トート

空っぽで出かけようそれだけで充分。 閉じるものか

トート

空っぽで出かけようそれだけで充分。 閉じるものか

最近の記事

いき かえり

そうだね 朝、パン屋でのんびりするのが好きかな そこにいるだけで少しずつ眠くなってくるんだ 焼いた匂いがするのもいいけど ほんのり小麦のような匂いがするのもいいし 食べたあとのおぼんを どこに返したらいいか よくわからないのもいいんだ あと、 クリームのパンを食べている人に悪い人はいないだろうなと 思うと平和な気持ちになるんだ 朝の電車は空いていて ぽつりぽつりと人がいるだけ 数駅分乗るとある1つの製作所があるんだ そこでいつもものを作っている 何を作っているかは言

    • なんてったって中央区

      向かいにあった駐車場の場所に、家が建つようだ。 とても狭い土地。 この広さであれば一軒家だろうか、など考えている。 どんな人が住むのか想像する。 夫婦かもしれない。大家族かもしれない。もしくは我が家と同じようにシェアハウス。 いろいろな可能性があるサイズの土地だ。 でも、ちょっと贅沢な1人住まいであったらいいなと思ったりする。 なんてったって中央区。 ここに1人暮らしをするというのも良いものじゃないか。 そんなことを考えながら太陽の光と交流する。 色々なものがニュートラル

      • わからない

        知らないこと 察知できないこと 理解できないこと 心に触れてこないこと 忘れてしまったこと 全部 わからない という ほんとは知ってた 今日はいい天気だ

        • 「相手と繋がる」クリエイティビティ

          インプロを始めて、もうすぐで1年になる。 やりがいを感じているのは確か。なのに、「なんでやっているの?」「どういうところがいいの?」「インプロってそもそも何なの?」の問いに対してうまくこたえられていないなあと思っていた。 なので、ふと思い立って、ここに書いてみることにした。インプロの好きなところや、学びなど、徒然と。 ◇あたたかみある場ができる インプロの好きなところ。それは、 人が「愛情に溢れ、応援している」場が自然にできること。 その「根源的な人の優しさ」に気付いた時

          記録

          さいていげんの ひかりと さいていげんの やみで いきていけると 知ったのに 半分は ひかりにつつまれ 半分は やみにおちていく まんなかがいちばん おだやかでしぜんなのに なぜ ひかりとやみのどちらかに いつもふれるのだろう

          天使

          きみは充分に優しかったと言って良い。むしろ、優しすぎるくらいに。そして、きみは充分すぎるくらいに絶望しがちだっただろ。それを僕が気付かないものか。どれだけ一緒にいたと思っているのだ。 僕は君の天使。たとえじゃなくて、本物の。

          ラフマニノフ号に乗って北へ

          僕はラフマニノフ号に乗って旅に出た。 北へ、北へ、北へ。 一つ目の町には、 家が一軒あった。 そこにはおじいさんが住んでいて どことなく寂しげだったが 時々くる鳥の声を聞いては つぶやくように返事をして どことなく満足そうだった。 僕はそれを見て悲しくなった。 僕は年をとりたくはないなあと 未来への可能性がどんどん狭まっていくのも 小さなことで大丈夫になってしまうのも 悲しく思えた。 僕はまたラフマニノフ号を走らせた。 二つ目の町に着いた時 すでに夜になっていた。

          ラフマニノフ号に乗って北へ

          お風呂

          蓋を外すといつも 堂々とつやつやとしながら 暖かい水をたっぷり貯めて こんにちはどうぞと黙っている 子供が小さい船を浮かべるとき お風呂は海のような壮大な寛容な気持ちになり 子供が1日のお話をするとき お風呂は響く音に耳をすませており 子供が走るとき お風呂は滑って転ばないか人並み以上に心配する 大人が鼻歌を歌うとき お風呂は一緒に歌っており 大人が泣くとき お風呂は水の音で安心させてやり 大人が思い出し笑いをするとき お風呂はすこしうらやみながら湯気に思い出を

          「地球においでよ。友達になろう」 空を見上げたらふと口をついて出た 僕は悲しい 今日の空は、たとえば子供が絵の具でひとしきり遊んだ後の水差しの中の水の色、 つまり、 昔は一つの堂々とした色だったのがよどんで重く滞ってしまって、 戸惑い、しかしどうしようもないとくたりと下を向いた、そんな色をしている 水は重たい どうしてもどうしてもどうしても重たい 笑っている時でも いや 笑っている時はなおさら 悲しいみたいだ あとから感情の波がおしよせ いつの間にかのまれてしまう

          中央区に住む女

          中央区に住む女は考える。 私は、仕事をすることが、怖い。 仕事とはなんだろう。 彼女は想像する。 仕事とは、思うに、魔物のようなもの。例えば毒を染み込ませたカマを持った巨大な紫色のカマキリのような、そういう存在。 時間感覚を麻痺させ、ストレスを与え、じわじわと心と体力を搾取しながら、何十年にわたって人を拘束するもの。 やっと解放されたと思った頃には疲弊し力がなくなっており、目の前には死の丘があり、その頃にはぼんやりした頭で、狭くなっていく道をただ一人で歩かねばならない。

          中央区に住む女

          仕事

          嫌いやわ。 残酷な想像。 命を淡々と削っていく、人を盲目的にさせ、搾取していく。 蛭か、何か、しつこい虫のような。 仕事を好きになることができたら 人生は幸せだと思う。 仕事が嫌だったら その人は不幸だろうか。 仕事が嫌なぶん できるだけ早く帰って 他のところで補おうとしてしまっている 自分はとても良くない人間だと思う。 責任感がないとか お金をもらっている意味を理解していないとか そういうことになるのだろうと思う。 これを克服するのが怖い理由が

          太陽の飼い主

          真ん中に太陽がある その周りにもやがかかって 光を半分だけ通している その人は太陽を部屋に飼っていた 太陽が熱すぎるから 魔法をかけて 少しその熱が和らぐようにしていたのだ この人が太陽を飼い始めたのは 今から300年前 この人が太陽を飼い始めてから 時間が進まなくなり 誰も死ぬことができなくなった ずっと 水の流れるように 時代が変わっていくのに 時間だけは止まったまま この星ではだれもが幸せだったが だれもが一生との距離感をとりかねていた 鳥が迷い込んだのは

          太陽の飼い主

          切り世界職人

          【切り世界職人】 キリセカイ-ショクニン 切り絵のように 世界を切り取り それをつなぎ合わせて 新しい世界を作る人のことをいう 働き方は簡単で ハサミとノリを持ち 上から下から斜めから世界を眺め ちょっと切って貼り合わせてみて ふらふらと遊ぶように連想する それだけ 世界は「個別のモノ」と「その間に連想されるモノ」でできているので どこかで見たことのあるものを 組み合わせを変えて 貼り合わせるだけで 急に他のものが流れ込んでくる たとえば 深い森の奥 + 正義感

          切り世界職人

          せんたくき

          洗濯をしている。 ぐる ぐる ぐる ざー ぐるるるる ぐるるるる ぐるるるる ざー この化け物みたいな機械は 洗濯物をぜんぶ飲み込んで 苦しげにうなっているよう つくづく この機械は 「く」と「る」でできてる 四角くて潔さがある けどちょっと角が丸い「く」 ゆれて渦を巻いてまた揺れる そんな流れをあらわす「る」 それが苦しんでるから濁点がついて ぐるぐる ぐるるるる と聴こえるのではないだろうか 一家に一台いる怪物だ 白くて素直そうに見える ちょっと助けてあ

          せんたくき

          家の花

          稀に見つかる花があり それは内側に行くほどくすんだ虹色で 外側に行くほど純白で それをすみかに飾っていると 困りごとが柔らかくなりうるということ それを聞いてもぐらが 自分のすみかの竪穴に 花を1輪飾ったが 穴の中にはいろいろな生き物がいて いつの間にか足跡などついてしまった このままではこの花は疲れてしまうと 察したもぐらは 花と相談したが 花は一言も話さない こまりはて 穴から出て青空を見ていた時 蝶が1羽飛んできて言った あなたは近くに

          世界

          砂漠のような埃っぽさ 未来のような機械の潮流 歯車の音 1日のはじまりは風 世界から与えられる秘密 白い太陽がつくる温度 運命がひとつの指針とされる 響きの優しい言語 乾き 空飛ぶ大きな生き物の声 そんな世界にふらりと気持ちが出ていくことがある 変わらないが違う物語 聴こうとした言葉 きしみ 星の回転感 そんなものが積み上がって行く 世界は遊び場や逃げ場を与える それを必要とする人がいますか 世界観の作り出す唯一の世界は 想いに敏感だけど 信