陰キャ
「学生」と呼ばれる肩書きの時代、私は陰キャであった。何なら今もその残滓はあるが、かなり緩和された方だ。
小学校入学から大学卒業に至るまでの16年間で出来た親友の数は片手で数えられるほど少ない。理由は今だから分かるが当時人間性に相当難があったからに他ならない。授業中突然頭を机に叩きつけて泣き出す奴と誰が友達になりたがるだろう。小1の時の話だが。
体育の二人組を作るコーナーで一人余った事も、席替えで隣になった女子に少し机を離された事も、軽いいじめを受けた事も、修学旅行の班を残り物だけで組まされた事も概ね全て経験している。ろくに話した事もない奴と過ごす沖縄の3泊4日はやんわり言って地獄だった。今でも良い思い出ではない。可能なら全て忘れたい。
そんなゴリゴリの陰キャだった奴が、不思議と今は友達まみれで毎日楽しく過ごしている。明確なきっかけは分からないが、大学を卒業した辺りで半分ヤケになって「もうどう思われてもいいや」となりふり構わず人と接する様になった事が起点だと思う。あと自分の中で「友達」のボーダーがめちゃくちゃ下がり、2回くらい話して良い感じだったらすぐ友達判定を下す様になった。向こうがこちらを友達と認識しているのかどうかも然して気にしなくなった。こちらが接していて楽しければもうそれで良いのだ。
どこのグループにも所属出来なかった学生時代とは打って変わって、現在は特別仲の良い人らとの多種多様なグループに受け入れて頂いている。主にネットを介して毎日そこら中で通話をしてゲームをして、オフラインでは時々友達の家に行って酒を飲みながらダラダラYoutubeを観たりとそこそこの充実っぷりを見せている。在学中は完全に諦めていた事が今次々と行われている様な感覚である。何が起こるか分からないもんだなぁとつくづく思う。
小学生の俺、とりあえず授業中は勝手に立つな。分からなくてもいいから座ってろ。あと先生の言う事は聞け。
中学生の俺、野球部のSがクソ腹立つだろうけど今は耐えろ。卒業までの辛抱だ。あと先生の言う事は聞け。
高校生の俺、案の定野球部のSと同じ高校だが安心しろ、多少関わってこなくなる。あと先生の言う事を聞くだけじゃなくて自分の頭で考えろ。
大学生の俺、もう二十歳なんだからマジでちゃんとしてくれ、死ぬ訳じゃねぇからもっと人と話せ。就活しないならもう少し何か行動を起こせ。
陰キャだった過去の俺、何とか頑張って乗り越えろ。その先は割と楽しいぞ。