【聴いてみた】
好きなものを好きだと言うだけのblogです。
ある楽曲を気に入ったとき、近かったり遠かったりする別の楽曲や音色を重ね合わせて楽しんでいることに気づく瞬間があります。
そういう主観に基づくプレイリストを仮に組んでみました。個人的な連想であり、続けて聴いてみたというだけで、特別に他に何かを言いたいわけではありません。以前、Vaundyのレプリカ論に触発されてリストをつくりましたが、その続きとして読んで(聴いて)いただいてももちろん構いません。もう少し広げましたが選曲についてのスタンスは共通しております。
次に挙げるのは、前回のリストからもいろいろとつながりそうな楽曲。
サカナクションの曲は今年参加した"復活"ツアーのライブで聴き、良さを認識した楽曲です。病気のため毎回これがさいごかもしれないという想いでステージにあがるというMCに身が引き締まりました。DJコーナーやダンサーとの共演もあり、祝祭的な余韻の残るライブでした。
昨年に出たU2の40曲4枚組セルフ・カバー・アルバムはおどろきとヒントに満ちているようです。
時にはアコースティック・バージョンで進めるなど、ライブの道も一つではないと考えます。
流線 / サカナクション(2011)
How to Disappear Completely / Radiohead(2000)
BLUE / Billie Eilish(2024)
Numb / U2(1993)
Yomigaeri (with 槇原敬之 & 絢香) / ビッケブランカ(2024)
Hymn for the Weekend / Coldplay(2015)
ただ君に晴れ / ヨルシカ(2018)
魔法のじゅうたん / くるり(2010)
アニメ版『葬送のフリーレン』第22話で、長寿を保つエルフであるフリーレンは、80数年振りに思い出深いレストランで夕食をとる。当時、100年後も200年後もこの味を伝えていくと意気込むシェフを傍らに、みなそう言うけれど変わるんだよね、とつぶやいていた。この晩も、味が変わったことに気づく。でも……
フリーレンが言う。「もっとおいしい味を探す手間ははぶけた。あの時よりもずっとおいしい。」
いちリスナーが時代もジャンルもやすやすと越境して音楽を楽しめる現環境ではありますが、ひとつの縛りとして、以下にはここ1、2年にリリースされた曲をまず取り上げることにします。
「オリジナル」をめぐるいざこざが時折報じられるK-POPについては、良い曲も多いと思うけれどほとんど割愛します。
年次は、主として楽曲を収めるアルバムのリリース年。クレジットやMVは特に意識せず、雰囲気があるので洋楽を邦題で表記しているものがあります。
題して、【聴いてみた】。
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うねるAメロ(ヴァース)を聴いてみた
Gasoline / MÅNESKIN(2023)
Sweet Dreams(Are Made of This) / Eurythmics(1983)
"マネスキン"の楽曲では他にもある種の類似性が少なからず指摘されることがあるようだが、別の観点から見ると、たとえば歌詞にはロック史へのオマージュやレファレンスがそこかしこにひそんでいると指摘されている(参照 : ローリングストーン ジャパン アルバム『RUSH!』全曲解説)。
Eurythmicsは上記のアルバム評では言及されていない。FERGIEの名も挙げておいてよいだろう。同サイトの過去のインタビュー記事では、ヒップホップからの影響も濃厚に受けているとの発言がみられる。ヒップホップのサンプリングの作法については何も詳しくないのだけれど、アルバムのいくつかのロックナンバーを彩っているように聞こえるのが面白い。
バッキングのキーボードの天上の響きを聴いてみた
Delusion:All / ONE OK ROCK(2024)
Sleepwalking / Bring Me The Horizon(2013)
Numb / LINKIN PARK(2003)
前衛で苛烈にたたかっているメンバーを、天上からしっかりと、しかも優しく援護している感じ。およそ10年刻みの間隔は、偶然。無限リピート可能。
渋目のギター(リフ)を聴いてみた
Hell Is Near / St.Vincent(2024)
For Your Life / Led Zeppelin(1976)
いまさらツェッペリン、と言うなかれ、聞き直すとカッコ良さの宝庫だった。意外な組み合わせで、ときどき、突如として耳の底からこだまして来る。ブルースをはじめ楽曲にまつわる数々の訴訟を経験してきたらしいパイオニア(?)でもある。
teenager / 詩羽(2024)
BAD COMMUNICATION -ULTRA Pleasure Style- / B'z(2008年 ベスト盤)
Trampled Under Foot / Led Zeppelin(1975)
「teenager」の歌詞の、愛の対義語は憎しみではなく無関心であるというくだりは聖職者の有名な言葉の引用と思われる。
無知はどうにかなるが、無関心は手ごわい。
ギターソロを聴いてみた
Just Another Rainbow / Liam Gallagher & John Squire(2024)
悪魔を憐れむ歌 / The Rolling Stones(1968)
いまやレジェンドとなったバンド出身者のタッグだからといって、ストーンズもビートルズも使い放題のフリーパスを持っていることにはならないだろうに。でも、かっけー、ついついアルバムごとリピートしてしまう。
消えろ、黙れ、の叫びを聴いてみた
RED OUT / 米津玄師(2024)
It's No Game,Pt.1 / David Bowie(1980)
曲調に共通項はほとんどないかもしれない。2曲目、複数の言語によるスポークンワーズをギザギザした伴奏にのせる点では別の話題曲を先に連想できる。
"FAME"がもたらす実害と被害妄想はいつの時代も変わらないものらしい。ボウイは上記の曲を収録するアルバムの別の曲で、かつての代表作のヒーローを、ジャンキーへとすっかり作り変えて自分の現在地を確保した。
本人が栄誉と称するジブリ映画の主題歌を4年越しに完成させた米津の最新アルバムには、コラボレーションを離れて自室ですべてつくった新曲がちりばめられている。音楽誌インタビューなどによると、締切に追われるタイアップ曲などと違い嬉々として作業を進めたらしい。
収録曲「LENS FLARE」は昨年のツアーのアンコールで披露されていたはず(日程にもよる)。曲の半ばで何もかも投げ出したかのようにメインステージでごろんと仰向けに寝そべっていた姿を思い出した。
アイデアが煌めき、所々速度を落としたりオルゴールのように途切れる新曲とアルバムを聴いていると、うまくブレーキをかけたなと感じた。
ブレーキとは停滞や後退を意味するどころか、その反対に、より速くより遠くへ進むために必須のもの。現に年明けからの大規模なツアー日程が発表されている。
そろそろ【聴いてみた】プレイリストの筋道から脱線してきたようだ。あと数曲。
ぶっ飛びビートを聴いてみた
0 / Ado (2024)
Little Wonder / David Bowie(1997)
Deal With the Monster / Cö shu Nie(2024)
Perfect Drug / NINE INCH NAILS(1997)
「0」の読みは"ゼロ"。楽曲提供した椎乃味醂はAdoの年下だという。新譜の諸キャンペーンによると作詞にあたってはAdoとしっかりと意見交換をしたらしい。歌詞をたどりながら聴くとラストの展開は胸アツだ。
現在二人となっている"コシュニエ"は、北欧などの言語ではなく造語だという。
どちらのアーティストにとっても、従来にない扉を開く作風になっているだろう。
ボウイが新たなビートを取り入れた当時、ジャングル、ドラムンベースと言った聞き慣れない用語を手掛かりにいろいろと聴いてみた。そのはずだが、掲出した楽曲を聴いて反射的に想起したのは、上記のボウイと"NIN"の楽曲だった。
激しい曲が続いたので静か目の曲でいったん締めくくろう。
上記NINの作品は映画『LOST HIGHWAY』のサウンドトラック盤に入っている。他にもサントラを多く手掛けた作曲家アンジェロ・バダラメンティとのつながりから、1曲。
She / Marianne Faithfull(1995)