温故知新(詰パラ340号)
今日は詰パラ340号(昭和59年6月号)を読んでみることにしよう。まず、表紙の浦野さんの作品を引用しておこう。
浦野真彦
31角成、同玉、23桂、21玉、11桂成、22玉、13銀、11玉、22角、21玉、
12銀成、同玉、13龍、21玉、11龍迄15手詰。
54龍は勿論余詰消しだが、34桂とか24桂を消すだけなら飛でも良さそうに見える。しかし実は初手13桂の紛れがかなり強烈で、以下11玉(12玉は21銀、同銀、23角以下詰む)、33角打、22桂(限定)、同角成、同玉、23銀、11玉以下逃れ。龍で無いと、この手順中23銀のところ14桂が成立して余詰むのだ。
適度に変化・紛れもあり、簡素図式としては十分な出来栄え。まさに表紙に最適の作品と言えよう。
それから、昭和58年度の看寿賞が発表されている。受賞作は以下の通り。
長編賞 伊藤 正「天女」、添川公司「妖精」
中編賞 伊藤 正
短編賞 浦野真彦、赤羽 守
全く文句のつけようの無い顔触れと作品である。しかし発表の仕方には、現在の目で見ると不満が残る。選考委員が23名もいるのに、選考委員の言葉も受賞された作者の喜びのコメントもなく、たったの3P。現在の姿を知るものとしては、何とも味気ない感じがする。
それから、短コンに名作を発見!
原田清実
68香、56玉、59香、46玉、45飛、同香、69角迄7手詰。
僅か7手の中に香の限定打を2種入れ、最後も角の最遠移動で引き締まる。短コンの首位も当然の傑作。技術的な側面で言うと、58への中合が銀以上になってしまうのが何とも巧妙。 まだ「中合の原田」になる前の作だが、個人的にはこういうものの方が好きだなあ。
ちなみに原図は38歩が29桂だったので、初手より69香、56玉、59香、46玉、25角以下、長手数の余詰があった。