『ギザギザハート』

刃物に憧れていたあの頃は
心まで尖っていて
それは誰かを傷つける為でなく
自身を削り整える為だったはず

そうして時に血の出るところまで削ったりなどして
痛みに顔を顰めるも懲りることはなく
生傷を暗に見せつけてもみる

金属光沢ほど美しくなく
ダマスカスのように不可思議でもない

打ち砕いた黒曜石のように
ただ固く尖っただけの心で
存在証明の刻み方を痛みの中に覚えたのだ

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