新作歌舞伎「FINAL FANTASY X」を観劇した話
筆者は歌舞伎知識0です。
歌舞伎について何か説明してと言われても、
ほぼ何も言えない知らないというレベルです。
それに対して「FFX」は大好きです。
かつて、携帯の待受はティーダ。
着メロ(着うた?)は「素敵だね」。
ティーダのフィギュア求めてトレーディングアーツを大人買い。
絵が上手な友人には毎年年賀状にティーダを描いて欲しいと頼み込む。
ティーダのコスプレでイベント参戦などなど、
筆者の中でFFシリーズの頂点に君臨するのは「FFX」です。
そんな大好きなゲームがリアルで観れる。
気にならない訳がない。
うーん…でも歌舞伎?
何もわからないしチケット代高いな…
演者全員男性なの?女性キャラどうすんの?
9時間?いやいや腰爆散フラグ立ちまくりじゃん。
という負のスパイラルを自ら作り上げ、
「行かない」という選択肢を選んでしまった筆者。
今なら言える。
なんなら過去の自分の顔面めがけてジェクトシュート放ちながら言いたい。
スピラに貢ぎなさい、と。
(チケット買って観に行け)
FFXファン、歌舞伎知識0の語りが始まります。
はい、感想スタートします。
行くキッカケになった部分はカットです。
Twitterで好評だったから。
以上。
結論
即座におかわりポチった。
(別日のSS席チケット買った)
あんなに高いと思ってたチケットが、
安く思えて仕方ない。
腰はプロテスクッションのおかげで爆散しなかった。
IHIステージアラウンド東京にスピラが存在して、
かつて愛していたキャラクター達がガチで実在した。
リアルユウナに惚れた。
歌舞伎は怖いものではなかった
くどいですが、筆者は歌舞伎知識0です。
当然実際に観たことはありません。
そんな筆者と同じようなお客様が当日沢山いらっしゃいました。
演劇冒頭。
ゲーム内ではボス戦前などに出現する商人
「23代目オオアカ屋」によるアイスブレイク。
「歌舞伎を初めて見るよって人ー?」
「FFXプレイしたことないよって人ー?」
体感どちらかに手を挙げている方が殆どだったと思います。
「未知の世界へようこそ!」
なんという一言。
歌舞伎初心者のお客様と、
ゲーム未プレイの歌舞伎ファンのお客様の心を鷲掴み。
お前そんな良いこと言えたのか…
昔プレイしていたとき、
投資しないと倍の値段で商品売ってきたことは水に流すよ…
そしてオオアカ屋による歌舞伎チュートリアル。
これが今回観劇する上で本当に有難かった。
「見得」と「ツケ」
演者さんの見得がかっこよく決まったら、
拍手で盛り上げましょうというわかりやすい解説。
一通りの歌舞伎チュートリアル完了というところで、
オオアカ屋役「中村萬太郎さん」の口上。
いやもうかっこいい。
めっちゃかっこいい。
口上ってこんなにかっこいいのか!と、
歌舞伎知識0から0.0001アップした筆者は思いました。
演劇中もキャラクター登場時やバトル時、
お客様がわかりやすいタイミングで見得を決めてくれるので拍手もしやすい。
他にもルールー役「中村梅枝さん」
リュック役「上村吉太朗さん」
お2人が披露してくれた「海老反り」が迫力あって凄かった。
義太夫と三味線の耳心地が最高だった。
(特にシド登場辺り)
召喚獣達の毛振りがもうやばい。
あれ頭どうなってるの?凄すぎないか…。
歌舞伎は怖くない。
むしろかっこいい。
今回ティーダ役「尾上菊之助さん」が、
「歌舞伎入門編としてお客様に入りやすい入口を作ることを目指す」と公式Youtubeで仰っていた。
歌舞伎のイメージを問われたとき、
「和服を着こなす人」や「それなりのご年配の方」が観るもの=高尚な人が観るものと考えてた。
それによって、
どうしても「近寄り難い=怖い」というのが刷り込まれていた気がする。
筆者が観劇した日にも、
所謂見た目が「イメージ通りの歌舞伎ファン」がいらっしゃったが、
休憩中に「涙出ちゃったわ」なんて会話を聞いたら、楽しむ気持ちは誰しも同じだなと思えた。
最低限のマナーや身なりを整えるのは当然として、
萎縮して「わからないから怖い」で片付けるのは勿体無いし、
せっかく歌舞伎に触れる機会を作ってくれたのだから、知らない文化にさらに飛び込んでみたい。
菊之助さん。
歌舞伎に触れる機会を作ってくれて有難う御座います。
歌舞伎から縁遠かったけど、
とても新鮮でとてもかっこよくて、
「FFX歌舞伎以外も見てみたい」という気持ちになれました。
女性キャラクターはリアルだった
ゲーム中、パーティーの華とも言える女性キャラ達。
ユウナ
ルールー
リュック
ルールーとリュックに関しては、
ゲーム中好感度によってちょっとした会話やイベントに変化があり、
当時のプレイヤー達の中には、
ユウナだけでなくルールーやリュックに恋した人もいたんじゃなかろうか。
今回は歌舞伎ということで全演者「男性」。
男性…。
再現度高過ぎて女性にしか見えん!
ユウナ役「中村米吉さん」
ルールー役「中村梅枝さん」
リュック役「上村吉太朗さん」
観劇中衝撃が走る。
待って待って。
ガチだよ。
ガチのリアルユウナとルールーとリュックだよ。
1番驚いたのは「声」。
声帯ってなんだっけ…?
女性の声にしか聞こえないよ…?
さらには仕草も色気もちょっとした口調もゲームでみたのと同じ。
まさにゲームから飛び出してきたリアル女性キャラ達。
役者さんって凄い。
女方さんって凄い
原作愛溢れる作品だった
正直ここまで再現度高くやってくれると思わなかった。
FFXはクリアまでにかなりの時間を要するため、
9時間(休憩抜けば7時間)で収まるのか疑問だった。
大事なシーンをサラッと流されるのは嫌だし、
映像に頼り過ぎないで欲しかった。
が、そんな考えはまじでクソだった。
IHIステージアラウンド東京の特性を存分に活かして、リアルスピラがそこにあった。
多少の演出カットはあるが、
ストーリーとして最後まで綺麗に纏まってて、
要所要所に「そうそう!そんなシーンあった!」と、
思い出せたのが嬉しい。
ネタバレになるが、
個人的に演出に含まれて1番嬉しかったシーンを紹介したい。
キーリカを離れて船で移動中の1シーン。
FFX歌舞伎では演出カットで、
ビサイドからキーリカへ向かうシーンで演じられていました。
ここの会話を演出に入れてくれたのが、
本当に嬉しかった。
ゲームではワッカとルールーの全会話を4回に分けている。
4回分全て聞けるが、
ストーリー進行上では1回目の会話を聞けば残り3回分は聞かなくても進めることができた。
が、この会話を1回目の会話のみで終わらなかったのが愛を感じたポイント。
細かいけど、
ワッカとルールーのこの会話は後のストーリー上かなり大事なシーンだと思っている。
旅の終わりに待っているもの(=ユウナの死)を、
この時点ですでにわかっているからこそ、
2人の会話は実はなかなか重い内容だったのでは…とゲームプレイしてるときに考えていた。
ここのシーンを入れてくれた菊之助さん。
丁寧に演じてくれたルールー役の「中村梅枝さん」とワッカ役の「中村橋之助さん」。
有難う御座います。
もうお礼が止まらない。
他にも小さな演出だったけど、
FFXファンとして嬉しかったのはこちら。
・ワッカの「ルー」呼び
・リュックが召喚獣「イクシオン」の雷を怖がる
・リュックの「ユウナん」呼び
・ティーダ初バトルで剣を使いこなせずぶんぶん振る
・アーロンのオーバードライブ「征伐」の酒吹きかけ
・ワッカがリュックに「アルベド回復薬」をねだる
余談になるが、
つい先日リュック役「上村吉太朗さん」が「stand.fm」内で「雷を怖がるシーンがあること」と「ユウナん」呼びについて触れていた。
こちらの詳細は是非stand.fmで聴いて欲しい。
無料です。
FFX歌舞伎はシアターだけに留まらず
公演期間中、
出演者によるSNS投稿がめっちゃ面白い。
まずは今回の観劇で最推しとなったユウナ役「中村米吉さん」のInstagramから。
リアルユウナ。
天使かな?女神かな?
「(イヤリングが)取れそうだけど取れない秘密がある」という1フレーズだけで演者の大喜利合戦(ではないけど)となっている。
トワメル役「中村蝶八郎さん」
ビラン・ロンゾ役「中村吉兵衛さん」
シェリンダ役「上村折乃助さん」
キマリ役「坂東彦三郎さん」
キノック老師役「中村橋吾さん」
リュック役「上村吉太朗さん」
アルベド族の一員「坂東やゑ亮さん」
演者がシアター以外でも楽しませてくれるとか、
もうFFX歌舞伎やばいよ。
歌舞伎の公演でも普段からこんな感じのやり取りがあるのかわからないけど、
FFX歌舞伎は「シアターの中でも外でも絶賛公演中」って感じ。
最高だよ。
もっとスピラに貢がせて。
最後に
ありがとうFFX歌舞伎。
初めての歌舞伎がFFX歌舞伎で本当に良かった。
FFX歌舞伎がなければ、
死ぬまで歌舞伎に触れることはなかったはず。
大好きなゲームが画面から出てきてくれたなんて、
最高だよ。生きてきて良かった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?