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温故知新(詰パラ313号)

 今日は詰パラ313号(昭和57年3月号)を読んでみることにしよう。
少し読み進めると、湯村光造氏の「禁手と詰将棋」という一寸面白い文章を見つけた。この文章によると、最初に禁手を定めたのは二代名人大橋宗古らしい。「象戯図式」の巻末に「将棋治式三ヶ条」を示してあり、その一つに「逆馬にゆき処なき駒を打つことの禁止」があるという。(要するに、先手が11歩とか、22桂と打ってはならないということ)
 湯村氏は、「ここには『打つことの禁止』しかなく、不成で行くことの禁止はない。よって、打歩詰と突歩詰の関係と同様、不成で行くことは禁止されていなかったのではないか」との仮説を提示する(もっとも、どこまで本気なのかは定かではないが)。
 ただ、これが認められたとしても、恩恵を受けるのは桂香歩だけだから、そんなに面白い作品は作れそうも無いなあ。それとも、私の想像力が乏しいだけなんだろうか。

大学を覗いてみると、この頃絶好調の有吉作を発見。

           有吉弘敏

(詰パラ 昭和57年3月号)

64角、75桂、98桂、同歩成、77金、96玉、98飛、97桂、同飛、同玉、
75角、96玉、86金、97玉、76金、96玉、88桂、同と、86金、97玉、
88銀右、同歩生、89桂、同歩成、76金、87玉、77金、96玉、88桂、
同と、86金、97玉、98歩、同と、76金、87玉、77金、96玉、97歩、
同と、86金迄41手詰。

 氏はどうしても短編作家のイメージがあるが、こういう軽趣向っぽいのを作らせてもなかなか巧い。くるくる回転する金の運動を素直に楽しむべき作。
 この金の動きで思い出したのが以下の図。いつぞやの名古屋大会で作者から直接見せられた時は、恥ずかしながら解けなかった(既に酔っていたので、と言い訳しておこう) 。
 いかにも三角氏らしい、理知的な知恵の輪風趣向作だと思う。

           (参考図)三角 淳

(詰パラ 平成16年10月号)

76金、96玉、97歩、同玉、75角、96玉、86金、97玉、85金、96玉、
56龍、同と、86金、97玉、76金、96玉、63角成、同金、86金、97玉、
85金、86角、同角、96玉、95金、86玉、56龍、66歩、85金、96玉、
66龍、同香、97歩、同玉、75角、96玉、86金、97玉、76金、96玉、
97歩、95玉、85金迄43手詰。

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