若手医師が医局を辞めるためのコツ

医局から抜けるのは勇気がいることだ。
誰も彼も簡単に医局から離脱はできない。
もしかしたらもっと昇進できるかも、もしかしたらもっといい条件の関連病院にいけるかも、もしかしたらこの業界で生きていけないかも。

もしかしたら、もしかしたらで先に進めずに無難な道を選ぶ人がほとんどで、そのままボロ雑巾のように使い古されていく。

もしあなたが医局にいて信頼できる上司と働いていて、医局を去る時に背中を押してくれるような素晴らしい上司ならこの後の話を読む必要はない。

医局を辞めた自分を含めた4人の医師から聞いた医局脱出の秘話を公開する。

ズルズルと先延ばしにならず医局を辞める助けとなるだろう。

そして、あくまでもこれらのコツは人としての最低限の礼儀や応接を前提とした対応だというのは決して忘れないで欲しい。
どんなコミュニケーションも難しい交渉も礼節を欠いては上手く行くものも上手くいかない。
どんなに腹立たしい対応をされても平然と、落ち着いて、礼節を保つことだ。

次の就職先(開業も含める)は医局を辞める前に決める

自分もそうだったが、医局を辞める前に必ず次の就職先や開業プランは決めておく必要がある。
その理由は
1, 背水の陣で退局すると、就職活動にも余裕がなくなり、就職活動も次の病院側が有利になってしまうことが多い(つまり、次の病院での雇用条件が悪くなる)。
2, 次の行き先が決まる前に上司に相談すると次の就職先が決まらないように嫌がらせを受ける可能性がある(もちろん民事上の不法行為)。
3, 気持ちの面で次が決まっていないと、自分も医局を辞めるという勢いが維持できない。
という理由からだ。
辞めるからには覚悟が必要だ。
理想としては医局から送り出してもらうくらいの歓迎を受けたいが、医局から離れる際に送り出してもらえるなんてこのご時世まず考えない方がいいだろう。
特に若手は貴重な労働力なので、メジャー科やマイナー科で男性である場合は激しいハラスメント覚悟の引き止めに遭う可能性がある。

引き止められた際のハラスメントまがいの行為については
「相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対し、害を加える旨を告知して人を脅迫する罪（刑法222条）」
として脅迫罪で告訴可能だ(脅迫罪は非親告罪ですが)。
website上に構成要件等が載っているので参考にしよう。

次の病院名は言わない

次の病院名は可能な限り出してはいけない。例え既に内定をもらっていてものらりくらりとはぐらかしてできるだけ具体的な転職先はださないようにする。駆け引きが必要だ。
いずれはバレてしまうことだが、あまりに早く次の行き先が知られると、その病院に手を回され、次の就職の条件が不利になる可能性がある。
もちろんこの手の嫌がらせも犯罪だが医局側もバカではないのでバレないようにしれーっと待遇が下げるよう、あるいは就職が不成立になるよう手を回してくる可能性がある。注意しよう。

もちろんズバッと次の転職先を言ってしまうのもありだが、その場合は転職先が医局と全く関わりがなく、地理的にも離れている場合にのみアリだろう。

外部の意見を聞く

ある一定の条件を満たした外部の人の意見は参考にすることができる。あくまでも参考にだ。
その条件とは

1, 親族ではない
親族の場合感情が入り込むため客観的な判断ができない。相談すべきではない。特に自分の両親は自分の子供が可愛いので客観的な判断を下すのはほぼ不可能だ。
2, 同じ病院ではない
同じ病院の人に相談してしまっては転職する情報が外部に漏れてしまう。本当に口が堅い人だけにしよう。
3, 同業ではない
同業(同じ科)への相談は一見合理的だが、そもそも同業というのは競争相手でもあるので、注意が必要だ。必ずしも全部の情報をオープンにしているとは思わないほうが良いだろう。

このような３つの条件が重なるような人に相談するのが良いだろう。
例を上げると違う仕事をしている地元の友人などだ。理想的なのはこれらの人が弁護士や税理士だと、法務的あるいは税務的なアドバイスももらえるので医師にとっては参考になる情報が聞けるだろう。

また、医師の転職エージェントは人により様々だ。相手も商売なので、親身には相談に乗ってくれるかもしれないが、こちらも転職ビジネスとして割り切って相談しよう。

適切な時期を選ぶ

辞めるのに適切な時期を選ぶのは非常に重要だ。
人事が実際に動く2,3月に辞める話ををしてもまずうまくいかない。
次の人事異動が決まる前
早ければ夏前には切り出すべき
遅くとも10月前には切り出そう。
その辺りは各医局により時期が異なるので周到な下準備が必要だ。
4,5月は新たな人事で動き出した直後なので
驚かれるし、そこから1年近く退職までの期間があるのでお勧めしない。
ちなみにいつ切り出したとしても少なくとも1-2年は平気で引き留められるので覚悟しておこう。