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温故知新(詰パラ457号-02)

 この457号は、我々プロブレミストにとって記念碑的な号である。というのは、この号から若島さんの筆による「現代チェスプロブレム入門」の連載が始まっているのだ。つまり、日本のチェスプロブレムは実質的にここからスタートした訳である。
 今日は、その連載第一回で紹介された作品と出題された作品の中から、4題を引用してみることにしよう。まず最初に紹介されたテーマはAUW(四種成)。

(1)Niels Høeg (Tidskrift for Schack 06/1905)

#3 (8+4) 

1.f7
1...Kd6 2.f8=Q+ Kc6 3.Qc5#
1...exf4 2.f8=R Kd6 3.Rf6#
1...exd4 2.f8=B Kf6 3.Ra6#
1...Kf6 2.f8=S xd4 3.Rf7#

 AUWの古典というべき作品。R/B成の順はそれぞれstalemateを避けるためのunder promotionである。ちなみに、パラには1904年の発表と書かれていたが、Databaseによると1905年発表が正しいようだ。

(2)Michel Caillaud (The Problemist 07/1993)

S#2 (7+10)

1.Sa6! (2.Sb4+ xb4#)
1...f1=Q 2.Qd3+ Sxd3#
1...f1=R 2.Rd2+ Rxd2#
1...f1=B 2.Qf3+ Sxf3#
1...f1=S 2.Bg2+ Rxg2#

 こちらは巨匠による模範演技。それにしても、Q=R+Bなのに何故変化を切り分けることができるのか、答えを見た後ですら不思議な感じがする。

(3)Aurel M. Karpati (feenschach 05/1982)

H#2(3+1)
b/c) Kc7→g7/f7, d)Qh2→h6

a)1.Ke6 Qa2+ 2.Ke7 d8=Q#
b)1.Ke6 d8=R 2.Ke7 Qd6#
c)1.Kc6 d8=B 2.Kd7 Qc7#
d)1.Ke5 Qg5+ 2.Ke6 d8=S#

 超簡素形でのAUW。特にa)での1...Qa2は胸のすく一手だ。

(4)Petko A. Petkov (Stella Polaris 12/1969, 3rd Prize)

S#4 (10+2)

1.Sc4
1...h1=Q 2.Bh5+ Qxh5 3.Qe5+ Qxe5 4.Re6+ Qxe6#
1...h1=R 2.Rh8+ Rxh8 3.Rf8+ Rxf8 4.Qe7+ Kxe7#
1...h1=B 2.Bf3 Bxg2 3.Bc6+ Bxc6 4.Qd7+ Bxd7#
1...h1=S 2.Rh4 Sg3 3.Re4+ Sxe4 4.Sd6+ Sxd6#

 最後は大御所Petkovのセルフ。難渋な変化もなく、氏の作にしては軽い方だと思う。尚、S成の手順中2...Sg3はSf2でもよい(dual=キズ)。

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