想いが叶わぬなら....止まれ、一刻でいいから。
「自分から誘ったくせに.....」
休日の図書館
14:32
『明日一緒に課題しよ!』
そう言ってアルノから突然誘いのLINEが鳴ったのはつい昨日の夜
ほんと突拍子もないんだから。
と言いつつも付き合う私も大概だと思う。
「もう...」
可愛く寝息を立てる彼女に向け、一息ため息を吐く
アルノは可愛い。
女の私から見てもそう思う。
そういえば先週も2組の男子から告白された。とか言ってたっけ
まぁ、当の男子は一つ二つトーンの落ちた顔してたし、結果は言うまでもないんだろうけど。
そりゃそうだ。
彼女の上辺だけ見てなんも知らないあの子が釣り合うわけがない
無邪気に笑う顔も
真剣なあの顔も
あの日悔しくて泣いてたあの顔も
好きなことをまるで子供のように嬉々として話す顔も
無防備にうたた寝してるこの姿だって
皆が知らない彼女の姿を知っている
私の方が今までアルノに告ってきたあの男共なんかよりずっと”アルノ”を知ってる。
「ねぇ?アル....」
すんでのところでハッとして、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
そうだ、課題やんなきゃ。
彼女を起こしてしまおう。
これ以上気持ちよさそうな彼女を見ていたら気が触れてしまう。
けど、少しだけ。
もう少しだけ。
私だけしか知らない彼女を一人占めしたいと思った。
できることなら....
願っても叶わない想いに蓋をするように
私も彼女と同じように目を閉じた。
『大丈夫。私も好きだよ、なぎ。』