ブルーピリオドすげえ
介護をやったり、その後もイベントを企画したりで、いろいろと忙しくしていた。
休みも仕事でつぶれたりして、ヘタレて根をあげはじめた私に「もう少し頑張ればいいんだ」と力説するトド夫が横で仁王像のように立っていた。
トド夫はカフェにいれこんでいて、本業は大丈夫なのかと心配になるほどだ。
そんな中で私はコロナになった。二回目だ。
ワクチンを打っているとはいえ、辛いものは辛い。
でも、今回は37度くらいしか熱はでなかった。症状としては軽いからありがたいのだが、動けない。だるいものだから寝ることしかできない。
寝るしかないと言うのは、本当に暇で苦痛だ。
拷問か。
日頃、あんなにも休みを渇望していたのに、実際寝ると12時間ぐらいが限度であった。腰も痛い。でも起きても何もできない。
ぼやんとしながらオフトゥンの中で、ラインの無料おすすめ漫画を片っ端から読んでいった。
もう時間潰しの流れ作業である。
そのうち、ある一つの漫画で、勉強で頑張りながらも不良グループにいる、何にも熱中できない高校生が出てきた。
‥あ、これ、わかる。私もそんな感じだったわ。
その高校生が、高校のおばちゃん先生の指導のもと、絵にのめり込んでいく。
その描写がすごい。っていうか言葉がブッ刺さる。
読み進んでいくうちに、その青春具合にクラクラきた。
うわ、なんじゃこれええええ、青春か、青春すぎるだろ、アチいあちいわーーー
と、萎びた大人の心の琴線はびよんびよんと揺れた。
なんなら、もう折れそうになっていた。
その漫画の題名は、ブルーピリオド。
もうすでに美術界隈では超有名らしい。
夢中になって絵を描いたことは私にもあった。小学生の頃だったろうか。
いつもイメージと自分の絵がかけ離れていて、自分で残念な絵だと思った。
当たり前だ。努力も何もしていないのだから。
私はそこでつくる側に行くのを諦めた。読者の方が楽だったからだ。
ブルーピリオドを読んでいて思った。
「絵を描く人というのは、上手い下手よりも何よりも、絵を描き続ける情熱のある人なんだ」
情熱と努力に勝るものはないのだ。それが圧倒的な才能なんだ。
一巻を読み終わり、しばらく天井を見上げた。
気持ちが、すかんと抜けたような、静けさだった。久しぶりの感覚だった。
数日すると、私はコロナが治り、カフェに復帰した。
トド夫も戻ってきて、厳しいような平穏な日常が始まった。
別に漫画に感動したからと言って、すぐに何かが変わるはずもない。
だってもはや、50歳のケツの重い、頭の硬いババアなのだ。もし私たち世代のジジババが漫画読んで変わることができたら、日本も今頃ニューヨークになっていることだろう。
知らんけど。
でも、久しぶりにnoteを書いた。
低血圧のババアに朝からnoteを書かせる力が、ブルーピリオドにあった。
本当すごい漫画だ、あれ。
多分、ちょっとだけ地に足がついてないのが気恥ずかしい。
誰かに「なんそれアオハルかよ」って、言われたかったりする。ツッコミ待ちです。