025年3月14日です。
この独特の世界感に浸りたい方は是非どうぞ!
さってと、今から有楽町駅で山手線外回りに飛び乗り品川駅まで行きます。
時刻は? 16:30
メールに書かれていた上映終了時刻です。
あぁよかった。
トークセッションの時間まで含めて上映終了時刻が連絡されている
という親切案内なのでした。
『がんばっていきまっしょい』
松竹配給のアニメーション映画です。
実は田中麗奈のデビュー作である実写映画を見た事があるので
アニメーション版も観て見たかったのです。
品川プリンスホテル AnexタワーにあるT・ジョイPRINCE品川に
着いたと同時に入場開始のアナウンスがかかる。
タイミングは計算通りでした。
残念ながら、土曜日の夕方だというのにシアターはガラガラ
実はインターネット予約した時に、一席たりとも予約が入っておらず
予約1人目が私だったのです。
心配はしていましたが、結局私以外は親子連れが一組と若者4人組だけ。
松竹さん、がんばっていってくださいまっしょい!
後ろの席に座った若者同士の話を聞くところによると
愛媛の海や山、湖などの景色が忠実に再現されており
愛媛出身者にとっては感動なのだそうです。
しかし、海が!海の色がきれいすぎる。
まるでここはパラオかパマリカン島か!
すみませ~ん、瀬戸内海ですよね。
映画の内容は。
登場人物の言う事。
ご尤もでございます。
ストーリー展開。
まったく真っ当な現実世界の出来事にほかならない。
登場人物どうしの微妙な感情のもつれによる波乱や、
ストーリ展開上の多少の無理もあったかもしれませんが
全然どうして、微妙な揺らぎの範囲、有り得る、有り得る。
東京国際映画祭の合間に観たのが、
良かったのか、悪かったのか?
不条理さの欠片も無い事に、そんな物足りなさも感じたのでした。
『キル・ザ・ジョッキー』
2024年アルゼンチン/スペイン/アメリカ/メキシコ/デンマーク
部門:ワールドフォーカス
監督/脚本/プロデューサー:ルイス・オルテガ
本日のトリは『キル・ザ・ジョッキー』。
これだけは東京国際映画祭のHPに予告編動画がついていました。
予告編だけみても絶対面白そうでしょ?
映画『憐みの3章』の予告編で出てくる
エマ・ストーンのくねくねダンスは、
映画のクライマックスシーン(ストーリー的には意味がない)でしたが、
『キル・ザ・ジョッキー』ではもう冒頭から予告編のダンスが出てきます。
大丈夫かな?出し惜しみせず、こんなに早く見所を出し切るとは?
いやいや、どうして。
これまで見た映画祭作品の中で一番の不条理映画でしたが、
かなり面白かった。
HPでの紹介では”脳震盪”と書かれていますが、
そんな生易しいものではない。
”認識”を司る大脳皮質に深刻な損傷を受け、一命を取り留めたのが奇跡、
というレベルなのです。
とにかく主役のレモを演じた、
ナウエル・ペレーズ・ビスカヤートがただ者ではない。
ジョッキー、すなわち競馬の騎手らしい小男、
そして特に男前でもない風貌で、終始無表情なのですが、
素晴らしい存在感。
脳を損傷する前はただ者ではないアル中ジョッキー
脳損傷後は女性になり切って立ち振る舞うし、
何の説明もなくテクテクと壁や天井を歩くのである。
いや、これは見て良かった。
と満足して帰途に着く。
11月3日 日曜日(文化の日)
まだまだ元気。
映画のお祭りは続きます。
ですが本日の問題は時間の使い方。
一本目の映画と二本目の間が5時間半も空いているのです。
さってどうしようかな?まぁ、それはあとで考えよう。
まずは、かなり楽しみにしている中国映画から。
最近のもっともお気に入りの映画『熱烈』で
中国映画の底力は折り紙付きなのですが、
果たして”実力”を発揮してくれるのか?
『ブラックドッグ』
2024年中国
部門:ガラ・セレクション
監督/脚本:グァン・フー(管虎)
この映画も上映後にトークセッションがあるのです。
映画の冒頭に主演のエディ・ポンのビデオレターが流れる。
『今日は、トーキョーに行けなくてゴメンナサイ』
映画のポスターから勝手におじさんをイメージしていたのですが
なかなかチャーミングな青年のようです。
一層、上映が楽しみになる。
いや、これは越えましたね。
K点越えです。
K点はスキーの「極限点」(独: Kritischer Punkt)
であると同時に期待値のK!
最高!ブラボー!素晴らしいの一言。
今まで見た中で一番好きな映画であるといっても過言ではないかも。
主演のエディ・ポンの演技、
ストーリー、映像、すべてがワールドクラス。
荘厳かつ寂寥感のあるゴビ砂漠の風景、
黒犬と主人公の心の交流
主人公を取り巻く村の人々の生き様
など良かった所はたくさんありますが、
何が一番私の心を打ったのか?
まずは観客の皆さんのご意見もうかがえるQ&Aセッションの様子から
Q&A 登壇ゲスト:
ジャスティン・オー(プロデューサー)
マチュー・ラクラウ(編集)
ちなみに冒頭にもありましたが、
もともとは主演のエディ・ポンが登壇する予定だったのですが、
急遽来日できなくなったのだとか。
惜しい、残念過ぎる。
こういう時、質問ある人、とか言われてもなかなか
手を上げる人はいないんじゃないかな?とドキドキしていましたが
かなりたくさんの人が挙手しています。
やっぱり皆さんの一番の関心は、
黒犬やその他映画に登場した犬軍団たちの舞台裏。
それからラストシーンの村の動物園の檻の鍵を開け、
動物を村に放つというシーンについて。
なるほど、なるほど。
プロデューサーでこそ答えられることもあるのですね。
最後の質問で、なぜ時代設定が2008年なのか?と言うものが有りました。
これは私も思っていて、2024年の現代の映画で、
わざわざ2008年の情景や出来事を再現するのは大変だったのではないかと
疑問が浮かんできます。
ジャスティン小姐のお答えは?
2008年はご存じ北京オリンピックのあった年、
やっぱりこの年、この出来事を契機に中国は
大きな変化を遂げてきたのだそうで、
その原点になった年を描きたかったのだそうです。
私は北京オリンピックの翌年の2009年から2012年まで
中国に赴任していましたが、
確かにものすごい勢いで街が発展を遂げていったのが印象的でした。
赴任場所は映画の舞台であろう中国北端の
内モンゴル自治区とは対極の南国広州でしたが、
言語、食事、人々の慣習は違いながらも
下町の建物だけは劇中に描かれていたものと、
とてもよく似たものがありました。
おそらく計画経済の名のもとに、
中国全土で同じような建物がどんどん建てられたのでしょう。
万里の長城でも故宮でもない現代中国文明の原点となったもの、
中国の原風景とそこに暮らす人々の暮らしぶりが
強く心を打ったのです。
そうですね。
となりのトトロの中国版といえばいいのでしょうか。
さて映画の感動も醒めやらぬままに、
足早に移動します。
目的地は?上野です。
以前から行ってみようかどうしようかと考えていたのですが、
上野の国立西洋美術館で『モネ、睡蓮のとき』と題する
特別展示をやっているのです。
ちょっとネットで調べると、
素晴らしかった!と同時に、平日でも人が一杯だった!とあるので
三連休の中日、一抹の不安はありつつも、
時間はたくさんあるのだからと、思い立ったわけです。
初めてやって来ました上野駅。
上野に着きながらも、
『上野発の夜行列車降りた時から~』などと口ずさみながら
公園口を目指して歩く。
駅構内には、東京駅や品川駅で通い慣れたググっと気を引く
魅力的なお店がいっぱいの"ecute”があり、
お昼ご飯も未だ食べていない、お昼時(てかもうそろそろ14時ですが)
あらゆるお店の食べ物がおいしそうに見えるが、
まずは現地の確認が優先と、
ズラリとお客さんが列をつくっている特製海苔弁の
お店を横目に見ながら、どんどん進む。
芸術を愛する心が食欲に買った瞬間!
いや、やっぱりなんか買お。
芸術優勢の時間、短かったな。
でもすぐに食べれる八天堂のクリームパンで手を打とうじゃないか。
季節限定のクリームパンマロン一つ下さい。
要冷蔵なので”お持ち歩きの時間はどのくらいですか?”と聞かれ、
1分後に食べるとうのも気恥ずかしかったので
30分以内ですと答えておく。(うそではないだろう)
国立西洋美術館は公園口改札を出て、すぐ正面らしいので
改札を通過しながら、クリームパンをパクつく。
クリーミーなマロンクリームにマロンダイスを入れました。食感も楽しめるくりーむパンです♪
という事らしいのですが、二口、三口で食ってしまったので
マロンダイスの食感にも気付くことなく、ただ空腹を収める。
インターネットでは、
駅出口すぐのツーリストインフォメーション パークス上野で
『モネ 睡蓮のとき』のチケットも買える
ということだったのですが、
行ってみると、
”モネ 睡蓮のときチケットは完売”の表示が!
やべぇ、三連休舐めていた!
あとは美術館のチケット売り場で並んで買ってください
ということらしいので
諦めず、国立西洋美術館へ突撃。
長い!列が長いね。
海苔弁屋さんの比ではない。
『チケットお持ちの方』の列が70分待ちだと!
だが、今の私にこの列に並ぶ資格はない。
まずはチケットを買わねば。
こちらは意外と列は短く、おそらく15分くらいで買えたと思います。
それから気合を入れて、入場待ちの列に並び直すが、
またまた意外にも結構なスピードで列は前へと進む。
結局チケット購入と入場待ちを合わせても
40分くらいのものでした。
アニキ、モネ展の大混雑。見掛け倒しですぜ!
生意気言ってスミマセン。
中は身動きとれないくらい人が一杯でした。
こういう展覧会では特にみなさんの集中力と足の筋力にゆとりのある
前半では、ゆっくり鑑賞するので、
進むペースはかなり遅くて渋滞気味、
後半になるにつれてどんどんと流れが加速して、
空いて来るのが常なのです。
それを知っている係員さん、
『特に列を作る必要はありませんので、
空いているところからご覧ください』
と観衆をそそのかすのですが、
時間に余裕があれば、流れに乗ってじっくり鑑賞するのが
一番効率的なんです。
次の映画は19:00から、
まだ4時間以上時間があるので、絵画のみでなく、
すべての説明文をじっくり読みながら進む。
1章 セーヌ河から睡蓮の池へ
(展示エリアに表示されていたテーマです)
入場するといきなり目に飛び込んでくる『舟遊び』1887年
実物の絵画を自分の目で直に見ないと分からないのですが
背を向けた女性の白い服が輝いているように見えます。
これが140年近くも昔に描かれたものとは信じがたい瑞々しさです。
モネの筆力にも圧倒されますが、
時の流れで磨かれた油彩という技法そのものが
最初から100年単位で作品を残すことを考えているようで
敬意を禁じ得ません。
プラモデルの作品もこうありたいものだとしみじみ思う。
このコーナーは水面を描いた絵画から、
我々が良く知っている池に浮かぶ睡蓮の絵が生まれるまでの
時代の絵画を集めていますが、見所のある作品が多い。
特に印象に残ったのは
チャーリング・クロス橋四連作の一つ、1899年の作品
朝もやにつつまれた淡い色彩の中にあってなお
輝きを放って見えるテムズ河の水面が幻想的です。
それから創作期間10年におよぶ怒涛の睡蓮八連作の一つ
鹿児島市立美術館所蔵の睡蓮 1897‐1898年です。
こちらは初期の睡蓮で比較的写実的に描かれたものですが、
深い緑の色彩と油絵具の光沢ががもっとも美しく感じました。
2章 水と花々の装飾
いきなりですが、睡蓮とアガパンサス 1914-1917年頃
何故この絵がこのコーナーの代表なのか?
『えっ、睡蓮とアズカバン? あぁ、アガパンサスか。
私は何でもハリーポッターに見えるわ』
と背後でつぶやいていた女性が面白かったからです。
第3章 大装飾画への道
なんとこのコーナーだけは撮影OKなのです。
ただし動画はダメなんだそうで、
動画の何が悪いのかはよくわからないですが、
移動中に躓いて絵画を巻き込み大転倒?
あるいは観客の盗撮防止?
(たしかに上野は美人、佳人、麗人が多かった!)
タイトルの通りここに展示してある絵はほとんどが
大装飾画の習作なのです。
習作と言っても1つの完璧な作品ですが、
パリ、オランジュリー美術館にある睡蓮の大装飾画こそ、その集大成。
もう一度オランジュリー美術館を訪問したくなりました。
(行くならもう一度フランス語の勉強からやり直しだな)
第4章 交響する色彩
モネの視覚がかなりヤバくなった最晩年の作品たち。
展示会のフィナーレを飾る絵画郡なのか?
No、No。
やっぱりクライマックスは第3章です。
ここに展示されている絵は前半に展示するには個性がありすぎ
さりとて、絶頂期の作品でもない。
その色彩の氾濫は、
最後にモネを見送るための鎮魂歌のようです。
エピローグ さかさまの世界
ここには2点の絵画が展示されてましたが、
最後に掲げられたボードの言葉はひときわ記憶に残るものでした。
西洋絵画は遠近法に基づく厳密な構図を基本とするものであり
言い換えれば、視覚を通して見た人間中心の芸術である。
クロード・モネは遠近法も水平線すらも捨て、
ただ水面を描くことで自然中心の絵画を目指したのです。
それはこれまでの芸術への挑戦であったと言えます。
神を描いた宗教画から、人間中心の芸術を目指したルネッサンス。
そして世界を認識する主体たる人間をも超越した
自然中心の芸術の模索。
なんと素晴らしいのでしょうか?
図録を買って帰ろうとショップへ寄るが、
どうも『モネ 睡蓮のとき』の図録は売り切れのようでした。
すべての展示部の解説をしっかり読み込んでいてよかった。
その代わりに五彩織の睡蓮大型タオルを買って帰りました。
これで部屋の中がジュヴェルニーの水の庭に早変わり。
なんか、すっかりと芸術を満喫したのですが、まだ終わりではない。
『オラン・イカン』
2024年シンガポール/インドネシア/日本/イギリス
部門:ガラ・セレクション
監督/脚本:マイク・ウィルアン
ということ(解説よんでね)なんですね。
東洋(斎藤)と西洋(ブロンソン)の自然観の違いなどが
込められていてメッセージ性もあるのですが
それはトークショーでの監督のお言葉ですので、おいといて。
Q&A登壇ゲスト:マイク・ウィルアン(監督/脚本)
トークショーのネタついでに、
オラン・イカンの意味は?
オランはオランウータン(類人猿)の”人”の部分
イカンは何語か知りませんが”魚”ということで
すなわち魚人です。
解説のモンスターというのがこの魚人のことなんです。
最初こそ、水中から姿を見せず襲って来る
謎のモンスターなのですが、
もう劇中早々に普通に陸に上がってのしのし歩いている。
顔面こそホウライエソのような、異形ですが
この着ぐるみモンスター(今や定番のCGではないんです)は
着ぐるみの厚みの分だけ筋骨隆々、バッチ来い!
無人島に上陸した日本兵どころか、オラン・イカンへの畏怖の念をもつ
現地人のおじさんまで襲って、首をちぎってはポイ!
やりたい放題。
この島には巨大ワニもいて、途中サンダ対ガイラのように対決します。
考え事でもしていたんでしょうか?
うっかり川辺につったっていたオラン・イカン(略してオカン)さん。
水中から突如姿を現したワニに噛みつかれ水中へと引きずり込まれます。
憐れ、さすがの魚人もワニの不意打ちには敵わない。
ストーリーが続くためには、他にも魚人がいたということかな?
と思っていると
ガッツリワニに噛まれたはずのオカンさん、
ピンピンして水中から出てきました。
そしてワニの上あご、下あごをそれぞれの腕で掴み
ばっり~っと、ワニの口を割いて、ポイツ
あんぐり!
ワニだけではなく見ている観客も口がふさがらない
その魚らしからぬ格闘戦におけるナゾの戦闘力の高さナニ?
この川にある滝の奥に、実はオカンさんの産卵場所である
洞窟があり、ベイビーがすくすくと育っていたのです。
あ、子供の様子を見に行っていたのですね。
スーパーマッスル・キラーフィシュかと思っていたら
恋する半魚ちゃんだったのですよ。
ラストシーンでは不時着した戦闘機についていた爆弾を
ブロンソンがこの洞窟の中で爆発させ、
オカンを道連れにしようとするのですが
どういうわけか、やっぱりピンピンして洞窟から脱出。
もしかすると魚人界のプリンセス天巧なのか?
しかしこの屈強なモンスター。
最後は斎藤に日本軍の日本刀で切られて
”負けた。斬れ!”(いわゆるくっころ)とばかりに
抵抗をやめるのですが
”無益な殺生はせぬ”とばかりに去っていく斎藤。
いや、ここは最近の異世界ものの流れでいくと
『自分より強い男がいたなんて』
とオラン・イカンが斎藤に惚れるのか、とまで期待したのですが
さすがに、そこまでのワル乗りはしないようです。
いや~、おもしろかったな~。ウン。
トークショーでの監督曰く
”三船敏郎とリー・マーヴィン主演の『ヘル・イン・ザ・パシフィック』
にインスピレーションを受けた”のだそうです。
すると司会のおじさんの元も子もない発言
『それとエイリアンとプレデターを足すと、オラン・イカンになるね』
あ~あ、なんとなく思ってたけど、言っちゃった!
あとカリオストロの城も入れといてください。
最後に司会のおじさん
『オラン・イカン2なんて考えてたりしません?』
いや、観たいかな? みんなどう?
監督はどうですか?
『もし、この映画が日本で公開され、皆さんが友達に勧めてくれて
人気が出れば、あるかもしれませんね。』
オラン・イカン2が、
オラン・イカンと斎藤のラブストーリ
サイトウ・イカン・Jrが登場するならば、俺は絶対観に行くぜ!
なぜ、オラン・イカンが先行申し込みによる抽選なのか
なぜそれでも席が残っていたのか?
一部の熱心なマニアの間(のみ?)で人気があるカテゴリーのようです。
Q&Aも和気あいあい、芸術の別の意味での奥深さを体感いたしました。
11月4日 月曜日(振替休日)
泣いても笑っても、東京国際映画祭鑑賞最終日。
あと一作品を残すのみ。
東京国際映画祭は11月6日まで続くのですが、
観たい映画は観切った。
でも”あと一つ”というのはさびしいものです。
『昼のアポロン 夜のアテネ』
2024年トルコ
部門:アジアの未来
監督/脚本:エミネ・ユルドゥルム
最後の一品にふさわしい、良い映画でした。
本日のトークショーは監督のみでなく、
俳優さんも登壇するというのは初体験ですので、
これも楽しみ。
さて映画が始まると、
いきなり不機嫌そうな表情の御姉さんが画面に映る。
主人公のようです。
一緒にバスに乗っている青年が話しかけても塩対応。
この方が本日のゲスト?ちょっと怖そうかも。ドキドキ。
これがこの映画の演出の絶妙なところで、
主人公ダフネと朴訥そうな青年ヒュセイン、
派手な服装の元娼婦、
ダフネ以上に不機嫌で誰にでも失礼な事を言う
ホテル経営の太ったオヤジもチラっと加わり、
序盤チグハグなやり取りが繰り広げられるのですが、
或る瞬間にこれがバチっと嵌るわけですよ。
見た事のある設定といえば、そうかもしれませんが、
これらの謎の登場人物達はダフネだけに見える
幽霊だったのです。
ダフネは幽霊たちの助けを借りながら、
亡くなった自分の母親の幽霊を探すという
ゴーストマザー・クエストの旅に出ています。
ダフネは生まれた直後に母親とは生き別れになったのですが
幽霊であっても会いたいという思いに突き動かされているのです。
話が急展開するのは、古代遺跡で知り合った神官の女性(幽霊)
のおかげで、とうとう母親と会える時間と場所がわかった後。
なんと、母親は幽霊ではなく、ピンピンしてて
遺跡のガイドをしていたのです。
”え、なんで?実は死んでいるのはダフネのほうだった!という
シックス・センスのようなオチではありません。
ダフネもちゃんと生きていて、生者どうしガチの再開を果たすわけです。
ただ、この再開が決してハッピーというわけではありません、
逆に母親のほうから激しく拒絶されてしまうダフネちゃん。
この先のストーリーは是非、映画でご覧ください。
といいつつ、これ日本公開予定ないんですよね。
まぁいいや。
みなまで言わぬのが花。
人間どうし、いや人間と幽霊との間でも
お互いの関係性というのは確定的なものではありません。
自分が変われば、相手も変わる。
いや、相手が変わらなくとも自分の考え方を変えるだけで、
相手の違う面が見えてくる。
というメッセージが込められた作品です。(たぶん)
ラストは思わぬ結果となった母親との再会に打ちひしがれたダフネが、
あることをきっかけに(これはちょっと出木杉君設定ですが)
自分自身の内面の成長を遂げます。
必ずしもハッピーエンドではないけれど、
『ままならない、そんな人生でも生きていくよ』
と再び強く一歩を踏み出す姿に感動の涙が零れ落ちました。
Q&A登壇ゲスト:
エミネ・ユルドゥルム(監督/脚本)
エズギ・チェリキ (as ダフネ)(俳優)
バルシュ・ギョネネン(as ヒュセイン)(俳優)
Q&Aはダフネと相棒のヒュセイン役の俳優さんたち、
それから監督のお三人様。
映画の中の飄々としたヒュセイン様子そのままのバルシュさんや
終始疲れ切った表情のダフネとは違いさすがに美しいエズギ様に
感嘆いたしました。
ちなみに『昼のアポロン 夜のアテネ』は
アジアの未来作品賞に見事選ばれました。
ユルドゥルム監督、おめでとうございます。
さて、次の映画に行ってみよう。
あれ?『昼のアポロン 夜のアテネ』で最後だったんじゃ?
はい、東京国際映画祭の出品作はすべて見終わりましたが、
連休最終日に映画1作品だけ見て終わりでは
さみしいじゃないですか。
どこかの映画館からとって来たチラシ(フライヤー)の中に見つけた
これまで見たことの無い”ドキュメンタリー映画”というものを
観てみたいと思います。
『五香宮の猫』
渋谷のシネマ・イメージフォーラムという
あまりにマイナーな映画館へ移動します。
渋谷駅大きいです。
東京メトロ半蔵門線のホームで下りるとなかなか駅出口に到着しません。
やっと地上で出ると、坂をどんどん上って行って陸橋を渡り、
”こんな所に映画館があるわけがない”と思ってしまうような
狭い路地に入ると、
ありました。
ドキュメンタリー映画上映開始。
最初はこれでもか!というくらい猫尽くし。眼福眼福。
当然、猫の吹替えセリフはありませんし、ナレーションもありません。
人間は話しますが、セリフではなく、
つぶやいたり、住民どうしで話しているのをマイクで集音しているだけ。
時には住民が監督に、『おじさん、ここでなにしてんの?』
と話しかけたりしてきます。
フムフム、これがドキュメンタリー映画というやつか。
思った以上にドキュメンタリーです。
ドキュメンタリー7:映画3くらいです。
野良猫の捕獲作戦を機に
だんだんと住民の皆様に視点が移り、
猫賛成派と問題提起派(反対派とまでは言わないのですが)
それぞれの言い分やお互いの話し合いの場面が増える。
問題提起派はやっぱり猫の糞尿の始末を挙げる。
特に地域外から猫目当てに来る人は餌をあげるだけで
糞の始末はしない、というところが焦点です。
人間の出す生活ごみに比べれば実はかわいいものなのだが、
価値観はぞれぞれ。
猫賛成派の説明は、
野良猫の捕獲と去勢・避妊手術は
今いる猫は大切にしながらも猫の数を自然と減らして、
数年後には野良猫がいない町にする
というもの。
野良猫の寿命は家猫と違って、3~5年程度なのだそうです。
手厚く世話をする住民がいなければの話ですが。
この取り組みは自然の摂理に反した不自然な形なのか?
動物の数を制御する(減らす)と言う意味ではそうかもしれません。
しかし住民の方も、ほぼ年金受給の高齢者で
やがてこの地域の人口も減っていくだろう。
これは自然の摂理による仕方ないものといえるのか?
人はだれかに出産を制限されたり、食べ物を無償で供給されて
生きているわけではないのでしょうが、
その代わり何か目に見えないものに生かされ、
コントロールされているといことはないのだろうか?
野良猫自身も、決して人間のおかげで長生き出来ているとは
思っていないだろう。まして感謝もしていない。
ただ餌が豊富な住みやすい場所を見~つけた!と
思っているだけなのでしょう。
エンディングに”追悼”として
2人の地域のご老人と
10匹ほどの猫が画面に出ました。
映画に出た時は人も猫も、みんな元気そうな姿だったのに。
果たして命に違いはあるのかな?
人間の立場では、当然人間の命が最も価値のあるものですが、
モネの絵画のように、人間の視点を離れ自然を中心とするならば
きっと自然は人間を特別扱いしてくれることは
ないのでしょう。
不可逆変化の行方
華やいだ映画祭(えいが”まつり”)も終わり、
まだ賑やかな街を背に帰途に着く。
今映画館から取って来たビラを眺める。
明らかな映画祭の影響を受けつつ。
次はどんな映画を見ようか?
最近の行きつけだったTOHOシネマズ日比谷の
現在のラインナップを確認してみる。
やっぱり外国映画はアメリカのものがほとんど。
有名どころでは
グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声
ヴェノム ザ・ラストダンス
だが、どうも食指が動かない。
そして思っていたよりも多いのが日本映画
お馴染み、室井慎次シリーズや
東京国際映画祭にも出品されたルート29、十一人の賊軍など
う~ん、どうしようかなぁ?
ちなみに今年2024年、国際映画祭ウィークが始まる迄に観た映画を
私の独断による採点結果とともに書き出してみます。
トップガンマーヴェリック(11回鑑賞)100点
MAD MAXフュリオサ 75点
ハイキューゴミ捨て場の決戦 (6回鑑賞)90点
オペラ座の怪人4Kデジタルリマスター版 80点
ザ・ウォッチャーズ 60点
フェラーリ 70点
ガールズ&パンツァー劇場版、最終章1~4
デッドプール VS ウルバリン 80点
サマーウォーズ 85点
モノノ怪 唐傘 60点
フォールガイ 75点
熱烈 (8回鑑賞)85点から105点(見るたびに評価UP)
エイリアン・ロムルス 70点
ビートルジュースビートルジュース 85点
憐みの3章 当時の私では採点不能
悪魔と夜更かし 87点
BISHU 世界で一番優しい服 88点
これも製作国別にグラフ化してみると、
やっぱりアメリカ映画が中心(下図左)
おそらく邦画も現在と同様にたくさん上映されていたのでしょうが
5作品のうち4つはアニメなので、
実写映画としてはわずか1作品のみ、
あまり意識していなかったが実写の邦画は潜在的に敬遠している、
ということである。
ついでに今回の映画祭(爆音映画祭も含む)期間に見た映画も並べてみる。
(下図右)
なるほど一つ一つの作品タイトルという”顔”を隠して
集合データで分析するのも面白いな。
今後鑑賞する映画がどのような傾向になるのか”神のみぞ知る”ですが
今回の東京国際映画祭で開拓した映画館
ヒューマントラストシネマやシネマ・イメージフォーラム
といったマイナー映画館でもらってきた近日公開作のビラから
気になるものをメモして、このnoteは終わりといたします。
動物界(フランス)11月8日公開 スリラー
ロボットドリームズ(スペイン・フランス)
11月8日公開 アニメーション
ニッツ・アイランド 非人間のレポート(フランス)
11月30日公開 バーチャルドキュメンタリー
ねこしま CATS OF MALTA(マルタ共和国)
来年1月10日公開 ドキュメンタリー?